クズ会議を撲滅せよ~世界で一番やさしい会議の教科書~

背景


サラリーマンは、「約3万時間(8年分)」が一生の会議時間という衝撃的な事実から始まる本書は、そのサラリーマンが多く時間を費やす会議が、あまりにお粗末であり、この会議を改善することが、日本の生産性を高めるために重要な戦略的アジェンダだと説明している。以下に、詳細な説明を抜粋しているので、少しでも会議に不満がある方は、是非役立ててみて欲しい。

ファシリテーションの定義

会議といえば、『ファシリテーション』というくらい、近年ではこの言葉が広く知れ渡っている。では、改めてファシリテーションとは何をすることだろうか、本書では以下のように定義されている。

1_場をつくる
2_意見を引き出す
3_整理して構造化する
4_まとめる

ファシリテーションとは、上記のように『あるゴールを達成するために、人々の能力を最大限に引き出す技術』である。
つまり、会議におけるファシリテーションとは、

会議のゴールを達成するために必要なことをする行為の

ことであり、決して会議の司会進行のことだけを指すのではなく、その行為を行うのは、何も一人である必要がない(というか、全員が一定のファシリテーションを実践することこそが重要である)

8つの基本動作


会議前_【準備する】

①会議前に4つのPを用意する。

  1. Purpose : 何を達成したいのか?会議の終了条件(これが達成されたら終わり)を決めておく。

  2. People : 上記終了条件を達成するために、参加すべき人を決める。逆にいうと、参加しなくてもいい人は呼ばないべきである

  3. Process : 話し合うべき「課題」や「論点」を明確にし、進め方(時間配分等)をシミュレーションする

  4. Propety : 必要なモノ(会議室、ホワイトボード、付箋 etc)を準備する


会議開始_【★確認する】

★②会議の終了条件(これが達成されたら終わり)を確認する。

Tips
前提として会議とは、「状態の変化を起こすため」に行うものである。よって、変化しない場合には会議を実施した意味がなくなる。
状態の変化の例としては、以下のようなものがある。

①人の変化:他人に教えられる状態になる、
      部長が意思決定できる状態になる
②モノの変化:新しい業務フローができた
       報告書が完成した
③意思の変化:A,B,C案から一つ選ぶことができた
       Go or not Goの判断ができた

なお、NGな会議の例としては、以下が挙げられていた
「目的が設定されていない会議」
「~を共有すること」「~を議論すること」という「〇〇すること」が目的となる会議。

会議中_【書く】【矢面に立つ】

④会議中に議論を可視化する
 問いや論点がズレていると話がかみ合わず、会議の終了条件を達成することが難しくなる。また、ある程度時間のある会議だと、最初に決まったことなどを思い出すのも難しい。そのためにも、是非「ゴール」「論点」「決まったこと」を全員に分かるように書いて共有することが重要である。

⑤全員から主張を引き出す ⑥対話を促し、合意形成する
会議を議論の場とするなら、より多くの意見を出し合い、「俺のA案」でもなく「あいつのB案」でもない、「よりよいC案」を見つけることが理想的である。【場を作って、意見を引き出す】ことがファシリテーションの役割ならば、まさにうってつけの役割である。細かいテクニックは本書に譲るとして、ここでは特に重要だと思った『合意形成の氷山モデル』について述べたい。
議論の際に出てくる各人の「意見」は、すべて各人の「経験、価値観、感情」に基づいている(認知の4点セット)。本当の意味での合意形成のためには、意見同志をぶつるだけでなく、氷山の下に隠れている、「経験、価値観、感情」をぶつける必要がある。しかし、隠れている部分は通常は見えないので、見える化するために『なぜ、そう思うのですか?』と聞いてほしい。これによって、各人の隠れた経験などを見える化でき、本当の意味での合意形成が促される。

会議終了_【★確認する】

★⑧「決まったこと」と「やるべきこと」を確認する

上記①〜⑦に気をつけて会議を実施すると、それなりに議論も白熱するだろう。しかし、一日経って『あれ、決まったこと何だっけ?』となってしまっては、ここまでの努力が台無しである。そのためにも、【会議終了時に決まったことを確認する】ことが何よりも重要である。
特に「決まったこと」と「やるべきこと」を確認する際には、必ず「担当者」と「期限」をセットで決める必要がある。これがないと、結局、会議の目的である【状態の変化】を起こすことができないためである。

まとめ

社会人になって10数年経つが、参加する会議の数は増える一方である。しかし、参加するたびに、底知れぬ不快感が沸き上がり、そんな日々に辟易していた。本書を読んで、私の内側にある違和感の正体がクリアになっていったように感じた。本書は多くの社会人に浸透して、日本社会からクズ会議が一掃されることこそ、日本社会の発展に寄与できると信じてやまない。

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