見出し画像

ちょっと仕事(再エネ)の話をしようかな#2

なぜ私が再エネ産業を志したのか?

それは体感と有名選手の死から始まった

学生時代、ずっと私はアメリカンフットボール部に所属して日々練習に励んでいました。

アメリカンフットボールは防具やヘルメットを装着して行う屋外競技なので、普通の屋外スポーツと比較すると体に熱がこもりやすい競技なんです。

しかも、大学生のリーグは秋からお正月にかけてが本番なので、春から夏にかけての練習の強度を上げる必要があります。
当然、夏合宿のようなものは避暑地で行うのですが、それ以外は基本的に学校のグラウンドで昼間か夕方に練習を行います。

夏の練習は過酷です。
酷暑の中で練習をして、しかもそれを暑さ対策・スタミナ強化という名目でいわゆる暑さ慣れのために行うものなのですが、もう熱を逃がすことが大変なのです。

私は丸坊主にして、練習と練習の合間に必ずヘルメットを取って頭から水をかぶるようにしてなんとか凌いでました。

「このスポーツって、暑さに耐える競技なのかな・・・」

そんな事を思っていた最中、アメリカのプロアメフト選手が熱中症で死亡するというニュースを目にします。

これはとてもショッキングなニュースでした。
自分と同じスポーツをやっている選手、しかもプロになったレベルの選手が、練習中に熱中症になる、その事自体がとても驚きでした。
強くて上手な選手はそういう熱耐性が高いと思いこんでいたからです。
でも、その選手が、熱中症の影響で死亡するわけです。
しかもルーキーの選手ではなく、プロでも数年活躍している選手。
つまり、去年も一昨年も同じ強度で練習をしていたはずで、かつ、その選手になにか先天性の疾患があったわけではないようなのです。

そのニュースをみて、私はあることを悟ります。

「きっと気温が昔よりも暑くなっているんだ。」

今思えばどうしてこのような発想に至ったのか不明なのですが、何故かこのときはそう考えました。(普通だったらコーチの練習メニューが過酷だったんだろう、とかそういう発想になると思うんだけど・・・)

再エネ産業に従事している人は概ね地球温暖化を解決したい人が多いのですが、その中でも特にアウトドアなどの活動で植物や生物の生態変化を感じて温暖化に危機感を持ってこの産業のjoinする人が多いのです。

しかし、私の場合は一人のプロアメフト選手の死、これが温暖化に気付かされたきっかけだったのでした。

次に涼しく生きるにはどうするかを考えた

大学3年生のとき、理系学生だった私は専攻する学科の中で研究するテーマを考えさせられます。(いわゆる研究室決め)

そのときに
「せめて、家の中では涼しく快適に暮らせるようにしたいな」

そう思った私は、(建築学科の学生だったので)研究テーマを建築環境工学、つまり、空調関連のテーマにすることに決めます。

「冷やす、温めるを効率よく快適にできる住宅ってどういう仕組なのか」

と考えますが、その後研究室の先生の授業で意外なことを聞きます。

「空調で冷やしたり温めたりしても、結局それは地球を温めることにつながってしまっている」

温室効果ガスの話は20年前も当然一般常識とされていて私も知っていましたが、ガソリンエンジンなどを使っていないのに、何故空調を使うことが地球に温めるのか、到底理解できませんでした。

しかし、研究室のゼミや先輩方はこういうのです。
まず都心で電気を使うと電気のロスがとても多い。
 →電線、変圧器などを通るので抵抗値によってロス率が上がる
・発電所は火力が主力なので結果的に温室効果ガスは出ている
 →結局は車と同じ、遠いところにエンジンがあって、エネルギーを動力しないで電気にしたってだけ。

・なので、電気を使わないで空調を管理する方法が必要
 →いわゆる、パッシブ空調

この説明を聞いて私は、漠然とこんな事を考え始めます。

「電気を使わない生活をつくることか、温室効果ガスをでない方法の電気をつくる仕事をしてみようかな」

これが私の志望動機の根幹にあるストーリーでした。

再エネは誰の何のためのもの?

