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ちょっと仕事(再エネ)の話をしようかな#1

このnoteでは日々思うことを思うがままに書き綴っているのですが、今の生活で最も時間を割いている自分の「仕事」について書いてみようと思います。
もし、これから私の会社と同じ産業を志そうとしている方や企業にとって、すぐに使えるノウハウも一部含まれていると思いますので、一部有料記事とさせていただきます。

とてもとても長く、細かな説明や個人的な想いが爆発した内容になるかと思いますが、お付き合いください。

再生可能エネルギー発電所を開発する仕事

私は福岡に本社のある再生可能エネルギー事業をする会社に勤務しており、その中で再生可能エネルギー発電所を建設するための準備をする仕事(=「開発」業務)をしています。

再生可能エネルギーって何?

再生可能エネルギーという言葉の定義は広いのですが、

再生可能エネルギーの定義
エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)においては、「再生可能エネルギー源」について、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されており、政令において、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存する熱・バイオマスが定められています。

経済産業省 資源エネルギー庁 HPより抜粋

とされています。

私の所属する会社では「太陽光」「風力」「水力(小型)」「木質バイオマス」の再生可能エネルギーを利用した発電所を作る(開発・建設)事業、及びその発電所で作った電気を供給する事業、更には発電所の保有・保守管理をする事業をおこなっています。

その中で私の担当業務をご説明すると・・・

私は主に太陽光発電所の建設の準備(開発)をする業務に従事しています。
主な業務内容は…
 ・土地のオーナーと土地利用の合意を得る
 ・自治体から建設のための許認可を取得する
 ・地域住民に発電所建設の理解を得る
 ・発電所建設のための資金調達
 ・発電所建設する元請け会社発注・コストと納期管理

この5つです。

これらの業務について担当する発電所開発プロジェクトマネージャーとして、一人でプロジェクトを進めています。

なぜ今、再生可能エネルギーが必要なのか?

割と誤解の多い再生可能エネルギー

プロジェクトのある地域において、再生可能エネルギー発電所を作ることの説明やその建設への同意を得ていく過程で、一般の方に再生可能エネルギーが大きく誤解されていたり、偏った情報だけで捉えられていることが多いと感じています。
具体的なものをいくつか挙げたいと思います。

  1. 気候変動→脱炭素の解決策としての側面しか見ていない誤解
    「再生可能エネルギー=非化石=脱炭素」という理解から、再生可能エネルギーの存在意義は脱炭素だけであるという見方をされてしまうことがありますが、実はそれだけではありません。
    ・国家安全保障(エネルギーの輸入率を下げられる)の側面
    ・災害対策(電源分散化によって大型停電を避ける)の側面
    ・将来的な電気代低減の側面
    というように、割と皆さんに身近な問題の解決の一助となっていることも多いのです。

  2. 太陽光発電事業者は補助金の過剰受給している業者だという誤解
    2012年から政府主導で、長期的な電源構成比率変更を狙った再生可能エネルギー発電所の導入が加速的に進められてきていました。
    当然、その加速度を上げるために公的資金を使って、再生可能エネルギー発電所で出来た電気を高い値段で長期間(20年間)買い取る制度を作り、再生可能エネルギー事業への参入プレミアムを事業者に与えてきました。

    この制度を悪用し、事業に早期参入した一部の事業者が、再生可能エネルギー導入の長期的な思想(電源構成比率)を無視して作った発電所があったり、発電書の売却益だけをねらったような開発を行ったり、地域の方を無視した開発を行ったりした事もあったのです。

    これにより、発電事業者は利己主義な開発業者、利益や補助金受給のために無理な開発を進める集団だという印象を持たれている方もいらっしゃいます。

    しかし、今日現在ではこの制度にほぼ経済的メリットを見出すことが難しく、今日時点でも発電所開発を続けている会社は決して金儲けだけ、補助金受給だけを目的としていないといえる状況にあるのです。

  3. 大規模伐採・土地造成、、、これこそが環境破壊ではないかという誤解
    無理な伐採、土地造成は明らかな環境であることはこの事業にいる身としても完全に同意します。実際に痛ましい事故もいくつか発生しているのも事実です。
    しかし、太陽光発電所などは大規模な造成をしたり傾斜の厳しい山林の樹木伐採したりすると、工事コストが高く付きすぎて事業採算性を大幅に悪化させます。
    また、各自治体でもそのような大規模伐採をする場合は地域の方の同意や、防災設備の完備、環境負荷への配慮などを指示される政令や条例が備えられているため、基本的にはこのような大規模伐採や造成は避けられている傾向にありますので、環境破壊をしてまで発電所設置を目指す事業者はほぼ皆無といえると思います。

しかしまだ課題が山積している産業ではある

再生可能エネルギーの産業は将来にとって必要な産業であることは、私自身現場の最前線にいる身としては胸を張って言えることではありますが、一方で、産業として勃興したばかりで、成熟するにはまだ時間がかかるものであると考えています。
特に、まだ以下の問題は解決出来ているとは言えません。

パネルリサイクルや廃パネルの処理について
 技術的に不可能ではないが、リサイクルや廃棄がビジネスとして成熟していないので、今の時点でパネルの廃棄は産業廃棄物という選択肢しかないことなどは今後の課題です。

電気の需給管理について
 再生可能エネルギーは原子力発電所や火力発電所と違い、一定の量の発電を長く続けることが難しいものが多くあります。
太陽光発電所を例に取ってみると、日中の日が照るときは発電しますが、日没後は発電は止まることから、Volatility(不安定さ)を抱えた発電所と言えるわけです。

この中で、既存の発電所(火力)と再エネを混ぜて発電し、それを需要家に供給しようとした場合に、需要と供給のバランスが崩れてしまう可能性が非常に高くなりますが、これがとても危険で、「需要量>供給量」という需要過多の状況担った場合は、最悪の場合は大規模停電を引き起こすことがあります。

 北海道でも、通常は、50Hz(ヘルツ)という周波数の水準が維持されていました。しかし大地震の後、需要に対する供給がバランスを崩し、電気が足りなくなって周波数が下がったことから、大停電が実際に起きてしまったのです。

経済産業省 資源エネルギー庁 HPより抜粋
経済産業省 資源エネルギー庁 HPから抜粋

よって、この受給管理が再エネが増えることに比例して難易度が増していくので、この受給管理の仕組みが重要になっていくのですが、現時点で日本ではこの受給管理の仕組みは、まだ産声を上げたばかりできちんとした需給管理サービスを提供する会社はまだ数えるほどです。

なぜ私は再エネ産業を志したのか?

#2に続く)


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