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“不足”の夏

 社会人になって報道局の内勤記者になった年は梅雨に雨が少なく、東京は渇水になった。ネットで調べると「首都圏渇水」と名付けられ、給水制限は71日間に及んだという。

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/vision2/dl/one2-06_0013.pdf

 自局のニュースキャスターが「夜中にパラパラと雨音がすると『やった、降った!』と思いますね」とOAでしゃべっていたこと。営業を再開したプールに取材に行った同期女子が「やっぱ、プール最高?!」と子どもと一緒に大はしゃぎして、びしょ濡れで戻ってきたこと。あの年の渇水の記憶はこの2つだ。

 それより前、漫画「まことちゃん」で福岡の水不足をネタにしていたのを覚えているが、あれは1978年のことだったのか。

 ことしは大丈夫か?

 九州よりも早く梅雨入りした関東地方だが、ほとんど雨が降らず、きのうときょうは連続の猛暑日。この先の週間予報もお日さまマークがズラリと並んで、すっかり梅雨明けのような天候だ。

 ことしは電力不足も心配だ。政府は関係閣僚会議を開催して、7年ぶりの節電要請を発表した。

 さらに、あす27日については「電力需給逼迫注意報」なんだそうな。

 “電力不足”と聞くと、担当エリアとして取材に入っていた20年前のミャンマーや北朝鮮を思い浮かべてしまう。

 原発事故による稼働停止、燃料価格の高騰、ウクライナ情勢の余波。そもそも人類はこんなにエネルギーを必要とするような文明を築くべきではなかったのではないか、、、。いろいろ思うところはある。

 高度成長期の日本に生まれて、戦争にも貧困にも無縁でやってきた幸運な世代。まさか21世紀も20年以上経った日本でそんなことを心配するとは想像もしていなかった。
(22/6/26)


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