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このままでいいのか

 SNS「読書メーター」や、新聞・雑誌の書評欄チェックなどのアンテナを張っていると、興味がある新刊は次から次に出てくる。評判になる前に図書館に予約することができれば順番待ちを回避できて、常に新刊が手元にあることになり、「どんどん読まないと返却期限がやってくる」という自転車操業。ますます“新刊沼”にハマってくる。

 先日、あるミステリ系新刊を手にした。文章も丁寧で、ストーリー展開も自然なのでスルスルと1日程度で読了した。しかし読書メーターの感想を書くために振り返ると、「面白かった」以外には何も残っていない。「こんな時間つぶしのような読書をする人生をあと何年も続けるのか」と虚しい気分に襲われた。

 ひとつのきっかけになったのは、津村記久子さん「やり直し世界文学」を読んだことかもしれない。 

 津村記久子さんの“本業”である小説はおそらく未読。本書は世界文学のあれこれを津村さんが熱く語るもので、かなりウネウネとひねくれた(わざとやってる?)文章に戸惑いながらも、小説世界の広がりと深さを知る、という趣向。

 基本的にどの作品についても肯定的に書いていて、本書を読むこと自体がいい読書タイム。津村さんの紹介があまりに上手すぎるので、紹介されている作品まで読まずに満足してしまって、「それでは読んでみるか」となるものは当初の目論見よりも増えなかった。

 それでも、気になっていながら未読のままだったサマセット・モームを“再発見”したほか、ギッシングの「ヘンリー・ラインクロフトの私記」などは、いまの読書とはひと味違った世界を見せてくれそうな予感がしている。

 もうひとつ。

 先日のnoteにも書いたが、本を読んでばかりで世界を狭くしている日々をちょっと反省して、映画やスポーツ観戦などさまざまアクティビティを意識するようにしている。

 といっても、ロボットのスイッチを切り替えるように一瞬でパチっとすべてが変わるものでもない。あくまでも「意識するベクトル」が出てきているということだ。トライ&エラーの精神でいろいろ試してみよう。
(22/7/3)

 


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