「詐術的2行エレベーターW」の作成

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20.11.19. 図の修正をしました

たたき台レベルではちょっと物足らんのですよ

前々回のNOTEで下記の1行エレベーターのたたき台をとりあえず作ったけれど、作品に組み込むパーツを切り取った感じなのでちょっと物足りなさを感じる。

23 一行エレベーター03-01

今回は端でターンさせるギミックを用いた最遠往復「191」を作る予定だった。でも「作品に仕上げるために玉を転がして運ぶルートを付け足すだけってのは、何となく遊び心が足らんなぁ」と感じていて、一つのアイデアが頭に浮かんだ。

「回転・非回転ギミックを1つずつ端に組み込んだエレベーターができたら上下段の飛車をイイ感じにぶん回せるんじゃないか?」と。この願望がきっかけとなってギミックの欲張りセット「詐術的2行エレベーターW」は生まれた。

37-2 二行エレベーター2回転&非回転ターン11-1

必然手ばかりなのですぐに解けると思う。以下、正解手順と心ばかりの解説を書いていく。

右翼編:「W」

右翼(1~5筋)では先程の1行エレベーターをスッキリさせた。本来2三には銀を配置しているわけだけれど、全体を一段ズラしたことによって銀成が生じたので無理やり玉を一つの駒として使っている。

37-2 二行エレベーター2回転&非回転ターン09-3

【初手~17手】
▲5四飛   ▽4六玉   ▲3五銀   ▽同 玉
▲3四飛   ▽2六玉Ⓐ  ▲1五銀   ▽同 玉Ⓑ
▲1四飛※  ▽2六玉   ▲2七歩Ⓒ  ▽3五玉
▲3四飛
   ▽4六玉   ▲5八桂Ⓓ  ▽5五玉
▲5四飛

Ⓐ:▽4六玉だと太字部分がカットされて早詰
Ⓑ:▽1六玉は▲2八桂▽1五玉▲1六歩▽2六玉▲3六飛まで早詰
※:ターン時の持駒桂歩はやはり好相性
Ⓒ:▲1八桂だと▽3五玉で不詰(理由はⒹ)
Ⓓ:6七飛が動いても6六桂を取られないようにひも付けして左翼編へ

ダブルギミックを組みこんだ図が作成できたことと右翼での玉の軌跡をW字形にできたことから、タイトルに「W」を入れた。

左翼編:「詐術的2行エレベーター

37-2 二行エレベーター2回転&非回転ターン10-3

【17手~最終手】
▲5四飛   ▽6五玉   ▲7六銀Ⓔ  ▽同 玉Ⓖ
▲7七飛   ▽8五玉   ▲7五飛   ▽9六玉
▲9五飛   ▽8七玉   ▲9七飛   ▽7六玉
▲7七飛   ▽8五玉   ▲7五飛   ▽9六玉
▲9五飛   ▽8七玉   ▲7九桂Ⓘ  ▽7六玉Ⓚ
▲7五飛Ⓛ  まで37手詰

Ⓔ:6七飛の栓を抜く銀上がりで左翼編がスタート
Ⓖ~Ⓗ:桂を拾ってまず1回転
Ⓘ:▲9九桂では▽7六玉~▽6七玉を許して不詰
  ▲9七飛は27手目(太字)と同一局面なので不正解
Ⓗ~Ⓚ:もう1回転
Ⓛ:▲7四飛は▽同馬で不詰

玉転がしのために動く飛車と、玉が逃げ出さないように動かずサポートに回る飛車が前後半で切り替わる。今まで作ってきた図のように2枚飛車が連動しないので「詐術的2行エレベーター」と形容した。

左翼(6~9筋)のメインは玉の回転で、それを除いた行移動の手は実質21手目と37手目しかない。本来は玉を1回転だけで終わらせる予定だったのだけれど、そうすると右翼編と対比した時に手数的・視覚的に劣るだろうと思ったのでバランスをとるために2回転させた。最終手でうっかり▲7四飛とすると▽同馬とされて今までの苦労が霧散してしまうので最後まで全集中しよう。

まとめと今後の課題

・端スタート型で非回転ギミックを用いて往復させる図「191」の作成を課題としていたものの、創作的難易度と個人的面白さを追求して中央スタート型で回転・非回転ギミックを1種類ずつ用いてターンさせる図「詐術的2行エレベーターW」の作成を行った。

・今後は2行エレベーターと2列エレベーターを組合わせた図の作成が可能なのか?を研究課題とする。

スペシャルサンクス

5六馬 号:仮に5六馬が5六歩だったら3手目▲5五銀からの余詰、11手目▲3八桂の余詰(左翼へのターンが実現しない原因)、37手目▲7四飛の最終手余詰がありました。3つの余詰を1枚で防いでいただきました。

窪田義行(空気から整えていく 環境派)様:拙エレベーター詰に対して”詐術的印象を与える”という意味合いの心温まる難癖を頂戴致しましたので、作品タイトルに取り入れさせていただきました。

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