スナップ写真のように文章を書く
いつも文章を書くときは「さあ、どういうネタで書こうか」というようなことをおぼろげながら考えている。それで出来たのがあの文章?というそしりを受ける覚悟はできている。
そうしていま、まさにパソコンに向かっているのだが、ふと、あることを思いついて、やってみたくなった。
それは、スナップ写真のように文章を書いたらどうなるだろうか。
スナップ写真という概念を正確に理解できていないのだけれど、要するにお散歩フォトのように目の前に浮かんだ事柄を特に脈絡もなくつらつらと記してみようかなと。
と、ここまで書いて不安になった。
そういうのは著名な人や有名な作家さんなどがやるから成立するのではないか。自分のような者がそんなことをするとnoteにデブリを垂れ流すだけではないか。
しかしカメラマンだってアマチュアとプロの境界線は曖昧だったりする。するんじゃないかな。するような気がする。
だとしたら違いは打席に立つ回数だろう。バットを振る機会を自分でつくってぶん回す。それぐらいのことは許されてもいいはず。
と、それらしい正当な理由(?)を盾にして、やってみる。
会社での、あたらしい仕事がひとつ増えた。
広報である。
どこの宴席でどんな話を聞いたのか知らないが、社長がそれまでまったく食指を動かさなかった広報活動について急にやる気になったのだ。
広報に前向きとなった社長がぼくに白羽の矢を立てるのは必然である。
なぜなら社長は広報業務についてほとんど何も知らないから。そしてぼくが言葉を使って仕事をする社内で唯一の人間だからだ。
安直といえば安直。アンチョビは絶望という名のスパゲティには欠かせない。
そしてぼくは広報の「コ」の字も知らないままにKPIとやらを設定され、絶望のふちに立たされるのである。
ふいに洋楽の神様が舞い降りた。
今年に入ってから定期的に「祭り」が開催されていたが、いずれも邦楽だった。
ある時、発作的に『PHYSICAL/林田健司祭り』がはじまった。
それが終わると今度は『DRAMATIC LOVE/iri祭り』であった。
祭りの期間はとにかくひたすらヘビロテするのが村の習わしで、何十回、何百回でも延々とリピートしていた。つい最近もthe band apartやら郷ひろみなどを好んで聴いていたので、自分のことを邦楽の人と自らレッテルを貼っていたぐらいだ。
それがどうだ。
せんだってからいきなりダニー・ハサウェイだの、ヴァン・モリソンだの、スタンリー・スミスだの、ボビーチャールズなどにグッと引き寄せられているのである。
せんだってというのは台風の夜、である。
台風で大雨の夜、ひとりウィスキーを呑みながらピーター・バラカンさんのインタビューか何かを読んでいたら、急にこのあたりの渋好みのする音楽を聴きたくなって。
たぶん、気圧も関係しているのだろう。
さて台風が去ったいま、プレイリストはどう変化するのか。
2週間ほど前、3週間ぶりぐらいにクルマの運転をした。
そうしたら、あることがわかった。
もしクルマに乗っていて事故を起こしたくないのなら、急がないこと。それに尽きる。急がない、あわてない。そうすることで安全が担保される。
何を当たり前のことを、と笑わないでほしい。
それまでのぼくはかなり慌てもので、せっかちで、短気。特に用事があってクルマに乗るときは時間に間に合わないことを極端に恐れて、クラッチとシフトレバーをせわしなく操作するタイプだ。
だけど、ひさしぶりにハンドルを握ったとき、大切な愛犬を載せていることもあり、いつも以上に慎重だった。
またわざと予定時間の30分ほど前に目的地に到着するように出発したので、ものすごく心に余裕があった。
そうしたら、つぎつぎに奇跡が起こった。
いつも交通量が多く、なかなか右折できない難所で、スッと曲がれた。
いつも満車気味なコインパーキングが一個だけ空いてた。
歩行者や自転車の表情がはっきり見えた(怖がっていなかった)。
黄信号で止まるとそこから先の信号の繋がりが妙にリズミカル。
ついでにいつも大きめの音量でかけるカーステを切って、エンジンやシャシーの音を愉しむようにしたら、なんだかいつもより運転の工程が楽しく感じられたのだ。もちろん、安全である。
ぼくは大きな声でおすすめしたい。
クルマに乗るときは、とにかく急がないこと。急がないほうが、早く目的地に到着するのだ。急いで事故を起こすより。
スナップ写真の感覚で、気軽にササッと書いてみた。いつもより何も考えずに書いた。こういうのは初めての体験なので、新鮮だった。
そしていま読み返して、なんだ、これは日記じゃないか、と思った。
人様に日記をさらすほど恥ずかしいことはない。
もう二度とやらない。
ネタがないからといって安易に安直にアンチョビに走った自戒の念も込めて、削除せずに晒すことにいたします。
それにしてもこれらのテキストがスナップ写真だとしたら、ずいぶんとピントが甘く、光の加減もおかしな、失敗作ばかりではないか。
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