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「感染状況次第で」のリフレイン

常態化している“警戒”

心のどこかで常にコロナ対策のエンジンをアイドリングさせているような日々がもうすぐ2年になる。第5波収束以降の感染者数の“ベタ凪”も心から楽しめないうちに、いよいよオミクロン株の市中感染のニュースが出てくるようになった。

政府分科会の尾身茂氏によると「市中感染が始まると急速に感染が拡大するおそれがある」そうだ。

宙ぶらりんは疲れる

会社の業務というものは、おのずから先々の予定を組み込みながら進めるもの。それだけに今後の感染状況がどうなるか、日々のニュースをピリピリしながらウォッチして、悲観的な気分になることが多い。

さっぱり見通しが立たないので、ほとんどの計画モノで「このままコロナが落ち着いている場合」と「感染が拡大した場合」の少なくとも2つはスタンバイさせる。ほとほと疲れる作業だ。「いっそのことパーっと感染が広がっちゃえば、ダブルスタンバイしなくて済むのになあ」という不謹慎な思いも頭をよぎる・・・。

業務のメールでも、毎日何回も「感染状況次第で」という言葉を書いている。一発変換できるように単語登録してやろうかしら。

「ネガティブ・ケイパビリティ」

作家で精神科医でもある帚木蓬生氏に「ネガティブ・ケイパビリティ」という著作がある。副題は「答の出ない事態に耐える力」。つまり宙ぶらりんは宙ぶらりんとして、しっかり受け止めることを心がけなさい、というとってもいいことを言いたいらしい。

しかし、この本が恐ろしく読みにくいのだ。用語を初めて使った詩人キーツやそれを170年後に“発見”した精神科医の生涯がダラダラと続くほか、「源氏物語」のあらすじが延々と続く章もあって、テーマの「ネガティブ・ケイパビリティ」との関係がほとんど読み取れない。別の章は単なる開業精神科医のエッセイ。全体を1/5に圧縮できるだろう。「一冊を通じてこの“宙ぶらりん”に耐えてみろ」という隠しテーマなのかと疑ってしまった。なんとか読了した自分をホメてあげたい、という有森裕子の心境だ。

閑話休題。とにかくダブルスタンバイが疲れることはよくわかった。仕方がない。だからといってクヨクヨ心配ばかりせず、短絡思考に陥らず、やるべきことをしっかり続ける。これがアラカンおやぢの感染対策である。あ、マスク・手洗い・うがいも忘れずに。
(21/12/24)

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