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縦書きで書く

 けさの朝日新聞「天声人語」が「春から会社のシステムが一新されて、小欄(天声人語)の原稿も横書きで入力することになった」と嘆いてみせていた。

 なるほど、紙面が縦書きなのでワープロ原稿もこれまで縦で書いていたのだね。その入力が横書きになることはこの記者さんにとってかなりの違和感があるのだろう。

 振り返ると私が30年以上在籍したテレビの報道局の原稿システムも縦書きだった。

 テレビ原稿の体裁は「アナウンサーが読みやすい」ことをもっとも重視する。文字を大きくする、単語の途中で改行しない、数字はマルで囲む、ルビを振る、文章が途中で終わる行はアタマを下げて目の動きを最小限に抑える、原稿用紙1枚はおよそ20秒に・・・などなど。それはワープロになってからも変わらない。それでもディレクターが書くナレーションは横書きだったし、ナレーターさんもそのまま読んでいたはず。

 そんな私でも、3年間毎日更新しているこのnoteはアタリマエのように横で書いているし、けさまでその違いを意識したことすらなかった。天声人語のこの記者さんよりも柔軟性があるというべきか、それだけいい加減な姿勢で臨んでいる証左なのか。

 小説・新書はやはり圧倒的に縦書きが読みやすい。パソコン方面のマニュアル本がさっぱり頭に入らないのは左開きの横書きだからではないか。あ、それは八つ当たり?

 それよりも私にとって重要なのは推敲の際のメディアだ。パソコン画面で書いた原稿はいったん紙にプリントアウトして読み直す。これによって心理的に一拍おくことができて文章への向き合いが俯瞰できるようで、この感覚はなかなか大切なのである。
(24/4/6)


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