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【広告本読書録:056】広告ロックンローラーズ 箭内道彦と輝きを更新し続ける14人のクリエイター

ブレーン編集部 編 宣伝会議 刊

広告界の未来を担う若者へ。クリエイティブの世界を目指す学生へ。軽やかなる重鎮たちからの愛に満ちた喝の数々。と、帯に書かれているこの本は、『風とロック』『すき あいたい ヤバい』といったエッジの効いた制作集団を主宰する箭内道彦さんが大御所クリエイターにインタビューを仕掛けるというもの。

箭内さんは大御所に対して尊敬の念を込めて「ロックンローラー」と定義し、グッと距離を縮めてトークセッションを繰り広げます。大御所たちの口から繰り出される言葉もまた、そんな箭内さんの狙い通り鋭いものばかりです。そこで今回は対談の中からとびっきりのパンチラインを抜き出してご紹介します。それらを集めるとこの本の全体像がおぼろげながら見えてくる、みたいな狙いもあったりなかったりしますどっちだよ。

錚々たるメンツ

では最初に登場する14人のクリエイターを紹介します。

**坂田耕、秋山晶、小田桐昭、宮崎晋、細谷巖、

葛西薫、宮田識、早川知良、天野祐吉、副田高行、
大島征夫、鋤田正義、高橋靖子、仲畑貴志**

クリエイティブ・ディレクター、コピーライター、デザイナー、CMプランナー、CMディレクター、フォトグラファー、スタイリスト、編集者。肩書きはいろいろありますが、いずれもまさしく大御所。ふつうのヤングじゃビビって話もできないメンツです。ヤングじゃないオレでもチビるぜ。

これらビッグネームに臆することなく切り込んでいくのが箭内道彦さん。広告のみならず音楽、テレビ、イベントなどなどさまざまなフィールドで活躍するマルチクリエイターです。では、さっそく対談の中から生まれた名言を紹介しましょう!

坂田耕「いつからこんなに薄っぺらくなったのか」

マッキャンエリクソンの社長、会長、名誉会長を経て顧問にまで上り詰めた坂田耕さんは業界屈指の名クリエイティブディレクターです。そんな坂田さんに箭内さん、ズバリ坂田さんにとってCMとは?と直球を投げます。

すると坂田さんは現状に対してこう憂いました。

企画した人の感性のフィルターを通して、商品のいいところを世の中に発信することかな。いまはCMにその人の価値観が見えなくて、美しくない画やコピーが多い気がします。だけど、いつからこんなに薄っぺらくなっちゃったんだろう?

これに対して箭内さんは「マーケティングとかを言い訳にしてる」と。だから坂田さんはもっと仕事しろと(笑)。やりますね箭内さん。

秋山晶「人はみんな特別」

コピーライター界のレジェンド、秋山晶さん。箭内さんは以前、auの仕事で「がんばれ17歳」という言葉をいい表現にしてほしい、と秋山さんに依頼したそうです。そのとき、秋山さんから届いた一枚の紙に書かれたコピーは…

「ふつうの17歳なんか、ひとりもいない。」

しびれますよね。しびれませんか?箭内さんはしびれたそうです。ぼくも。

人はみんな特別なんですよ。特別であることがふつうなんじゃないかと思います。みんな特別なのに、なんか見えない壁があって会社だからふつうにしなきゃいけないんじゃないかと思うのかもしれない。そりゃ短パンにビーサンではまずいだろうけど、ビルケンシュトックぐらいはいいんじゃないですか。

「ビルケンシュトックぐらいは…」の引用にもしびれちゃう!

