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ブラック企業の渡り鳥がハミィに長期滞在している理由

僕は今、Hamee(ハミィ)という会社の人事部門で働いています。人事って響きは華々しいですが、実際は真逆。ハミィに入るまでの10年間で5つの組織(会社と呼べないものもある)を渡り歩き、バタバタでドロドロな社会人人生を送ってきました。

いろんなブラック企業を渡り歩いたおかげで会社を見る目が養われましたが、そんな僕がハミィに入って早10年。「もう転職なんてしたくない」そう思わせてくれたウチの会社の魅力をあらためて紐解いてみたいと思います。転職を考えている人のお役に立てばなお嬉しいです。

就活失敗!コピーライターになりたくてブラック企業に入社

こんな僕にも若い頃は夢がありました。
コピーライターになりたいという夢です。

理由は簡単。
「紙と鉛筆だけでご飯が食べられることがカッコいいな」という安易な考えです。思い返すと恥ずかしい…… 就職氷河期の当時、そんな考えでうまくいくほど甘いものではなく(まあ当たり前なんですが)、なかなか就職先は決まりません。そもそも新卒のコピーライターを募集している企業もほとんど見つけられませんでした。

そんな中、たまたま宣伝会議の求人広告で、いつも見るはずの「要実務経験」という記載のない募集を見つけました。
「絶対これは校正ミス。でもそんなマヌケな会社なら受かるかも!」と、なぜか鬼の首を取ったような気持ちで面接を受けました。そこでようやく内定をもらったのは、大学4年生で卒業式も終わった3月25日のことでした。


ブラック企業で毎月起こる大事件

急いで引っ越しをし、4月1日から通ったのは、化粧品や健康食品を通販で売っている会社でした。というか、担当者からそう聞いていました。

入社してまずびっくりしたのは、商材が週刊誌の後ろにあるような「モテる香水」や「身長が高くなるサプリ」だったこと。札束のお風呂に入っているアレです。セシールやDHCみたいのを期待していたのに……。

当時はインターネットもまだ普及しておらず、きちんとした事前調査ができなかったと言えば聞こえがいいですが、「入れればどこでもいいや」と思っていたのが正直なところ。

実際に働いてみると本当にいろんなことが起きました。
同期が1週間で半分辞めて1ヶ月で残りの半分が辞め、3ヶ月経つと僕ひとりしかいなくなりました。

パワハラセクハラ当たり前。ビンタで鼓膜を破られて耳から血を流しながら辞めたMくんや、お昼ご飯を買いに行ったまま「探さないでください」というドラマのような書置きを残して帰ってこなかった S くん。
会長にいじめられていた社長(雨の日に屋上で傘もささずに「コケコッコーーッ」と叫ばされる!)など、社会の厳しさを痛感した会社でした。
全国のニュースをかっさらった大事件や法に触れることも毎月のように起きる不思議な日常。

ブラック改

連日深夜まで続く飲み会。心を無にしてやりすごす日々


ブラック企業という言葉がまだ生まれていない当時、これが普通だと思いこんでいた僕でも辛いことがありました。
それは扱っている商材が商材なので、自分が仕事を頑張れば頑張るほど、買ったお客様が不幸になるということです。
「僕の少し上がる給料と引き換えに、たくさんのお客様が損をしている」このジレンマに耐えられず、僕はこの会社を3年で辞めました。

初転職で「組織」にジョイン。牢屋へ入れられる仲間たち

制作に追われる日々に疲れていた僕は、ある日、とっても怪しい組織に誘われました。今なら怪しいと気づけるのですが、当時の僕はそんな思考力すら持ち合わせていませんでした。

日本でいらなくなった重機などを安く集め、アフリカに輸出して高く売る。夢は大きいですが、半分は絵空事。実際には重機を買うお金もないので、お金を募るために、「お金を預けたら半年後には倍!さらにアフリカの資源採掘の利権も夢じゃない!」という触れ込みで、とってもたくさんお金が集まりました。

お金なんて用意できない僕は、労働力を対価として献上し、せっせと物資集めと積み込み作業を行いました。大金持ちになる気満々で。

でも、僕らの夢と山盛りの荷物を積み込んだ船が、南アフリカの喜望峰で海賊に遭い荷物は没収。僕らの仲間は治安の悪い南アフリカで10ヶ月間牢屋に入るという、これまた嘘のような体験をしました。

ギリギリまでその船に乗ろうとしていたので、その話を聞いたときには血の気が引いたのを覚えています。
海賊ってワンピースの中の話かと思っていたんですが違うんですよね。すしざんまいの社長が海賊を撲滅したって聞いたのは、それよりもだいぶ後の話。

「社員多い=いい会社」の思い込み

その後も、汚いトラックを外見だけキレイにしてヤフオクで高値で売りさばいてみたり、自分探しのふりをしてニートになってみたり。そんな僕も30歳を過ぎちゃったので、そろそろきちんとした会社に勤めようと、地元の上場企業に入ったこともありました。

