Ryo Hamamoto

化学会社の研究職。製造から研究部署を渡り歩いて、現在新規事業創出を個人的に思考している。

Ryo Hamamoto

化学会社の研究職。製造から研究部署を渡り歩いて、現在新規事業創出を個人的に思考している。

最近の記事

新規事業がデフレ状態なら、対応策が思いつく

はじめに 昨今、日本の企業からイノベーションや新規事業が生まれないという課題がある。企業の研究職として勤務しているために、どうやって研究を事業に結びつけることができるのか?解決策はないのか?日々悶々としている。そんな中最近、日本のデフレ政策について説明した動画を見ていたら、ふと、『イノベーション・新規事業もデフレ状態』なのでは?という仮説に行きついた。その備忘録として残しておく。 前提_経済におけるデフレとインフレ日本のデフレ対策について、表で分かりやすく説明しているのが、

    • ブルーロックから学ぶキャリア論

      ブルーロックというアニメをご存じでしょうか?サッカー漫画らしいのですが、たまたまW杯期間中だったこともあって、一話見だすとハマってしまいました。なぜ、こんなに自分の心をつかむんだろうと思っていたら、どうやら、サラリーマンのの悶々とした状況とそっくりなんだと気づきました。今回は、その気づきをメモします。 ①己の武器をみつけろ 武器を見つけること、それこそがブルーロックを生き抜く最初の試練であると説く。サッカーにおける武器としては、例えば、メッシのドリブルやシュート、クリステ

      • クズ会議を撲滅せよ~世界で一番やさしい会議の教科書~

        背景 サラリーマンは、「約3万時間(8年分)」が一生の会議時間という衝撃的な事実から始まる本書は、そのサラリーマンが多く時間を費やす会議が、あまりにお粗末であり、この会議を改善することが、日本の生産性を高めるために重要な戦略的アジェンダだと説明している。以下に、詳細な説明を抜粋しているので、少しでも会議に不満がある方は、是非役立ててみて欲しい。 ファシリテーションの定義 会議といえば、『ファシリテーション』というくらい、近年ではこの言葉が広く知れ渡っている。では、改めて

        • イノベーションの不確定性原理

          イノベーションは、非連続的な変化であるという印象が強い。しかし、それはイノベーションを、外側から観察した印象であり、内側から眺めると、トライアンドエラーの繰り返しによって起こる、漸進的な変化であることを、我々は改めて認識する必要がある。 イノベーションとは、何か? 筆者らは、イノベーションをこう定義している 発明という観点では、火の発見、石器、車輪など、様々な発明がある。しかし、これらは、人々の生活を一変させることがなかった点から、イノベーションとはいえない。一方で、ス

        新規事業がデフレ状態なら、対応策が思いつく

          特許性と個人キャリアの交差点

          サラリーマン技術者として、特許を取得するという仕事も大きな割合を占める。その特許取得のプロセスの中で、個人のキャリアと共通する点が見えてきたので、今回考察してみたい。 特許性について特許の詳しいことは、専門資料を見て頂くとして、技術者の経験談から述べていく。基本新しい(と自分では思っている)技術を開発ができ、特許取得にチャレンジしようという段階になったとする。すると、他に似たような製品がないか、特許的な目線で調べることになる(下図)。 ステップ①:比べる 左の表に示すよう

          特許性と個人キャリアの交差点

          国家の品格_後編

          背景前編では、論理的に考えてても、人間社会の問題を解決できないのか?について、筆者の主張を紹介しました。 後編では、では、これからどうすべきか?について触れていきましょう。 情緒を感じる筆者の主張では、論理的思考は、これまでの歴史が示すように確かに重要である、しかし世界の現状と論理の限界性を鑑みれば、論理だけではこの先世界が破綻してしまう。 ではどうすべきなのか?出発点を見誤らないために、何をアドオンすべきなのか?筆者は、日本古来の『情緒』が重要だと述べます。以下、その理

          国家の品格_後編

          国家の品格_前編

          背景 産業革命以降、文明の発展には論理や合理の上に成り立ってきた。しかし、現在はその論理を過信し、人間社会までに展開てしまったために、日本を含めた先進国が荒廃していると筆者は指摘する。では、なぜ論理や合理に基づいているのに、負の効果が表れているのか?論理の限界とその克服方法について、筆者が考察している。 論理の限界なぜ論理的に考えてても、人間社会の問題を解決できないのか?具体的には、以下の4点つの限界がある。 ①論理の限界:人間である限り、その論理には限界がある。具体的な

          国家の品格_前編

          技術を社会実装するために_メモ

          リアルテックファンド永田 暁彦「僕が、社会課題の解決に全力を注ぐ理由」 https://www.youtube.com/watch?v=zVgJfWsMsic 技術を社会実装するために、必要な視点が多くあったので、メモ。 ・(11分33秒、33分08秒)ユーグレナで、液体燃料事業の研究に8年も投資できているのは、別の事業(健康食品)でキャッシュを生み出す、マネタイズできる仕組みを作っているから。技術ベンチャーでは、まずこのような仕組みつくりを目指す。 ・(26分45秒)

          技術を社会実装するために_メモ

          コモンを増やすためには?

