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いよいよやってきた“未来”

 同じような毎日を過ごしていても、ある瞬間に「ああ、時代はここまで進んだのか」と思うことが出てくるものだ。

 最近のNHK の朝のニュース「おはよう日本」では“AIによる自動音声”でストレートニュースを伝えるコーナーがある。1分程度のものがわずか数本並ぶだけ。ひところの“いかにも自動音声でござる”というものよりも格段に進歩してきたが、それでもところどころに違和感があるので、逆に聞き入ってしまう。日本語を母語としない外国人のたどたどしい日本語の方が流暢なものよりも注意を引く、これと同じ感覚だろうか。

 NHKが自前で開発したのか、コストがどれくらいかかるのか、などは知りようもないが、生身のアナウンサーと違ってコロナには罹患しないし、有給休暇も取得させなくていいし、人事異動や昇進を考慮しなくてもいいし、写真週刊誌に不倫現場を撮られちゃうこともない。喜怒哀楽や当意即妙のやりとりは生身の本職が担うというのは正しい分業のあり方にも見える。逆に言えば「ロボットのように淡々とニュースを読むだけのアナウンサーはもう不要」、という時代になるかもしれない。

 そういえば数年前には、世界的な通信社のAP通信が決算内容などを伝える記事はAIに執筆させることになったということを聞いた。

 こちらもアナウンサーと同様。「誰が書いても大差ない」ような記事しか書かない記者はもうお払い箱になる時代なのか。

 職場にキーボードすらなかった昭和末期入社組からすると、当時は想像もできなかった未来が、いまもう到来している。“卒業”が現実のものになりつつあるアラカンとしては、「若い連中はこれからもっと大変だなー」と他人事として思うばかりでほとんど実感がないのだが、それってやっぱり幸せなことだよね?
(22/4/30)


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