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アイヌの歴史1『アイヌの大まかな概要』

*これはたしか中学生の時に書いたものです。細かい所は気にしないでください。

アイヌの分布図

  アイヌとは北海道島を中心に北部は樺太、千島、カムチャッカ半島、南は東北北部に分布していたアイヌ語、もといアイヌ語族に属す諸言語・方言を話し、文字は使わない主に狩猟を行う民族で、現在は、日本各地へ拡散して分布しているとされるが詳しい数などは不明である。

ニヴフ族
京都にある蝦夷の碑文

 歴史的にはウリチやニヴフ、イテリメンなど北方の諸民族や日本と交易を行い、オホーツク海一帯で貿易圏を築いており、また、アイヌは江戸時代までエゾやエビスなどと呼ばれており、これは古代日本で東日本に住む人々を表した蝦夷(えみし)に由来すると思われる。

チセ
チャシ

 アイヌは掘立柱建物(ほったてばしらたてもの)、つまり地面に土台を埋めず乗せているだけの建物であるチセに居住し、チセの周りに高床式倉庫たかゆかしきそうこや便所、熊を飼育する檻などが設置され、それらがより集まって集落コタンを形成しており、村には濠や崖で周囲と切り離された防衛施設であるチャシを設置し、戦闘や襲撃などに備えたと思われる。

旭川市カムイコタン(神の村)

 また、アイヌという名称は本来、カムイ、つまり霊的な存在に対し、人間全般を意味する言葉だったものが、今から300年程前に日本人との交流の中で、自分たちの民族を表す言葉として北海道アイヌにより使われたものである。

樺太を支配する清
中道等

 それ以前にはモンゴル帝国の記録に樺太アイヌを表すと思われる骨嵬(クイ)という民族が記録されている事、中国が樺太(からふと)を庫頁島(クーイェ)とよんだ事、ロシア人が千島アイヌをクリル(krill)と呼んだ事、久保田藩の人見蕉雨(ひとみ・しょうう)の著作でアイヌの事を指して使った蝦夷という言葉のフリガナがかいである事、中道等(なかみち・ひとし)が青森県の伝承を集めた「奥隅奇譚」では蝦夷崎と書いてカイザキと読むとされている事などから、アイヌが自分達の民族を表す言葉はカイやクイだった可能性が高いと考えられるだろう。

 また、アイヌの中で人間を表す言葉としてのアイヌも古くはエンチュという言葉だったとされ、実際、北海道アイヌ語から早くに分かれた千島や樺太のアイヌ語ではアイヌではなくエンチュで人間という意味を表した。

緑=アイヌ、オレンジ=エンチウ、紫=クィル

 そのため、結果的に、北海道アイヌは自分達の民族を新しく人間全般を表す言葉として広まったアイヌという語を民族のみを指す事にしてアイヌ、樺太アイヌは古くからアイヌ民族を表したカイが訛ったクィル、樺太アイヌは古くから人間全般を表したエンチュからエンチウと自分たちの民族を呼んでいるやや、混乱した状態になった。

松浦武四郎

 それから、そもそも「北海道」という名称は松浦武四郎という蝦夷地の調査を行った人物により、蝦夷地の新しい名称として「日高見国」、「海北道」、「海島道」、「東北道」、「千島道」、そして北海道の海の部分が異なる表記の「北加伊道」の六つが提案された中で、「北加伊道」が選ばれ、文字数の問題で加伊の部分が海に差し替えられて命名されたという経緯がある。

 北加伊の"加伊"の部分の由来は、アイヌの自称カイに由来すると松浦本人が残しているため、北海道という名称事態にカイという単語が入っているというわけである。

シャクシャイン

 また、アイヌというのは本来、一つの統一された民族ではなく、様々な民族が独自に存在しており、具体的には名寄・旭川・石狩・留萌・小樽・芦別・滝川などがある石狩川流域のイシカルンクル(石狩アイヌ)、函館や長万部などがある渡島西部のホレバシウンクルもしくはウシケシュンクル(内浦アイヌ)、室蘭・登別・苫小牧・札幌・芦別・千歳・夕張などがある地域の太平洋沿岸西部のシュムクルもしくはハエクルもしくはサルンクル、帯広・釧路・根室・択捉島・国後島などがある太平洋沿岸東部のメナシクル、稚内や余市・利尻・礼文など日本海側沿岸の北海道やユジノサハリンスクなどのある樺太南部のレプンモシリウンクル(樺太アイヌ)、千島北部に分布したルルトムンクルクリル(千島アイヌ)、青森の外ヶ浜周辺に分布した本州アイヌといった集団がシャクシャインの戦いが発生した近世の時点で存在していた。

by 北広島市 郷土資料

 その前の中世の頃には太平洋側、東蝦夷地の内浦アイヌ、シュムクル、メナシクルの祖先にあたるアイヌを日ノモト(ひのもと)、日本海側、西蝦夷地の石狩アイヌ、樺太アイヌの祖先にあたるアイヌを唐子(からこ)、渡島半島から外ヶ浜に分布する日本語とアイヌ語を両方話せた混合的集団と推定される渡党(わたりとう)というアイヌが記録されており、この渡党が近世の本州アイヌの祖先であろうと推定できる。

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