          背景九州から神奈川県に転勤してきた。転勤によって家族と暮らせることは喜ばしい。しかし、都会暮らしが初めてのせいか、こちらの暮らしに底知れる違和感を感じていた。そのもやもやとした輪郭を鮮やかに描き出してくれたのが、『人新世の資本論』であった。 https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-721135-1 資本主義の弊害私が最も違和感を覚えたのは、都会での家賃や家の値段である。自分の好きな街に住

          コモンを増やすためには?

          【読書まとめ】他者と働く (後編)

          前半では、『対話』の役割/機能を刷新できる概念について、本書での定義を述べた。後半のまとめでは、その対話をいかに実践していくか?そのプロセスについてまとめてみたい。 概要対話によって適応課題を解く(相手との溝に橋をかける)ためには、①準備→②観察→③解釈→④介入 4つの段階があると述べられている。特に①の準備段階において、いかに自分の解釈や意味づけから離れられるかが重要である。そして①~④で一つのサイクルとすると、フィードバックを与えて、さらに繰り返しそのサイクルを回すこと

          【読書まとめ】他者と働く (後編)

          【読書まとめ】他者と働く (前編)

          これまで、『対話』についての重要性や可能性についての話をしてきたが、さらに対話の役割/機能を刷新できる概念に出会ったので、こちらでまとめておく。 概要本書では、『対話』という概念が刷新された、より実践において明確になったという点で非常に興味深い内容だと感じた。本書での対話の概念とは、『技術的に解決できない問題(=適応課題)を解くための手法であり、他社との新しい関係を構築することである』と述べられている。また対話のプロセスとして、①準備→②観察→③解釈→④介入 4つの段階があ

          【読書まとめ】他者と働く (前編)

          ダイアローグ 対話する組織(後編)

          背景 前回は、対話とは、相手の意味づけのプロセスを理解できる(共感)ことで、協調的な行動を促す効果があることを理解した。 後半では、対話によってその集団(会社組織、学級、コミュニティ)にどのような影響を与えるのかをまとめる。具体的に、集団へ与える効果としては①協調的な問題解決が可能②知識の共有③組織の変革といわれている。以下、それぞれ、具体的に説明していく。 ①協調的な問題解決が可能イノベーションの活性化のためには、多様な専門性のメンバー同士でチームをつくる必要性が述べ

          ダイアローグ 対話する組織(後編)

          ダイアローグ 対話する組織(前編)

          背景対話における不思議な効果については、これまで述べてきた通りだが、 この効果についての学術的な観点からの説明をしてくれる書籍があったので、こちらにまとめておく。 参考文献: 導管メタファー現在、教育やビジネスの現場では、導管メタファーによるコミュニケーション主流となっている。導管メタファーとは、情報を有形のモノとして捉え、話し手から受け手の間のパイプを通して、情報を伝達するというコミュニケーション観である。主に産業革命時に、標準化した労働力を大量に生成するために考えら

          ダイアローグ 対話する組織(前編)

          対話における『問い』の重要性

          イントロ個人的に『対話』の重要性に気づいてから、他の人がどのように感じるのか?調べてみたくなったので、まずはスモールスタートということで、社内において、オンラインミーティングにトライしてみた。仮説を実験によって証明していくのは、この10年間の一つの習慣となっている。 実験的に5人のグループを2つ作って、それぞれの興味のある話題について気の向くままに話してもらった。またできるだけ、当日の時間が有意義になるように、事前にテーマに沿った各自の話したいトピックについて準備してもらっ

          対話における『問い』の重要性

          対話の重要性に気づくまで

          2020年、年明けに何か新しいことを始めようと思った。 思い返してみると、何やら中国で怪しげなウイルスが蔓延しているなと思っていたが、当時はあまり心配してなかったことを思い出した。 仕事も丸10年を迎えて、今後のキャリアについて考えてたこの時期に、私が着目したのは、『対話』というキーワードである。 インターネットが普及してからというもの、情報のやりとりは効率的となり、コモディティー化した反面、人と人とがリアルにつながるモノ・コトの価値が高くなっていると感じていた。つまり、

          対話の重要性に気づくまで