新旧ハンガリー国際私法における、ある抵触規則の改廃について

以前ツイッターで以下のつぶやきをしました。

国際私法(準拠法決定ルール)は、強行性(強行法規である)があると考えられています。日本において契約準拠法等の準拠法決定方法が当事者自治であるのも、強行法規である国際私法において、準拠法選択ルールとして定められているところを前提としています。

一方、上記の強行性と反する見解として、任意性を認める、つまり、当事者が求める場合にのみ、国際私法により準拠法の選択がなされ外国法の適用を受ける、というものもあります(ありました)。

その見解として引き合いにだされるのがハンガリーの1979年国際私法の第9条です(注1)。同規定は、当事者が1979年国際私法による適用を欲しないことを申し立てた場合には、ハンガリー法が適用されるとするものです(注2)。

ハンガリーでは、平成30年(2018)年1月1日より、新しい国際私法が施行されていますが、同新法につき、戸籍時報の770号(平成30年7月号)に、笠原俊宏教授による(独訳の)和訳があります。そこでは、上記旧法9条のような規定が、総則部分にはありません(注3)。

注1:溜池良夫(1993).国際私法講義(第2版)有斐閣 19頁

注2:同条では、ハンガリー法だけでなく、当事者の選択した法も適用しうる旨規定されています。

注3:戸籍時報においては、同法の注目されるべき点として、「最密接関連性の原則、当事者自治の原則、弱者利益の保護をはじめとする有利性の原則等に基づく諸規則の採用の状況の如何であろう」としています。そこで、それとは異なる点について、ノートした次第です。

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