小田桐昭「だれも何も言わない感じが」

かの岡康道さんも師事したという名CMプランナー、小田桐昭さん。17人の中で最も舌鋒鋭く迫ります。CMを企画すると同時にどうやってテレビを世の中にとっていいものにするかということも考えるべきなのに、いつの間にか特権階級と勘違いしてチャラチャラした感じになっている、と怒ります。

だれも何も言わない感じがあるんですよ。ビジネスさえうまくいけばいい、プレゼンに勝ちさえすればいいとおもってるんじゃないですか。自分の仕事が世の中にどういうインパクトを与えたかという部分をあまり意識してないんです。そこが悔しいですね。広告を作る人はみんなそうだと思いたいんですけど、やっぱり作るものが時代や世の中の動きと一緒になってないと。そこのリアリティがないとダメだと思います。CMプランナーが単なる職業になっちゃうのは嫌ですね。

さらに、小田桐さんはご自身が71歳にもかかわらず現場に居続ける理由についてこう語ります。ロックです。

やっぱりいま危ないって思ってるんですよ。このままいくと広告っていう仕事が、なんだかわけのわからないものになってしまうおそれがある。僕は広告の仕事がすごく楽しいし、若い人にとっては、自分の才能やチャンスを賭けるに値する仕事だと思っているんですけど、そんなふうに全然見えなくなってきて、ただ辛い仕事みたいになって…あと、そういうことは僕にしか言えないことでもありますからね、立場的に。

「僕は本当にみんな幸せに仕事してほしいし、もっといいものが見たい。それだけなんです」と小田桐さん。本物の、純粋クリエイターです。

宮崎晋「任せられると手が抜けなくなる」

お次は博報堂の名監督といわれた宮崎晋さん。大貫卓也さんや岡田直也さんを輩出した伝説の宮崎チームを率いて、としまえん、日清カップヌードルなど話題の広告をいくつもつくってきました。

いまでも話題になる広告って、企業側に「ある程度任せる」というのがあるんじゃないですか。そう言われると手が抜けないですよね。ものすごく必死になる。コアアイデアで勝負せざるをえませんしね。それで思うのは、いまって「ネットで考えてよ」みたいに最初からインフラを割り振られちゃうでしょ?するとアイデアが小さくなる気がするんですね。パーツごとの解決策になってしまうというか。そうじゃなくてモンゴルの大平原みたいな何もないところにポンと放り出されてね、「さあ、どこに走ろう?」ってことで考えたほうがいいんじゃないかな。どこで流すとかどこに掲載するかみたいなことは、あとで考えればいいと思うんです。

これ、いまWeb中心のクリエイティブを担っているクリエイターに、ぜひ聞いてもらいたいセリフです。かくゆうぼくも「バナーのクリエイティブを」みたいな依頼を受けるのですが、そこで終わるのではなく実績をあげたのちに俯瞰して企画提案できるようにならなきゃ、とおもいました。

細谷巖「キレイって白々しい」

秋山晶さんがコピーレジェンドだとしたらこちら細谷巖さんはデザインレジェンド。デビューは1954年というから今年で66年のキャリアをお持ちです。いまだ現役。キューピーマヨネーズのホワイトスペースを残したレイアウトは“ライト調”として多くのデザイナーのフォロワーを生みました。

あのね、キレイって白々しいんですよ。昔からよくあるじゃない?ファッション雑誌とかで。いい写真の上にポッとローマ字がのってるようなね。あんなふうに白々しくならないようにしなきゃならない。さっき言った「普通」って話につながるんですけど、暴力的な強さや叫びではなくて、スーッと気持ちに入ってくる強さが理想なんですよ。気持ちに入ってくる強さってあるじゃないですか。もちろん文章の力もあるけど、文字の組み方とほどよい大きさ。コピーを読みたいような気になるには、それが結構大事なんです。

だから、雑誌広告みたいにジワッとくるのが僕は好きでね、と細谷さん。「ジワット・ピットって言うの?」とお得意のダジャレで締めます。

葛西薫「この仕事は野良仕事だ」

さきほどの細谷さんが「ライト調」を作ったのだとしたら、葛西さんは「サン・アドテイスト」の味の素、といえるかもしれません。繊細、ナチュラル、素材を活かす。いろんな引き出しをお持ちのデザイナー。サントリー烏龍茶やユナイテッドアローズなど、一度携わるとその関係性が長期にわたるあたり、ブランディングの側面も担っているんだなといつも感心します。

