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「お前、そこで踊ってみろ」

 パリ五輪のブレイキンで見事に初代女王に輝いたAMIさん。メダリストによる首相官邸への表敬訪問で、彼女に対するひどいパワハラ事案が起きた。

 スポーツ庁の室伏広治長官が首相の前でAMIさんに「即興が得意ということで、ちょっと場を和ますというか……、いかがでしょう? AMI選手」と発言したという。AMIさんが「スーツなので」とにこやかに断ったのでその場が収まったのは素晴らしいが、まあ、アスリート出身にもかかわらず、まるで余興のようにパフォーマンスを強要するなど、リスペクトのかけらも感じられないパワハラぶり。もっと炎上してもいいのではないか。

 昔どこかで読んだ記事で、地方のスナック?で飲んでいた芸人さんに、居合わせたヤクザもんが「芸人なら、なにか面白いことやってみろ」と言ったというエピソードを思い出す。このエピソードの結果は忘れてしまったが、なんともひどい輩がいるものだ。室伏長官の無茶ぶりも「お前、そこで踊ってみろ」と“部下”に強要しているわけで、これではそのヤクザと同じではないか。

 ブレイキンなるものを見たこともなかったし興味もなかった私であるが、五輪後にAMIさんは「ブレイキンは勝ち負けがすべてではなく、自己表現だと思っている。自分の踊りをそのステージに置いてくるもの」と言っていて、感銘を受けた。それだけに今回の扱いは悔しくて仕方がなかったのではないか。

 思うに、伝統ある陸上競技ご出身の室伏さん、新競技について、どこかで「どうせダンスだろ」とバカにした気分があるのではないか。だから「余興で踊ってみろ」などと言ってしまうのだ。ま、首相官邸でハンマーを投げさせるわけにもいかないだろうが、ではサニブラウン選手に「50Mでいいからそこでダッシュしてみせてよ」とは言わないだろう。

 やり投げの北口選手が競技の合間にスタンバイしている映像を見た和田アキ子が「トドみたい」と笑ったとも聞いた。冗談・軽口のつもりだろうが、女性をトドに例えるのはあまりにも非常識。

 男性の体臭についてのSNSへの書き込み炎上で事務所を追い出されるフリーアナウンサーもいる時代、地位が高かったり芸能界で偉い(とされている)たりすると、こうした無神経ぶりも大目にみられるのか。なんかおかしいぞ。
(24/8/17)

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