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「おばさんが走る」ということ


【おばさんはなぜあの走行フォーム?】

かねてから、おばさんの走行フォームには疑問があった。

あれははたして、走っているのか。
早めの速度で歩いているのか。

前に進んでいるのに後ろに戻っているような、非合理的な走行フォーム。
なぜあのようになってしまうのか。

「自分のイメージ通りに体が動かないからだ」と、多くの人は思っている。老化とか体の衰えなどと表現され、わたしも長年それが原因だと思っていた。

ところが、先日、この疑問に新しい見解を提示するような経験をしたので、備忘録も兼ねここに記したい。

「走る」という行為は、前向きに進むベクトルの中で片足ずつの①跳躍と②着地が交互に続く動作の連続である。

①で体は持ち上がり、②で下に向かって落ちていく。

上がるときも落ちる時も、体は常に一つの塊となって動いている。

【一揆だ!一揆だ!鎮圧せよ!】

ところが、だ。

この動きが、四十路半ばで一変した。

片足の跳躍時に体が持ち上がるところまでは一緒なのだが、その初動から一歩遅れて、まるで別物のように贅肉が全力で持ち上がってくるのだ。

「え?こんなところも肉あった?!」という自分でも把握していない体のどこかから肉が持ち上がってくるのだから本当に驚く。(肉って、やわらかい奴の方ね。贅肉、です。)

「殿!あちこちから、狼煙があがっていますっ!!」

それは、まるで『信長の野望」』プレイ中に、全くノーマークだった平和な村から次々と一揆を起こされる感覚に似ている。

ちなみに、やつらを揺れるがままに任せていると、顔面などはもはやどっちに向かって揺れているのかわからない、見るに堪えない惨状となる。

この連続一揆、早急に鎮圧せねば!

おばさんは、走りながらも知恵を絞り、そしてヒラメク。

「逆方向のベクトルで、今のベクトルを打ち消せばよいのだ!!」と!

つまり、跳躍で上向きの力が生まれるのと同時に、体全体を沈ませて下向きの力を作る。

揺れる力相殺し、
一揆を鎮圧するのじゃーーーっ!

ジーニアス!
天才!
年の功!(?)

【「おばさんが走る」ということ】

さて、結果、どうなるか。

前に走っているのに後ろに重心が残っているような、上に飛んでいるのに下に引っ張られているような、いわゆるよくみる「急ぐにはあまりにも非合理的な」おばさんの走行フォームになるのだ。

そして、わたしは、それになっていた。

なるほど、、、、
おばさん走りには2種類あるのか。

1)イメージ通りに走れ「ない」、という「否定形」のフォーム
= 体の衰え型

2)暴れる肉の躍動を積極的に抑えにかかる「攻め」のフォーム
= 一揆鎮圧型

今回私は大発見を成し遂げた訳だが(?)、なんと、そのフォームに違い、なし・・・

おばさんが走る、とはそういうことなのだ。

残念なり・・・。

「わたしは二番目の方です」、頭の上にプラカードをつけて走りたい。

わかったところで、
残念な走りであることに違い、なし。

合掌

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