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武士道ブレード ブラックフェイス ミンストレルショー

ブシドーブレードというゲームではなく映画のほうである。
三船敏郎、千葉真一、丹波哲郎、マコ岩松と一流の俳優が揃っている割には知名度が低い映画。
この映画について語る気はなかったのだけど、こんな時じゃないと語らんなぁと思って書いている。
ちょっとTwitterで炎上中のある事件を見て、思い出したからだ。
事件とは大阪コミコンでマッツ・ミケルセンとの写真をブラックフェイスのコスプレで撮影したものをTwitterとYouTubeでアップした人がいたのだ。
ブラックフェイスとは黒人以外の人種が自分の顔を黒く塗り、黒人のように振る舞うことだ。
なんだ、そんなことと思う人もいるかもしれない。
「昔はラッツ&スターという顔を黒く塗っていたバンドもあったじゃないか、何がいけないの?」
「ちょっと前にダウンタウンの浜ちゃんがエディ・マーフィのコスプレをしていたよね。あの時も炎上していたけど、日本人には関係ないんじゃないの?」
「だって黒人を差別どころか好きだからリスペクトしているからやっているんだよ」
なんでもかんでも差別と言わないでほしいと怒り出す人も多かった。
ブラックフェイスで歌や踊りや劇を披露することをミンストレルショーと
呼ぶ。
参考

日本人がどう思おうが差別だし、タブーなのだ。
知らないでやっていたり賛同していたら、今日から改めればいい。
かく言う俺も、この映画を観るまで知らなかった。
武士道ブレード。舞台は幕末でペリーが日本にやってくる所からはじまる。
幕府の要人たちとの懇親会で、突然ミンストレルショーがはじまる。
陽気に歌い踊る黒人に扮した白人水夫たち。
ペリーや水夫たちは曲に合わせて手拍子をする。
幕府の要人たちは見知らぬ文化にハトが豆鉄砲をくらったように困惑する者、よくわからないが盛り上がっているから愛想笑いを浮かべる者。
いやね、この愛想笑いを浮かべる演技、演出は素晴らしく、この映画で一番良かった。
この時、俺は「今のは何だ?」と首を傾げた。
異文化交流のズレを表現したのか、尺を割くにしては意味がない。
そこで調べるとミンストレルショーのことがわかってきた。
楽しませようと「善かれ」と思ってショーを披露するペリー。
それを観る日本人。
一見友好的に見えて、もし西洋に支配されてしまえば日本人も同じように差別されチョンマゲショーにされてしまうというグロテスクな構図なのだ。
こうやって知る機会がなければ、俺もアメコミ映画「ブレイド」が好きなので顔を黒く塗ってコスプレしていたかもしれない。
こういう無知からくる差別は誰でもやってしまう可能性がある。
今回、こういう日記を書いたのは多くの人に知って欲しかったからだ。
え? 武士道ブレードのレビューはしないのかって?
勘の良い人は気づいたかもしれないが愛想笑いを浮かべる演技、演出が一番良かったと言ったじゃないか。
あとね、三船敏郎や丹波さんは貫禄あったし千葉真一の殺陣は恰好良かった。
なんだろう、全体的に真面目すぎるのよ。
「大統領に献上する国宝の刀が敵対勢力に奪われたから調印できない」
という、トンチンカンな設定な割に展開が地味で、俺のような「良かった探しのうまい」映画好きじゃないと厳しいと思う。
いやあ、映画て本当にいいですね。さよなら、さよなら。

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