見出し画像

【採択者紹介】株式会社モダンシングス ~『選別と解釈と饒舌さの共生』①~

全国・世界・地元から、福島県浜通り12市町村にて芸術家が滞在制作をする「ハマカルアートプロジェクト」(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業)。

その採択プログラムのひとつ、株式会社モダンシングスによる
『選別と解釈と饒舌さの共生』をご紹介します。

プログラム内容は、フィールドレコーディング。

今回はそのフィールドレコーディングについて、お伝えしたいと思います!

取材先のふたば未来学園


【フィールドレコーディングとは…】

現代音楽やサウンド・アートの文脈、60年代末からつづくサウンドスケープ(音風景)と環境音楽、90年代では音響派ブームのなかで取り上げられる機会の多かった音楽ジャンルであると同時に、人類学・民族音楽学などの学術の領域での研究手法として広く行われてきたものです。
スタジオやステージなど通常の録音環境の外部での録音を指し、こうした録音は、例えば、民族音楽学や生物音響学の調査、演説の記録、映画のサウンドトラックやラジオドラマ、音楽に雰囲気を添える効果音などに活用され、次第にひとつの芸術形式として確立されていきました。
この芸術形式としての狭義のフィールド・レコーディングは、近年、「フォトグラフィー」と対比して「フォノグラフィー」とも呼ばれています。
録音技術は誕生から現在まで、主に言語や音楽の記録のために使用されていますが、録音装置の発明当初から、エキゾチックな環境音や自然音の記録もまた、単独でまたは映像や音楽に添えられて、広く楽しまれてきました。

2021年に東京大学大学院情報学環准教授の開沼博(滞在作家)が制作したフィールドレコーディング作品「選別と解釈と饒舌さの共生」は、核セキュリティの観点から、視覚的な撮影・取材に厳しい制限がかかる福島第一原子力発電所内において、その制限が解かれる「音声」の収録に着眼した開沼博のフィールドレコーディングを主軸に、小説家の古川日出男のテキスト、写真家の大森 克己の写真を添えて発表され、福島第一原子力発電所内の現状と日常を雄弁に伝えています。

本事業は、その続編に位置し、前作の“外”側である地域を対象に、
社会学者の開沼博によるフィールドレコーディング、
写真家の大森克己による写真、
小説家の古川日出男によるテキストを作成します。

本来、地続きであるエリアに図らずも引かれてしまった境界線。
本作品がその見えない境界線をまたぐ現状、
そしてこれからの未来を語り合う一助になることを目標とします。

フィールドレコーディングについての説明
参照:https://artscape.jp/artword/index.php/フィールド・レコーディング

レコーディング作品「選別と解釈と饒舌さの共生」
詳しく見る:https://lttf.official.ec


次回は3名の滞在作家についてお届けします!