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ホラー談議



「ホラー映画は好きじゃないのかもしれない」


この曖昧な言葉は私の口から出た、私を説明する言葉。「かもしれない」の言葉通り、自分でもまだよく分かっていない。ホラーが好きなのか嫌いなのかを。

これから話すのは、友達との会話の中で浮き彫りになっていった、ホラー映画に対する私の気持ち。


※怖い画像や怖い話は出てきませんが、最後におすすめのホラー映画の紹介をするのでそこに多少怖い画像(パッケージ)が出てきます。


映画鑑賞後に訪れたカフェでホラー映画の話について盛り上がった。観た映画はサム・ライミがプロデュースしている映画。そこには彼らしい要素が加わっていた(その映画はSF)。

私の思う彼らしい要素というのは、ビクッとさせてくる、脅かしてくる演出のこと。ここ最近だと『ドクターストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』がまさにそうで、暗闇の中からバッと出てくるような脅かし方が頻出する。彼の作品はどれも芸術的でジャンル関係なく好き。ということを先に話しておいた上で、その日の会話内容を綴っていく。


友「6月はミーガンが公開されるね。なんかもう続編が決まってるらしいよ」
私「どうする。観る?なんか踊ってる動画は予告でちらっと見えたけど」
友「ジェームズ・ワンが関わってるから一応観る」
私「ジェームズ・ワンってどっちだっけ?」

最後の質問は、私と友達との間でいつも行われる、定番となっているが一向に答えを覚えられない問い。それ自体を思い出せないよりかは、組み合わせがわかんなくなるといったもので、さながらそれはパスワードの使い回しのような、候補はあるけどどれだっけなというような───

「ジェームズ・ワン」「M・ナイト・シャマラン」そして「シックスセンス」「死霊館」。どれが誰の作品で誰がどれの監督だかがわかなくなる。特にこの御二方は。

ということはまあ重要じゃなくて、そこから二人で、最近のジェームズ・ワンはホラーというかアクション性が強いというか、キャラを作ることを重視している気がするねという話になった。

それをきっかけに二人の話題はホラー映画へ。


「びっくりさせてくるホラーは好きじゃない」私は友達にそう話した。

大きい音で驚かせ、急な場面転換でそこに何かがいるような、そして襲い掛かってくるようなホラーを私は好きとは言えない。誰だってできるような怖がらせ方のホラーはつまらないと思っている。性質が悪い。緊張感持ったまま見てるんだからそりゃ体がビクッとなるに決まってる。

「そのドキドキを求めてる人が大半なんじゃないかな」友達は言った。

私もそう思う。たしかにそういったホラー映画にも怖さはあるし、日ごろ体験できないような怖さの感情を得ることが出来るという、ホラー映画一番の魅力をはらんでいる。私は友達に自分の好きな(理想の)ホラー映画の演出を伝えた。

「まず痛いのはダメ。可哀想だから。ぎゃああみたいな顔は怖いと言うより嫌さが勝って不快になっちゃう」

「直接襲ってくるのもイヤかな。痛いのがダメってのにつながるのかもしれないけど」

「例えば、学校の廊下に居るとして、手前から奥側に照明が消えていき、真っ暗な廊下になるとするじゃん。でも真っ暗ってほどじゃなくて非常灯のあ緑の明るさや月明かりに照らされてるの。夜限定じゃなくても夕方の放課後でもいい。病院とかそこがマンションの廊下でもいいんだけど、とにかく奥の方が暗くてよく見えない状況だったらいい。それで!それでさ、うっす~~ら暗闇に何かが浮かび上がってくるの。主人公は目を凝らしその冷たい空気感と暗闇に対する誰もが持つ嫌な感じにちょっと不安な表情を見せて、で、奥の暗闇からゆっく~~~~~り人が出てくるの。モンスターじゃなく人型。けっこうありきたりなんだけど、ゆっく~~りが重要なの。そこでうああああっていきなり姿現したり、不意を突いて後ろからわあああってのはダメなんだよね」

