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求人広告の募集データの書き方 Vol.1

キャッチコピー、仕事内容、応募資格と筆を進めてまいりましたが、今回はいよいよ労働条件、またの名を募集データについて言及します。何がいよいよなんだか。

募集データというのは、主に勤務時間、勤務地、休日休暇、給与、福利厚生などの待遇を指します。仕事内容、資格と並んで求人広告を構成する非常に重要な要素です。

一二も二にも正確に

まず募集データを書くときに一番注意すべき点として挙げられるのは、正確であることです。間違いがないこと、事実と相違ないこと、誤字脱字がないこと。ここはもう、完全な私の先入観しかないのですがドイツ人もびっくりするような鋼の正確性を追求しましょう。

と、いうのも募集データは実際に働く人の生活にダイレクトに関係するからです。車でいえば主要諸元。マンションでいえば契約書。

ところが最近これどうなの?というニュースを目にしました。読売新聞オンラインの記事がヤフーに取り上げられていたのですが…

要はインディードに載っている求人情報内の給与額に「月給35万円以上」と記載があり、面接時にも口頭で「その通り」と説明されたにも関わらず、試用期間中の3ヶ月は25万円しかもらえず、本採用後は17万円になってもうたどうしてくれるんよ、という話です。

まあ、ふつうにかんがえて職業安定法違反だし、書面を全て確認しているわけではないのでわたしが断定できるものではございませんが、『釣り広告』の類ということで募集企業のみならずインディードにも然るべきお説教が労働基準監督局やら厚生労働省やら全国求人情報協会からくだるもの、と思うわけです。

ところが、募集企業側の言い分はこれです。

9月28日の第1回期日で、同社側は求人サイトの求人広告が実態と異なっていたことを認めた。しかし、「インディードの広告は閲覧者を増やすために給与額を高く表示したものに過ぎない」などと主張し、「雇用契約の労働条件ではない」と争う姿勢を示した。
読売新聞オンラインより引用

「インディードの広告は閲覧者を増やすために給与額を高く表示したものに過ぎない」などと主張し

なんですと!ナニイッテルンデスカアナタアタマオカシインジャナイデスカ!?おかしなSEO業者かお前?

なめとる…なめくさっとる…

あ、すみません、神聖なnoteを口汚い言葉で穢してしまいました。

労働者を何だと思っているのか。まあ、こんな会社は滅びますよ。ほうっておいても。まあ、いいでしょう。

ですからインディードとしても情報提供側としての責任を痛感してですね、コメントが欲しいところですよね。

ところが!

インディードの運営会社は「求人情報の掲載の経緯はお答えできない」としている。
読売新聞オンラインより引用

おい。

答えろよ。

まったくこれだからな。

なんでもかんでも自動化、省力化、機械化。挙げ句の果てに情報掲載なんか掲載企業側が都合よく勝手に操作できるようになってますからね。そこには制作担当も、審査担当も不在なわけですよ。きっと。たぶん。しらんけど。

それでマッチングたあ、人間の転職をなんだと思っているんでしょうね。毛穴から汚れがごっそり、とか、飲むだけでぐんぐんやせる、とか、そういう薬やらサプリを販売するのとおんなじ扱いなんでしょうね。

データに愛を込める

と、愚痴っていても仕方がありません。ひとつここで提唱したいのは、採用にお金をきちんとかけない会社は、人を大切にしません。いくらでも替えが利くと思っています。

そうじゃない市場をひとつご紹介しましょう。

エンジニアの採用マーケットです。エンジニアという職業は能力の優越や経験の有無が大きく採用後の事業を左右します。ゆえにどこの会社でも優秀な経験者が喉から手が出るほど欲しい。だけど、そういう市場価値の高いエンジニアは文字通り「高い」のです。

需給バランスでいえば完全に需要過多、供給不足。そうなると、きちんとお金を払わないといい人材が採用できない。しかも辞められたらそう簡単に替えが利かないわけです。

結果、きちんと採用にも、教育にも、評価にもお金をかけるしかない。そうじゃないのは未経験を大量に集めてどかっと現場に送り込むSESで、あれはIT事業というより人材事業です。

本来、全ての職種が現在のエンジニア市場と同等とまではいいませんが、きちんと適正な金額を払って採用し、育成し、定着させていくべきです。そのほうがトータルでみたらコストは安いはずです。

どうしても目の前の実利しか追求しようとしない経営者がふえているんでしょうかね。ふえているんでしょうね。

で、話を本題に戻すと…データを書くときに大切なのは、ひとつひとつの数字や情報の向こうに働く人の生活を想像する、ということ。つまりデータに愛を込めるということです。

給与額ひとつ、勤務地までの交通ひとつとっても、その会社に転職する人にとっては日々の営みを構成する要素。あだやおろそかにしてはいけないと思います。

たとえば勤務地が繁華街から外れた小さな町だった場合。通勤電車はどうなるでしょうか。おそらくですが空いているはず。実際に乗る必要はありませんが、その路線を利用している人に聞くだけでもおおよその情報はつかめるんじゃないでしょうか。

その時点で、ただの勤務地や交通の情報がポジティブに変わる可能性が生まれます。もちろん大げさに書いたり虚偽の情報はヤフーニュースに載った会社と同じになるのでいけません。

ただ、そうした小さな、ともすれば見逃しがちな情報や数字も、ひとつひとつ丁寧にすくい上げていけば何かいいところがあるはず。

そういった「よかった探し」を重ねていけば、月給の安さや通勤の不便さを補ってくれるベネフィットが見つかるかもしれません。そこに賭けることが求人広告のコピーライターの存在理由ではないでしょうか。

そしてそれは、機械や自動マッチングにはできない芸当だと思います。


すみません、おかしなニュースに気持ちが持っていかれて、ちょっと乱筆になってしまいました。本当なら給与額は仕事内容や応募資格とのバランスを見ながら…みたいなテクニック論をお話する予定でしたがすっかり精神論みたくなっちゃったよ。

反省。
修行が足りぬ。

と、いうことで次回こそ『給与は仕事内容や応募資格とのバランスを』みたいな技術の話をいたします!

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