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【プロジェクト紹介】福島中央テレビ~テレビの電波を越えて全国へ「福島」を伝える②~

全国・世界・地元から、福島県12市町村に、芸術家が集まり、滞在制作をするハマカルアートプロジェクト(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業)。
採択者とその活動を紹介しています。
どのような人々が、どのようなアートを福島県東部の12市町村でつくろうとしているのでしょうか?
今回は、南相馬市小高区を中心として、アーティスト・イン・レジデンスのプログラムにて映画制作を展開する福島中央テレビ佐藤亮介さんと共に映画作りをする福田果歩さんの活動についての紹介です。

お二人の紹介記事はこちら

福島を取材し続けた人×福島と向き合う人

「我々がやるんだから、生きた理解をしてもらって、書いてもらいたいなと思ったので」そう語るのは福島中央テレビに勤務する佐藤さん。
脚本家の福田さんを福島に招へいし、まず初めに行ったことは、福田さん自身に福島のことを知ってもらうこと。
当時のアーカイブ映像を見ながら、最前線にいた記者の方の話を聞いたり、東日本大震災・原子力災害伝承館や震災遺構浪江町立請戸小学校へ訪れたり、双葉産業交流センターへ行ったりするなど、震災関連のことを広く知る所からスタートしました。

その後は、南相馬市のコワーキングスペースや地元のフィルムコミッションのオフィスを本拠地としながら、取材を開始。

地元住民の方(中央)に取材を行う佐藤さん(左)と福田さん(右)

プロットと呼ばれる脚本の前段階を制作しつつ、そこから取材内容をもとに、脚本を仕上げていきます。
筆者が取材した時点で、15人以上の関係者・地元住民へ取材していました。
取材を通して福田さんは「取材を通していろんな方のお話を聞いて、福島のこと、震災のこと、自分が感じたことを構築していきたいなと考えていて。今回取材して(脚本の)大きなヒントをもらえました」と語りました。

真実の物語を全国へ 合唱曲『群青』

今回の映画制作の中心となるのは、合唱曲『群青』。
この曲は、当時、南相馬市立小高中学校にて教師を務めていた小田美樹さんと平成24年度卒業生により作詞作曲されたものです。

作曲者:小田 美樹(おだ みき)
編曲者:信長 貴富
出版社:Pana Musica.
作詞者:福島県南相馬市立小高中学校平成24年度卒業生(構成・小田美樹)

出展:PANA MUCIKA https://www.panamusica.co.jp/ja/product/15179

この曲ができるまでの過程と、そして、群青の世代の子たちが大人になってからの物語を脚本にして、映画制作を行うのが目標。「ただの過去の悲劇のクローズアップだけじゃない作品が作れて、それはやはり、地元メディアが作るべきものなんじゃないかなと思っていて」と語る佐藤さん。
震災関連の様々な作品が作られる中で、地元メディアだからこそやるべきこととして、全国へ福島を発信したいと考えています。

南相馬市の朝日座取材時の福田さんと佐藤さん

公開に向けて

2023年度の活動は取材とプロット、そして脚本制作。映画制作に向けて、応援してもらえる体制づくりを行い、地元の人との交流を図ると同時に、県内での認知度を高めていくと言います。
目指すところは30年後、おじいちゃん、おばあちゃんになった人たちが、「この映画に出たんだよ」「この話、あの脚本家に私が話したんだよ」といった、地元の人に愛してもらえる作品にすること。そして映画を通し、全国の人に今の福島を知ってもらうこと。

映画の完成予定は2025年度または2026年度。
2人の活動は今後も続いていきます。