それまで小さな組織にしかいなかったので、「安心できる職場は規模感だ。社員が2,000人以上いる会社なら大丈夫。みんなが選ぶ会社だから間違うはずがない」甘い僕はそう思い込んでいました。

その会社は一族経営で、オーナーの権力が絶対。それだけならいいんですが、お客様が喜ぶこととオーナーが喜ぶことがなぜか真逆。超体育会系の会社だったので、恫喝されるよりもお客様に損をさせる仕事をしていました。

社員みんながそんな感じでした。もちろんそんな会社の業績も上がるわけもなく、2,000円あった株価も最終的には50円ほどになる始末。
仕事に希望や楽しさを一切感じられないまま、しかたなく僕はまた、新しい職場を探し始めました。

偶然出会ったハミィ

どんどん下がり続ける株価を尻目に就職活動を続けていた僕は、ある日、小中時代の幼なじみの結婚式に出席しました。そこで隣りに座った人をどこかで見たことある気がしたんですよね。

彼は新郎と高校の友人だったのでもちろん会ったことはありません。話しかけて詳しく聞いてみると、僕が前日に見ていた求人票に写っていた人事の人だったんです!

そこで僕は求人票を見て思っていたことを根掘り葉掘り聞きました。
ストラップなんか売っていて本当に大丈夫なのか?(当時の社名はストラップヤネクスト)とか、会社の雰囲気なんかを細かく細かく聞きました。どうやら売り上げは安定していて業績も好調。会社の雰囲気も明るく人も良いとのことなので改めて応募して、晴れて入社したのは2009年6月のことでした。

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当時の本店サイト。ガチャガチャにぎやか楽しい感じ

常識が常識じゃなくなる

当時のストラップヤに入って一番驚いたのは、忙しいにも関わらず、みんながすごく楽しそうにしていたことです。

それまでの僕は、仕事というのはプライベートを充実させるためのお金を稼ぐ手段としか思っていませんでした。それなのにストラップヤの人たちは、朝7時頃から終電まで、忙しいって言いながら楽しそうに笑顔で仕事をしていたんですよね。しかも仲がいいだけじゃなくて、時には社長とも真剣にぶつかり合っている姿も見えました。

自分の常識から外れたこの景色は、あまりにも衝撃的でした。
忙しい=楽しくない。ぶつかり合う=ケンカ。

そんな常識を持っていた僕は、お客様ではなくオーナーだけを見ながら怒られない仕事のやり方に慣れきっていたんですね。自分の仕事にプライドを持って働いているみんなのことを、最初はなかなか理解できませんでした。

そんな僕ですが、ハミィに入ってもう10年以上経ちました。
どの職場も長く続かなかった僕が、今なぜハミィにい続けるのか。その理由を振り返ってみます。

僕がハミィにいる理由

1.モノサシがある
ハミィでは「クリエイティブ魂に火をつける」というミッションを掲げています。最近は人数も増えて、全社員に浸透しきっているとは言いがたいですが、それでもミッションを追いかけているのはみんな自覚しています。

クリエイティブ魂ってふわっとしていて難しいんですけど、「AIじゃない人間だからこそのワクワク感」みたいなもんだと僕は思っています。そのワクワク感みたいなものを、自分はもちろん、周りやサービスの受け手にまで届けようというのが、ハミィの掲げるミッションです。そんな世界になったら、なんだかハッピーだなぁって思います。

何か決定する時に、「クリ魂が燃えるのはどっちだろう」と考えることは、とってもシンプル。僕が今までしていたオーナーの顔色を伺うよりもよっぽどわかりやすいし、何より自分の頑張りが誰かのワクワク感につながっているという感覚は、精神衛生上とってもいいものです。

2.NOが言いやすい
モノサシがあるのと近いですが、何かを提案しようと思った時にミッションに紐づいているものであれば会社はNOと言えないはずですし、逆に社長の言ったことでもミッションとズレていると感じれば「それって何ででしたっけ?」って聞きやすい雰囲気がハミィにはあります。これとっても大事。

もちろん聞いてみたら、「こういう理由で今はこっち」ってこともあるし、「ならこうしよう!」って微調整もあります。でも聞かないと分かんないですよね。

今までの会社も、聞いたらお客様の満足につながる意図があったのかもしれない。でも聞けない。そんな雰囲気じゃなかったんですよね。上司や会長の前では直立不動を求められていたので。

ハミィでは心理的安全性が確保されているのが本当にありがたいです。もっと安全になったら、もっとハミィのクリエイティブが加速するはず。これからがとっても楽しみ。

3.ワクワクする
この理由はよくわかりません。どんどん成長しているのが実感できるからかなぁ。「またこんなこと始まっちゃったよ(笑)」みたいな感じです。

僕がとくに印象に残っているのは2013年の社名変更のタイミングです。それまでは「ストラップヤネクスト」という社名でした。文字通り主な商材はストラップ。でもガラケーからスマホが多くなってきて、売れ筋もストラップではなくスマホケースや充電器に移ってきました。

