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『瀬』


記憶が切れる、

切れる


断絶された記憶が



寄せては返す波のように




水際で、すくわれない機微を思う夜



憐憫が透けてしまったあの夜



一夜にして回り続ける僕の記憶


嗚呼、暗鬱とした記憶よ、このあぶくと共に流れておくれ___




断絶された絶無の中、鈍い郷愁を託した夜のこと



思い出す、



夜のこと




白く、静かに、小さくほの光る繊月のことを

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