別に発電行為だけが温暖化に影響しているわけないよ、の話

「再エネ拡大が地球温暖化を防ぐ」という話をよく耳にします。
じつはコレ、結構乱暴な言葉だなと感じます。

正確には
「再エネ拡大"も"地球温暖化を防ぐ」
ですね。

自動車や工場の排ガス、酪農他にも温室効果ガスをだすものがたくさんありますが、あくまでも電力は温暖化を防ぐ一つの手段でしかないので、そこはキチンと整理して考える必要があります。

ただ、太陽光や風力の発電所というのはわかりやすい構造物ですから、少し政治的にというか、わかりやすさの象徴のようにいい意味でも悪い意味でも使われてしまっているように思います。

再エネは決して温暖化のためだけじゃない

じゃあ、何のための再エネなのかというと環境問題以外においては、私は以下のように整理しています。めちゃくちゃ素人向けに書いていますので電力業界に詳しい方は読み飛ばしてください。

・停電の影響を減らす
・カントリーリスクを減らす

①停電の影響を減らす
これは#1でも書いているのですが、再エネが停電とどうつながっているのか、エネルギー産業に関わりのない人にとっては意外と思われるかもしれません。

しかし、普段使っている電気が当たり前に使えるのは、供給量と需要量が一致している、つまり「供給量=需要量」の状況が常に保たれているからです。

しかし、災害などが起こると大型の発電所が運転停止したりすると、一気に供給量と需要量が「供給量<需要量」逆転してしまいます。

仮にこれが電力ではなく、ガソリンだった場合は、ガソリン買えた人ガソリン買えなかった人が発生するのは容易に想像つくと思います。

では、電力では何が起こるでしょうか。
電気が使える人電気が使えない人が発生するでしょうか?

答えはNoです。

実はそうなりません。
周波数が落ちるのです。

周波数を説明しようとすると、高校物理の話になってしまうのでココで説明するのは避けますが、要は周波数は電気の「質」だと思ってください。

この周波数が一定であるためには、需要量=供給量にする必要があって、これが動くと周波数が不安定になる、つまり「質」の悪い電力が電線網に行き渡るので、その送電網すべての変電所の機械が壊れたり、正常に動かなくなったり、需要家が使う設備や機械が故障したりして最終的には大規模停電に至るのです。

じゃあ、そこに再エネはどう貢献できるのか?というと、再エネ発電所だって災害などでも壊れます。

壊れるのですが、再エネ発電所は火力発電所と違って、発電量の規模が少規模で、かつ、各地に分散している電源なので、大きな災害があっても被害の代償はその発電所によって異なります。
つまり、一気に供給量をつくる火力発電所や原子力発電所と異なり、一気に供給量が落ちて需要量とバランスが崩れてしまう可能性は大いに下がるわけです。
つまり停電になる可能性は今よりも下がる、というわけです。

これは、実際に北海道などでも過去に発生している事例で、実際に今現在も電力会社から節電の要請が来ているのもこの停電リスクのためです。

なので、この停電リスク軽減に対する再エネの影響力はとても大きいものだと思います。

②カントリーリスクを減らす。
カントリーリスクって何でしょうかね。笑

小難しいことに言及するのは避けると決めているこのnoteですが、ちょっと説明すると、ある商材を輸出入する先の国の情勢(戦争、政治など)によってあるべき取引ができなくなるリスクのこととでも理解してもらえれば良いと思います。

では、再エネはなぜカントリーリスクを避けられるか?

それは小学校の頃から社会の時間で習っている通り、日本はエネルギー資源に乏しく、石油・ガス、ひいてはウランなど原子力発電に必要な物質についても、時刻の需要を賄うことが出来ません。

再エネは、そういった燃料を必要としない電源なので、再エネ発電所の電源構成率を上げると、石油の値段やガスの値段にエネルギーの価格が影響される度合いが下がるわけです。

そういう意味で、日本という国の国家安全保障上の問題とも再エネは密接に関わっているわけなのです。

では何故再エネ普及が進まないのか?

(#3に続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?