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求人広告制作者の転職観

あけましておめでとうございます!というには少々時間が経ってしまいましたが今年も毎週月曜更新(予定)の求人広告制作noteをよろしくお願いいたします。予定は未定です。現に今日は火曜日です。

新年一回目の求人広告制作noteは、いつもの制作方法論や精神論、あるいは求人広告メディアについてのなんやかやから少し距離を置きます。

ではなにをとりあげるか。

「転職について」

かなり大きなテーマというか、そもそも論になりかねませんが、転職というものについてぼくが考えていることを整理してみたいとおもいます。

求人広告制作者のみなさまにおかれましては、ひとつの考え方の参考といいますか、思考のきっかけになれば此れ幸いでございます。

いきなり余談

2022年末のNHK紅白歌合戦をご覧になった方は少ないかと思います。なにせ視聴率史上ワースト2位というありさまですからね。

ただ、観た方の満足度はけっこう高かったんじゃないか。世代交代が上手い感じで進められているなあ、と感じました。

橋本環奈さんの堂々たる司会ぶりがあちこちでもてはやされていますが、それもそうだろうな、そもそも彼女世代からすると紅白はただの歌謡曲番組でしかないわけで。

紅白黄金期を創ってきた年代の人たちとはプレッシャーや背負うサムシングの重さがまるで違うと思います。だからシンプルに楽しめる、そしてのびのびと個性を発揮できる。

この構図って最近の、いわゆる脱スポ根アスリートの世界にも通じるとは思いませんか?

余談は続く

そして2022年の紅白で個人的にいちばん心を動かされたのは安全地帯の玉置浩二さんでした。

玉置さんは安全地帯の楽曲『I Love Youからはじめよう』の前にソロ曲『メロディー』をギター一本で弾き語ります。

この『メロディー』は安全地帯の活動休止中に作られた歌です。歌詞の内容は人それぞれの自由な解釈でいいのですが、ぼくはこれはきっと、メンバーとの昔の関係性を懐かしんでいる歌なんじゃないか、と思っています。

一説には活動休止の原因にメンバーと玉置さんの意見の相違、音楽性の違いなどがあげられており、もし、そんな心情がペンを取らせて生まれた歌なのだとしたら、切なくなります。

ぜひ歌詞を見て、歌を聴いてみてください。

さらに余談は止まらない

で、この紅白での2曲のパフォーマンスは、2022年12月17日に亡くなられたドラマーの田中裕二さんに捧げられているんですね。

『メロディー』はステージで田中さんがドラムを叩きながらつい涙してしまうといういわくつきの曲でした。

また『I Love Youからはじめよう』も安全地帯のライブで田中さんがボーカルをとることがあった曲です。

もちろんそれだけの理由で選曲されたわけではないでしょうが、どうしても結びつけて考えてみたくなります。

そして、そうした想いの乗った玉置さんの歌声は多くの人の心をとらえ、揺さぶることにつながったのだと思います。もちろんぼくも揺さぶられた一人です。

話はようやく本編へ

ながながと余談を続けてまいりましたが、何がいいたいかというと、いいたいことはただひとつ。

転職はいいことだけれど、人との出会いや繋がりは大事にしようぜ。

であります。

もちろん、ブラック企業から逃げ出すケースなんかは別です。あるいはいろんなハラスメントから身を守るような転職も、また別の話。

そうじゃなくて、つよつよ転職でキャリア街道をスイスイ泳いでいる人に伝えたいのです。転職したはいいが、その先でまた不満や愚痴の種をみつけてソッコーで転職するような人に言いたいのです。

転職礼賛の世の中

ここ10年ぐらいで人々の転職に対する考え方は大きく変わりました。

昔はできれば最初に就職した会社で定年まで勤め上げることが是、という風潮でしたよね。それがいまでは実力主義や終身雇用制度の崩壊といったワードが労働市場を跋扈。自己責任とか自己実現という利己主義にも後押しされて、転職は当たり前という社会になりました。