現代人は江戸時代の5000倍の情報量に接触している、という話を受けて…

それにしても5000倍は異常ですね。最近よく言うんですけど、こうなってくるともっと身体を意識したほうがいいんじゃないかと思うんです。情報環境や都市環境はどんどん変わっても、人間の身体は昔からそんなに変わっていないので、基準はそこにあるんじゃないかと。だから、若い人たちには手を動かすことや身体を使うことの楽しさをもっと知ってほしいですね。風に吹かれたり、泥に足を突っこむみたいなプリミティブな体験をすれば面白さが尽きないと思うんです。この仕事って都会的というか、いま風な仕事と誤解されがちだけど、まったくそうじゃなくてね。もうちょっと野良仕事だというイメージを持って、掘ったり獲ったりする感覚でやることが大切なんじゃないかと思います。

プリミティブ…確かにそうかも知れません。野良仕事。いいですよね。

宮田識「怒る人」

ドラフト主宰の宮田識さんは、何冊も本が出ているほどの方。といってもデザイン作品集ではなく、仕事の流儀的な書物です。つまりそれだけデザインのみならず仕事全体に向けて有益な考え方や発言が多いということ。この本の最後に登場人物全員でパネルディスカッションした模様が記録されているんですが、そこでもすごく深いことをおっしゃっています。

そんな宮田さん、代理店に対して怒ることも多いといいます。箭内さんは代理店の何が悪いのか、と訊きます。すると…

結局もうけがすべてだったりするでしょう?そういうところにいると、クリエイターもそういうふうになっちゃう可能性がありますよね。中心が営業だから。営業の支援をするのがクリエイターで、主役ではないんです。格好はともかく内実は営業主導で売上主義みたいな、どうしてもそういうことになっちゃう。

ズバッといってのけます。宮田さんはみんなおもってるけど勇気がなくて言えないことを喝破するので、支持者も多いのでしょうね。

早川知良「僕らは命を吹き込む作業をやっている」

あの牧瀬里穂のJR東海“クリスマス・エクスプレス”を演出されたCMディレクターの早川さん。コピーライターやデザイナーと比べてあまり表舞台に出てこない職種ではありますが、やはりモノづくりのプロというか、クリエイター、職人肌ならではの発言が刺さります。

その仕事が自分ごとになるか、ならないかは大きいか?という箭内さんに…

大きいですね。何て言うんだろう?自分が同化できる余白がないと。じゃないと全身全霊は無理ですから。ある時間をかけて15秒や30秒を作るわけですよね?そういったときに、大袈裟なことを言うと僕らは、“命を吹きこむ”作業をやっていると思うんです。「動け!」って企画に力を送りこむと、それが生き物になるというかね。だから“おまじない”じゃないんですけど、自分なりの思いを持てるものでないと難しいですよね。

おっしゃる通りです。自分が同化できるように、いかに隙間をつくるか、というのはどのような分野の広告にも共通するかとおもいます。

天野祐吉「置かれた場所で花を咲かせる」

問答無用、説明不要の天野祐吉さん。長めなので早速紹介。

どんなところにいても面白がることはできる。いま『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子)って本が売れてますけど、あの言葉はなかなかうまいこと言ったなと思いますね。「オレはこんなところにいるもんだから面白い広告が作れない」とか「いいスポンサーに出会えない」とか言っていうのは、やっぱり違うんじゃないでしょうか。このあいだ、大貫卓也さんとお話したんですが、彼が言うには、自分はサントリーや資生堂のような花形スポンサーの仕事に憧れていたのに、入社したらとしまえんの担当になってしまったと。当時としまえんはアートディレクターにとってそんなに目立つ仕事先ではなかったけど、「面白がっちゃうしかないな」と思ってやっていたというようなことをおっしゃっていましたね。こういう話はいろいろあって、葛西薫さんは若い頃に作ったスーパーのチラシの大きい見出しの文字を、活字でやればいいのにあえて手書きでやったそうです。面白がろうとするってそういうことで、自分が置かれた場所で花を咲かすというのも、そういうことだと思う。