友達は分かったような分からないような顔をしていた。うーんと言いながら少し上を向いていたのは、次の言葉を考えていたからなんだろう。

「死霊館はどうなの?」友達は私に聞いた。私は答える。

「死霊館はめっちゃ好き。ホラー映画で一番おもしろいと思う」

「まずストーリーが良い。実話をもとにしてるってのも怖い要因だけど、物語に入り込めるドラマ映画的力もあると思う。音もめっちゃいい。効果音と音楽の音のバランスとかタイミングとか長さも、無音の時間もベスト。」

友達も、あーわかるわかる!と同意してくれながら聞いてくれた。

「クローゼットの中から聞こえるパンパンの手拍子の音だったり、雰囲気作りがとにかく好き。いちばん好きなのはさ、地下物置に閉じ込められて小さな明かりを付けたら背後の暗闇からぬ~っと手が出てきてパンパン手拍子するところ。あれがめっちゃ好き」


こうした話を続けていく中で私は気付いた。「ホラーは好きじゃないのかもしれない」と。

私がホラー映画に求めているのは身を震わす恐怖の瞬間ではなく、これから起こる怖さへの「懸念」なんだと思う。例えば、雷。私の言うところの恐怖の瞬間は雷が落ちてきている瞬間を意味していて、懸念は空が光ってから雷が落ちるまでの一瞬の間のことを意味している。例えば、落とした卵。割れた瞬間よりも落ちていく様を見ているのが好き。

つまりは何かが起きるまでの過程が好き。そこに感動する。

ホラー映画には「感動」も求めている。これはストーリーが重要ということだけではなく、キャラクターデザインの良さだったり、視界に入ったシーンの絵画的良さだったり────これらは全て目で捉えられる分かりやすいもので、感動の共感も得られやすいはず。

そして、私がホラー映画に最も求めている、好きな、感動を覚えてしまう要素。それは、「奇妙な行動をする人間」。

大声を出して襲ってくる人間(モンスター)には怖さを感じない。その瞬間に敵と認識できてしまうから。そのまま武器を使って倒せばいいだけのこと(物理攻撃が効かない幽霊なんかはズルい)。私の言う「奇妙な行動をする人間」と言うのは敵か味方か曖昧な位置にいる者のことで、きっかけがあればこちらに向かってくるかもしれない怖さをはらんでいる者(大声出して走って向かってきたら敵。でも武器を持っていなかったら直前まで敵か味方か判断できない。←これは前段階で奇妙な行動をしていた場合のみ適用される)。

空を飛んだり、火を噴いたり、腕が増えたり、そういう奇妙さでは無く、やろうと思えば自分でもできてしまう、けど明らかに不審がられる行動がホラー映画の中に出てくると「すごいものを見れた」という感情になる。怖さも感じるがそれ以上に感動の方が大きい。

これらの感動が大きければ大きいほど、そのホラー映画は私の中で最高だったと言えるようになる。


こうして友達とホラー映画について語り合うことで、その日一つの結論にたどり着いた。

「好きな映画がたまたまホラーというジャンルに分類されているだけ」

これだ。友達に堂々たる態度で言った。


友達「じゃあホラー映画は好きってこと?」


私「あー、まあ好き…かな」





大結論


「ホラー映画好き」





おすすめ(好きな)ホラー映画


「Filmarks」の該当リンクを貼ることで紹介とします。映画レビューサイトです。ネタバレレビューには警告がついているので安心して下さい。



「ジェームズ・ワン」
「M・ナイト・シャマラン」
「ジョーダン・ピール」

御三方のホラー映画は全て最高なのでリンク貼るのを省きます。ホラー映画の経験がない人は、とりあえずこの御三方の作品を観れば間違いありません。それぞれ一作ずつでも見れば、人生における「ホラー映画鑑賞」のタスクをクリアと言えるでしょう。

おわり

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