またコスパ、タイパを筆頭にいわゆるZ世代の効率主義価値観がこれらの風潮に拍車をかけ、ちょっとでも自分の価値観にあわなければすぐに次の会社へ!人生は短い!思い立ったらすぐに行動!ゴーゴー!みたいに煽りまくる短髪日焼け&髭面のおっさんもSNS界隈でよく見られます。

たしかに、転職することでスキルアップやキャリアアップを図ること自体はとても正しいことだと思います。ぼく自身も合計5回も職場を変えていますし、なんなら一度は職業そのものを変えたぐらいです。

ただ、あまりにも転職することを前提にしてキャリアだったり、自分の職業人としての来し方行く末を考えるのはいかがなものか。

転職は慎重に。

ぼくの以前勤めていた会社では設立以来「仕事を大切に、転職は慎重に。」という創業社長の言葉がかなり強烈に行き届いていました。

よく外部から、また社内の広報部門からも「求人広告の媒体事業主である当社が転職は慎重に、とはいかがなものか」という声があがったものです。しかし創業社長は意に介さず。

とうとう最終的にはBtoC向け広告にも「転職は慎重に。」というキャッチフレーズがフューチャーされることになりました。

ぼく自身はこのフレーズや考え方はとても好きで、気に入っていました。そうだよなあ、気軽に転職するもんじゃないよなあ、と。これまで安易に職場を変えて2度ほど痛い目に遭ったぼくだからこそ深く刺さったのかも(懐疑的だった人たちはみんなプロパーだったしね)。

やっぱり、転職は慎重に。

現在、前職の会社はすっかりそういうトーンのブランディングではなくなりました。プロモーション活動を見ても若手会員の獲得にシフトしていることは明白。それはそれで功を奏していると思われます。

ただ転職そのものについては、ぼくは依然として「転職は慎重に」だと思っています。さらにいえば、職場で得た縁を大事にしたほうがいいとも。

ほら、立つ鳥後を濁さずって言うじゃないですか。会社を去る時に発生する引き継ぎって、業務のことだけじゃないと思うんです。その会社での人間関係や繋がり、うれしかったことも悲しかったこともありますよね。

この歳になると、そういう目に見えないものが実はとても大切だった、かけがえのない資産だったなとわかる。特に若い頃や、事業も組織も未熟で貧しかった頃の思い出は、長い人生の後半戦を走る上で結構重要なガソリンになってくれるものです。

だから、転職してもいい だけど

だから、転職してもいい。転職してスキルアップしたり、キャリアアップして社会に能力で還元する。すばらしいことです。

だけど安易にはしないほうがいい。できれば慎重なぐらいがいい。せめていまいる職場の人間関係や恩や縁を無下にしないこと。

そうして、後ろ髪をひかれながら職場をあとにして、また次の職場でも慕われ、人と人とのつながりを大切にし、恩を売り、恩を返し、できれば長らく活躍しようと考える。

それでもいつか、一緒にいられないと思う日がきたら、そのときは静かにその場を後にする。決して軽く考えるのではなく、また自分のことだけを考えるのでもなく。

そういう転職を重ねるのいいんじゃないかなと思いながら、求人広告を創ることが大切なのではないでしょうか。

キャリアより思い出

余談のところで引用しないと書きましたが、やっぱちょっとだけ。

あの頃は なにもなくて
それだって 楽しくやったよ

玉置浩二作詞「メロディー」より抜粋

これがあるかないか。こういう思い出が持てるかどうか。キャリアにおける勝ち組だの負け組だの語ったところで、結局はこういうことが仕事人生における幸福ではないか。

年末、最初の会社でお世話になった先輩方と呑んだときにそう思いました。そしていささか埃っぽいかもしれないこの転職観、キャリア観をベースに、求人広告の効果だしテクニックや採用ブランディングの仕掛けに走ることができれば、より遠くまで見つめられる骨太な仕事ができるんじゃないかなとも思ったのです。

がんばろうっと。

今年もよろしくお願いします。

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