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ブラックシリカについて調べてみた

シリカ水のテレビCMを見なくなったと思ったら、最近ブラックシリカを使ったパワーストーンや岩盤浴、毛布などの製品のCMをみかけるようになりました。商品サイトを眺めてみると、ブラックシリカにはそれ自体に暖める作用や安眠、ヒーリングなどの効果があるみたいですね。

「ブラックシリカって何なん?聞いたことないわねぇ」と興味が湧いたので化学の視点でもって軽く調べて、簡単にまとめてみました。

ブラックシリカの見た目が黒いのは?

ブラックシリカの成分トップ3は二酸化ケイ素が約84%、酸化アルミニウムが約6%、炭素が約5%だそうです。二酸化ケイ素は純度が高いと水晶や石英になりますが、一般にはガラスで知られる身近な物質です。無色ゆえ、ほとんど可視光線は吸収しません。

しかしながら、二酸化ケイ素の中に不純物が混ざるとそれらが光を吸収したり散乱させたりして色が付きます。ブラックシリカの見た目が真っ黒なのは、二酸化ケイ素以外の成分、酸化アルミニウムや炭素、その他少量の酸化物(以下、まとめてC&MOと呼びます)が太陽光や室内光などの可視光線を吸収するためと思われます。

ブラックシリカの何が暖かみを生んでいるのか?

ブラックシリカの主成分である二酸化ケイ素とC&MOが遠赤外領域(波長4μm~1mm)の光をほとんど放射するためと考えられます。ちなみに、可視光線は暖かいと感じる領域ではありません。遠赤外線をブラックシリカが一旦吸収したのち、その約90%を吐き出して、それを人が享受するというシステムですね。

暖かみに一番貢献しているのは主成分の二酸化ケイ素(ガラス)なので、必ずしもブラックシリカにこだわる必要はない

確かに、ブラックシリカによって遠赤外線の90%が利用できて暖かいということは分かりましたがここで一つ気になることがあります。それは、ブラックシリカのどの成分が暖かみに一番貢献しているのか?ということです。自分ははじめブラックシリカの見た目を黒くしている成分C&MOによるものだと思いこんでいました。

主成分である二酸化ケイ素の遠赤外線の放射率について上記の非営利一般社団法人遠赤外線協会のHPにある”図6 常温域における石英の分光放射特性”の下側のグラフを参照します。すると、波長5~20μmにかけての放射率はざっくり70~80%もあります。

主成分の二酸化ケイ素だけで暖かみのほとんど(放射する90%のうちの70~80%、だいたい8~9割)を賄っている、つまりガラスならそれくらいの効果が見込めるということです。結論としては、ブラックシリカにこだわらずとも、ガラス製品で代用すれば充分暖かい効果が得られるということになります。個人的には、C&MOによる暖かみへの貢献がほとんどないことが予想外でした。

まとめ

1.ブラックシリカには、人にとって暖かさを感じる遠赤外線を吸収・放射する二酸化ケイ素や酸化アルミニウム、炭素などの成分が含まれていることが分かりました。

2.ブラックシリカの暖かみ効果を生み出す8~9割は主成分である二酸化ケイ素によるものでした。化学的データを元に考察すると、ブラックシリカにこだわらずとも、身近にある二酸化ケイ素であるガラス製品で代用すれば充分暖かみ効果が得られると考えられます。

ブラックシリカとガラスの暖かみ効果の差が分からないので実際に実験をして確かめた方が良い

ブラックシリカとガラスとの効果にほとんど差は無いと結論付けましたが、実際データが無ければただの憶測に過ぎませんので、こういう簡単な実験で確かめてみてはいかがでしょうか?

実験は日当たりや気温など急激な環境変化が起こらない室内で行います。大きさ・厚み・温度が同じブラックシリカとガラスを1枚ずつ用意し、それぞれに同じ大きさの氷を5個ほど等間隔に離して配置し、氷が融けきるまでのタイムを全て計測し、平均タイムを計算します。ブラックシリカが優秀であれば明らかにタイム差が生じるはずですが、暖かみ効果が同程度ならばタイムは対して変わらないでしょう。自分は後者だと予想しています。

【おまけ】ブラックシリカもどきの製造方法(?)

ブラックシリカもどきの製造方法を即興で考えてみました。

1.ガラスビーズと酸化アルミニウム粉末、木炭(煤の元になる有機物でも可)をそれぞれ重量比84:6:5の割合となるように用意し、粘性のある高分子に入れて薬匙で軽くかき混ぜます。

2.1.の手順により調製したものをローラーミル(粉砕機)を使って各粒子・粉末を小さく粉砕しながら練り込み、より均一に分散した黒色ペーストを作ります。

3.2.の手順により作製したペーストを電気炉で焼成し、高分子だけ焼き飛ばせばブラックシリカもどきができるはずです。

材料は安価なものばかりなので採算は取れるでしょう(知らんけど)。

「ためになるわ」と感じて頂ければサポートを頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。