イライラには糖分

3月1日
今日こそは!と意気込んで、起きなれていない早朝(朝7時)に身体を起こす。

シャワーで目を覚ましたあと、PCに保存された原稿に向かう。昨晩進められるところまで進めたが、睡魔には忠実でいようと自分に甘い設定で文字を打っていたため、完成にはまだ程遠い。
バイトに向かう時間がやってくるまで、とにかく文字を打ち続けた。今回の作品は、いつにも増して公募に出すものとは思えない文体で書いている気がする。楽しいからいいけど。

本日のバイト先は立川のホテル。
遠い。遠すぎる。
同じ都内の移動であるはずなのに、なぜ1時間強もかかるのか。中央線に揺られて少し仮眠をとりながら、立川へ向かった。

ホテルでの業務は、立食パーティーの大皿料理の提供や空いた皿を下げるものだった。
仕事自体は簡単なのだが、このホテルに来るのは初めてで、どんなルールでいつもサービスをしているのか、何がどこにあるのかすらわからない。
周りに聞いたり、見て理解しながら、わからないなりに動いていると、自分より少し年上のバイトと見受けられる男性スタッフに怒鳴られた。
「お前これちがうよ!」
「あんたはどこの卓の担当なの?!」
先に断っておくが、私は彼を知らない。初対面である。

初対面の新人スタッフに、普通あんな対応するかね?そういやこのホテル、ミーティングすらしなかったな。大抵のホテルはサービス開始前にスタッフ全員でミーティングして、すべきことを確認するのに。
ここのホテルがやろうとしてたのは、言い換えれば打ち合わせなしのサプライズ。技術打ち合わせなしのライブ。そりゃミス起きて当然じゃない?
え?さも私が悪いかのように怒ってますけども、貴方、いやお前の監督不足もこのミスの原因だからな?
こういう頭ごなしに怒るスタッフは苦手を通り越して嫌いである。あまり人のことを嫌ったり悪く言ったりしたくはないが、実害を被られては黙っていられない。私は今、あんたが山崎賢人でもぶん殴りたいよ。

「すみません、なんせここでのサービスは"初めて"なもんで。ここのやり方を"何一つ"教わってないので、"どこ"が"どう"違ってるのかご教示願えませんでしょうか?」
要所要所で言葉を強調させる敬語スタイル、自分でもなかなか性格の悪い返答をしたと思う。相手も『先輩に楯突くってのか、ああ?』みたいな顔してたし。そんな最悪の空気を察した大らかそうなマネージャー社員が
「ああ、もちづきさんごめんね!今どう動くか教えるね!」
と我々の間に入ってくれた。私ももう大人なので、表情を明るくして素直に指示を聞いた。

マネージャーが丁寧に教えてくれたので、そこからの動きはスムーズだった。
パーティー中、使っていない皿の溜まったテーブルを片付けていると、後ろから肩を少し押され、
「お前邪魔だよ」
と言われた。振り返って顔を確認すると、さっき揉めたのとは違うスタッフだった。よく見りゃバイトでもねえ、社員じゃねえか!
たしかにパーティー会場には人がわんさかいて、当然のごとく通路は狭い。私のいた場所も人によっては邪魔だったと思う。
でも客前だぞ?さすがに言葉選びなよ。『ちょっとごめんね』とか『後ろ通してね』とか、言い換えいくらでもできるからな?語彙力ないのかな?パワハラ案件が騒がれるこのご時世、その態度で損するの100そちら側だからな?なーにが『邪魔』だよ。それなら邪魔じゃない場所行ってやるよ、自宅に帰ることになるけどな!
フラストレーションがとにかく溜まった。あの社員にしてあのバイトありって感じだわな。あーあ、ここに来るのはもうやめよう。

この不機嫌は、駅のNewDaysで購入した抹茶味のさくさくぱんだで直した。
甘いは正義。

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