名は体を表わさなくなった当時、社長は全社に向けてこう言いました。
「みんなで会社の新しい名前考えてコンペやろう」
自分の会社の名前を考えられるなんて、創業者に与えられた特権だと思っていたので、めっちゃテンション上がりました。

そのコンペには社外の代理店の方もいらっしゃって、プロの方のプレゼンを聞けるのもいい経験でした。最終的には当時の事業ドメイン「happy mobile, easy e-commerce 」の頭文字を取ってHamee株式会社となりました。

良かったです、僕の提案した「天下布笑(てんかふむ)株式会社」になんなくて(笑)。

これは極端な例ですが、何かを変えたいという意志があれば、チャレンジできるチャンスがたくさんある会社だと思います。

4.人がいい
ハミィの好きなところは?って社員に聞くと、必ずと言っていいほど出てくる答えです。なぜかはわかんないですが、本当にみんな優しくて個性豊かな人が多い。社内のイベントや部活動などの交流もさかんです。業務外でも時間を共にすると、その人のいろんな個性が感じられるし、自分のことも分かってもらえる気がします。社内の心理的安全性があるのは、このおかげもあると思います。

コケコッコーの会社では、「他の社員と友だちになってはいけない」という謎の掟があり、その頃は1秒でも早く会社から脱出したいって思っていた僕ですが、今は月曜日も憂鬱じゃありません。

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社員アンケートによるハミィの好きなところ


5.社長の腰が低い
個人的にはここがツボ。
先日社長と飲みに行った新卒社員が
「びっくりしました!社長が全員に料理取り分けているんですよ」って。

言われてみれば、いつもそうしてもらっていました。すっかりその状況に慣れきっちゃっている自分に反省しました。(すみません、社長。)

こんな社長なので、ものすごくみんなを褒めてくれるんですよね。社長は自分は何もできないと本気で思っているようで、「〇〇さんのこういうところ本当にすごいよね、勉強になるよ」って目をキラキラさせながら言っています。上場企業の社長なのに。
僕なんか単純なので、「じゃ、もっと頑張って社長助けちゃお」って思っちゃうんですよね。
他の役員の面々も全然怖くない。社員の力を信じてくれてる感があります。

ウチの会社のダメなところ

ハミィはもちろん完璧な会社ではないので、ダメなところはまだまだたくさんあります。

その1つが朝令暮改
これは当たり前のようにあります。でもこれも、冷静に考えると仕方のないことなのかもしれません。これだけ変化の激しい時代であればどんどんと状況が変わってくるはずです。未知のコロナ対策なんて、新しい発見があったらすぐに方針もアップデートされますもんね。

判断は価値基準×入力情報だって話がありますが、まさにその通り。
価値基準はそのままに、新しく情報がインプットされれば結論が変わってくるのは当たり前です。それをポジティブに捉えられるようになったらいいですよね。

あとは、恵まれすぎているところ
というよりも、他の会社との交流を持っている社員が少ない。
新幹線で通勤できたり、小田原に住むと補助が出たりと、社員のことを考えた福利厚生は、この規模の会社のわりにはかなり手厚いほうだと思います。
でもその価値を社員にうまく伝えられず、徐々に当たり前になってきちゃっている。他の企業の話がもっと耳に入る環境であれば、もう少し違うのかもしれないと思っています。

会長に軟禁されて、月曜に出社して日曜の午後に帰る。新卒時代にそんな社長のもとで働いていた僕の話は極端だとしても、中途社員と新卒社員の交流をさらに活発にして、いろんな会社の話を聞けるようにしていきたいですね。

それでも辞めていく人たちはいる

個人的にはすごくいい会社だなと思うんですが、それでもやはり年間5~10%弱くらいの人たちは辞めていきます。たくさんの知見を持った人たちがハミィを去るのはとても残念なことです。でも、僕はいいことだなと思っています。だってタイミングが合えば、また一緒に働けばいいよねって思っているから。

それまでの間、他の会社から給料をもらって成長して、さらに大きくなってうちの会社で成果を出す。すごくお得だと思いませんか。イメージとしては栽培漁業みたいな感じですかね。

まとめ

ブラック企業の渡り鳥が考える、会社を見極めるポイント
・価値観(会社の目指しているところやモノサシ)に共感できるか
・心理的安全性があるか(面接官同士のやりとりでもだいぶ伝わります)
・自分の限られた時間を費やしても良いと納得できる環境か(楽しさ、人間関係、トップの人柄)

今回記事を書くにあたって会社のことを振り返ってみたら、「自分はあらためて恵まれているな」と思いました。もちろん日々大変なこともたくさんあるけれど、それを補って余りある楽しさをもらえている。そんな会社です、ハミィは。

この振り返りが転職を考えている人たちのお役に立つと嬉しいです。
こんなうちの会社に興味が湧いたら、ぜひホームページ他の記事も読んでみてください。そして小田原のオフィスに遊びに来てください。
そんなあなたといつか一緒にクリエイティブ魂を燃やす時が来るのを楽しみにしていまーす!

社長のことがちょっと気になった方はこちら。

Hamee株式会社の採用情報が気になった方はこちら。


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