グサッときます。おもえばキャリアのデビューからずっと、ぼくは環境のせいにばかりして面白くない広告をつくり続けていたような気がします。反省して一からやり直すには人生は短すぎる。

副田高行「目の前の仕事を最高にする」

天才コピーライター仲畑貴志さんとコンビを組んでさまざまな名作を生んできたデザイナー、副田高行さん。なんどもこの広告本読書録でも取り上げてきました。カッコいいデザインを狙っていたのに、いつの間にかヘタウマで功成り名を上げた副田さん。奇しくも天野祐吉さんと似たメッセージです。

人間一気にすごいことはできなくて、やっぱり目の前の仕事で地道な努力をするしかないのね。だったら最高のチラシを作ったら?って思うんですよ。サン・アド時代の話で言うと、サントリー生樽の仕事とかだと、酒屋さんに配るチラシみたいなものも作ってたのね。すると仲畑さんが張り切るわけ。チラシでもメディアだからいいコピー書こうと思うのよ。すべての仕事がチャンスだから。で、「副田、“特上チラシ”作れ」って言うの。酒屋の店主も広告見る人も同じ人なんだぞって。だからメディアとか環境のせいにするなっていうね。目の前の仕事を最高にすれば、周りの人がほっとかないんですよ。自分で仕事を既定したら、それで人生終わりですよ。

特上チラシ(笑)さすが仲畑さんですね!目の前の仕事を最高にする。これはクリエイティブだけの話じゃありません。営業でも、事務でも、板前でも。もちろん新人もベテランも関係ないでしょう。

大島征夫「考えない人が増えている」

電通で長らくクリエイティブディレクターとして活躍なさった大島征夫さん。トヨタ自動車、JR東日本、サントリーなど名だたるナショナルクライアントの企業広告を手がけてきました。広告学校などでの登壇回数も非常に多い大島さんが放つ魂のフレーズは!?

そこまでは僕は思わないよ。だけどひとつだけ言ってもいいかなと思ってるのは、いま箭内さんがおっしゃったように、考えない人たちが増えてるとは感じているんです。で、考えないでそのままアクションしても、数が多いからOKだってことになるとコワい。イジメもそういうことですよね。ちょっと考えればわかることを全然考えないで、それがどんどん普通になっていくみたいなところがある。数を前提にすればすべてOKだというふうに僕が思えないのは、そういうところですね。

大島さんといえば剛の者。銀行のキャッシュカードを人に渡して暗証番号も教えてお金おろしてきてって頼んだりするそうです。そんな人柄だからでしょうか、ものすごく大勢の人から好かれている存在なんですよね。

鋤田正義「産業生まれしところに広告あり」

デビッド・ボウイやイギーポップなど、泣く子も黙る外タレ(古っ)のカメラマンとして知られる鋤田さん。広告、音楽、映画の世界を行ったり来たりしながらクリエイティブな活動を続けています。

そんな鋤田さんからは、これからのクリエイターの着眼点にもなろう名言が飛び出します。

50年ぐらいずっとやってきて思うのは、ある産業が産まれてきたときにそこの広告が盛り上がるっていうのはありますよね。ジーンズが流行ると、グラフィックでもコマーシャルでもジーンズの広告が圧倒的にいい時代があったり、コンビニができ始めた頃には、セブン-イレブンのシリーズが元気よかったり。その時代の消費エネルギーは集中しますから、末端の人間でもそれにどう勢いよく対応していくか?は大事だと感じます。

なるほど!なんか就活と一緒ですね。いま盛り上がってる会社ではなく、次に盛り上がりそうな業界を狙え、なんてアドバイスを良くしているんですがきちんと世の中を見ておくことは大事だということですね。

高橋靖子「いいと思うことをやればいい」

17人のクリエイターの中で唯一の女性、スタイリストのヤッコさんです。この方、日本のスタイリストの草分け的存在。山本寛斎のファッションショーを成功させたり、デビッド・ボウイの衣装を担当したり。しかもいまもなお現場で活躍なさっています。

