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休日を半日つぶすストレス

 還暦で定年退職したとはいっても、週5日で「シニア雇用」してもらっているので生活リズムはまったく変化していないし、つまりマインドも変わっていないということだ。

 会社がない2日間の週末はとにかく溜まっている本を読み倒したいので家の雑用からは優雅に逃走することになるが、まあ、カミさんには評判が悪い。「定年したんだから少しは部屋を片付けてよ」「料理でもやったら?」などのプレッシャーがある。

 きのうは2つのミッションがあった。

 平日にも休日にも着用している黒ジーンズが2本ともボロボロになってきた。ひとつはポケットに穴が開いてしまって手を入れるたびにストレスを感じ、もうひとつはすっかり色が抜けてグレーになっている。「流石にきょうは買いに行くしかないな」と近所のユニクロ大型店へ。

 同じものを2本買うつもりで行ったが、まず試着だ裾上げだから面倒このうえない。「裾上げはしなくても大丈夫かな」と思ったら、試着したところ微妙に長いことが判明してしまった。ミシン縫いが無料なのはありがたいが「お時間40分ほどいただきます」。

 40分は微妙な時間だ。家を往復するほどでもない。仕方なくビルにあるカフェに立ち寄るが、そういえば本を持ってきていない。スマホを眺めると電波状況が悪いようで画面遷移にいちいち時間を喰う。イライラする。

 帰宅後は「こうなれば面倒ついでだ、やることをやってしまおう」とカミさんの年賀状作成へ。

 自分は数年前にやめてしまった年賀状だが、カミさんはまだ決心がついておらず、名簿管理と宛先印刷まで私が請け負っている。それでも「もう宛先は絞ることにした」そうで、ことしは例年の半分程度の56枚。私の親戚も含めているので文句は言えない。

 数年前から家族写真を載せることはやめてしまった。写真選びがないだけでもかなりラクチンである。本屋で買った年賀状作成本のソフトから図柄を選び(数年おきにしか買い換えないのでうっかり違う年の干支イラストを選ぶリスクあり)、家族の名前を配置する。宛先もエクセルで管理しているものをソフトに流し込めばあとは自動で印刷してくれる。それでも56枚のウラオモテを作成するのには2時間近くがかかった。

 もう午後2時である。「あーあ、せっかくの休日を半分も消費してしまったよ」と考えるのが、またストレスである。

 テレビ局の報道で社会部の警察担当だった際は、若くて張り切っていたとはいえ、やはり目が回るような忙しさに翻弄されて疲労困憊状態だった。下っ端には土日にも当番が回ってくるので休みは平日という設定だが、事件が起きればすぐに呼び出される。

 当番の日は覚悟を決めているから、まだいい。かえってストレスなのは休みの日である。「ああ、せっかくの休みなのにここで呼び出されたら最悪だよな」とビクビクしているとさっぱり気が休まらなかったものだ。

 その頃に比べればいまは会社に呼び出されることもなく、自分の買い物や年賀状作成で半日がつぶれるなど大したことではない。実際きのうの午後はがっつり読書が進んだし、きょうもこれからは予定を入れずに本に没頭することにしている。
(23/12/10)

 


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