68年にニューヨークに行ったんですね、お金がないのに必死に貯めて。カメラマンやアートディレクターの方からアメリカのスタイリストの話を聞いていて「そんなにすごいものなのかな?」と思って二度ぐらい行ったんですけど、向こうのカメラマンやスタイリストから一番学んだのは「自分がいいと思うことをやればいいんだ」ということなんですよ。スタイリストやカメラマンだけじゃなく、表現する人はみんな同じだと思うけど、その人が持っている一番いいものをピカーンとやったときが一番いいわけでしょ?そういう意味では、ベテランも始めたばかりの人も同じかなという気がします。

どうすか、勇気づけられませんか?ぼくが若い頃にこんな言葉をかけられたら、たぶん、ついつい調子にのって大変なことになってたかもしれません。

仲畑貴志「よし、じゃあつぶしてやろう」

いよいよラストランナーです!トリを務めるのは仲畑貴志さん。「広告はケンカだ」「京都の極道出身」「じゃりン子チエのテツ」いろいろな迷言やいわくつきのエピソード満載ですが、とてもやさしい目をしている天才コピーライターです。

仲畑さんは先輩に尊敬するヤツはいない、と挑発的な態度。しかし同世代あるいは若いもんにはしょっちゅう刺激をもらっている、といいます。

要するに表現ってどっかで疲弊するし、もうこの先はないなあと思うとこまで行くことあるでしょ?で、なんかつまんねえなあ……って思うじゃない。「このジャンルの表現は、もうこんなとこで終わるのかな?」と思う瞬間、そういうときに佐藤雅彦だとか、あのへんの人たちが出て来て、すごいなと思った。そう思わされるだけで、すでにもう彼らにもらってる。よし、じゃあつぶしてやろうと(笑)。

ここで名前のあがった佐藤さん以外にも葛西さんや副田さん、あるいは大貫卓也さんたちからいろいろ教わった、と振り返ります。これ、ある意味ものすごく謙虚な姿勢だなと。あんな傍若無人な物言いをされながらも、実は腰が低いというか、本物を見分ける眼がシャープなんでしょうね。

■ ■ ■

と、ひさしぶりに長尺となってしまいましたが、全17名分のパンチラインを収録いたしました。パンチラインというよりもハイライト、といったほうが正しいかんじでしょうか。パンチラインのことをよくわかってないですね。言いたいだけなんですね。

いかがでしたか、こうやってザーッとピックアップして並べると、確かに『広告ロックンローラーズ』というタイトルがとても似合う対談集になっているとおもえませんか?ぼくはおもいます。いまいちおもえないぜ…というそこのあなた!どっかで手に入れて読んでみてください。

最後に、全員集合でのパネルディスカッションで秋山晶さんを大きく何度も頷かせた、宮田識さんの発言を記して終わりたいとおもいます。

宮田:人というのは「こうなりたい」という思いを持って生まれてきたはずなんです。人類始まって以来、幸せになりたいとか、平和でありたいとか、そういう思いがベースになっていろいろな職業が生まれてきた。家を建てる人、食料をとってくる人、料理をする人、服を作る人、歌をうたう人、デザインを作る人……。長い歴史の中でいろいろな人が出てきては、いらなくなると消えていく。「自分たちがいても、幸せや平和にはならないな」と思った人たちは自然に消えていくのが、「時代が移り変わっていく」ということだと思うんです。ですから僕らクリエイターも、幸せとか平和といったことを求めていないと、いま存在している価値はないんじゃないかな。企業があって、広告があって、僕らがここに存在しているということは、そこでやらなければいけないことは、もう決まっているんじゃないかなと。僕らの仕事が、幸せや平和といった世の中の「空気」を作るものだとしたら「広告だけをやってもダメで、実はセールスプロモーションのほうがいいのではないか」とか「いや、店舗を作ったほうがいいのではないか」とか、「この会社は世の中を悪くしているから、ここの広告はやりたくない」といったことを考えながら、仕事をしていかなければと考えています。なかなかうまくいかないけれど、自分の考える幸せな世界を、少しでも表現できたらいいなと思っています。

(おしまい)

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