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ハクサンタクサン編集会議02 編集をみんなでやってみよう

残していくべき白山市の姿を発信し、次世代の地域づくりに生かしていこうというSDGs未来都市計画推進事業があります。その一環として、活動の輪を広げていくためにも、ハクサンタクサン編集会議を行なっています。

まずは、写真投稿SNSであるinstagramにおいて、「#ハクサンタクサン」をつけた投稿を公募。それを受けて、2回にわたる「ハクサンタクサン編集会議」を実施しました。第1回目(2月13日)は講義の聴講、第2回目(2月28日)は参加型の編集ワークショップでした。写真が好き、ブログを使って何か発信したい、地域の魅力を誰かに伝えたいなど、「地域を元気にする情報発信」に興味がある方にご参加いただきました。

今回は、第2回目の参加型の編集ワークショップのアーカイブをお届けします。instagram投稿企画「ハクサンタクサン」で白山市の写真を公募。2月28日時点で、585件の投稿が集まりました。このinstagramの内容を踏まえて、今回のワークショップが実施されました。

タイムテーブル
13:00-13:20 オープニング
13:20-13:45 自己紹介
13:45-14:00 編集のヒント:堀越さん/かがやき舎
14:00-14:10 ワークショップの説明
14:10-15:20 ワークショップ
15:20-15:35 休憩
15:35-15:55 グループの代表(参加者)が簡単に説明
15:55-16:00 クロージング
16:00-16:20 アフタートーク(質疑応答)

まずは、編集ワークショップを始めるにあたり、コーディネーターの三島由樹さん(株式会社フォルク)から企画について説明するイントロダクションがありました。その後、今回のゲストであるかがやき舎の運営スタッフ・山田 真名美さんと小川千夏さん、フォトグラファー・プランナーの堀越 一孝 さんの自己紹介が行われました。

かがやき舎の山田 真名美さんと小川千夏さんが石川県加賀市で運営するかがやき塾は、毎年参加者を募集し興味のあることや地域の気になることを共有し合うまちづくり学校です。自分自身を掘り下げ、最終的にはマイプランをつくるとのこと。今年で 6 年目で、卒業後も交流が続き地域のコミュニティにもなっているそうです。

フォトグラファー・プランナーの堀越 一孝さんは、地域を “写真で元気にする” 活動『ローカルフォト』という新しい写真の手法を日本各地で実践。地元クリエイターの育成事業なども手がけているそうです。2015 年にデザイン事務所 UMIHICOを立ち上げ、メディアの企画・運営・編集や、まちを体感するツーリズムを通した、まちの活性化事業などを実践されています。

参加者の自己紹介

山県氷見市、南砺市などの県外の方もいらっしゃいました。興味関心としては、白山市自体が好きな方、ジオパークについて発信している方、白山市のミヤマクワガタ等の昆虫採集が好きな方など様々。金沢工業大学の大学生から大学の職員、主婦など年齢や職業もバラバラです。

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ゲストの堀越さんいわく、白山市の好きなものはあんころ餅とのこと。山田さんと「あんこ部」というコミュニティを作ったそうです。それに対して、小川さんは「白山市の大判焼きはおいしいです」とのこと。白山市の良いところについて、話題は尽きないですね。

編集のヒント

次に編集のヒントについて、まずはゲストの堀越一孝さん(UMIHICO)からご説明いただきました。

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堀越さん:最終的なアウトプットがあるから編集が必要だと思っていて、その1つにメディアがあります。世の中にはテレビ・ラジオなど様々なメディアが存在しますが、そもそもメディアとは何でしょう。まずはメディアの使命ってどういうものだと思いますか?
瀧田さん(参加者):難しいですね。情報を伝えるっていうことでしょうか?
堀越さん:素晴らしい!そもそも、情報は伝えることで存在意義があります。その時に情報を受け渡す媒体がメディアです。では、メディアの一番の幸せはなんだと思いますか?
平野さん(参加者):正しい情報が伝わっていくということですかね。
堀越さん:確かにそれは大事ですね。(それに加えて)伝えたいことと受け取り手の知りたい情報がマッチすることも大事です。自分の伝えたいことを、どんな人が知りたいのか、またどうやったら届くのかをイメージすることが必要でしょう。メディアの運営は宝探しと同じようなものです。自分が伝えたい感動するものと出会い、それを相手にどう伝えるかを考えることでメディアが作られます。この料理が美味しいと書いてあっても全然違うメニューが書いてあったらマッチしていないことになります。写真選びからきちんと考える必要があるでしょう。相手を考えることで、制作物が変わってきます。

ゲストの山田真名美さん(かがやき舎)からも、簡単に編集のポイントを3つほどご紹介いただきました。

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山田さん:編集をするときは、発信の目的、見た人に届けたいメッセージ、主にどんな人に届けたいか、という3つのポイントについて気をつけています。これは実際に、instagramの代行発信に関するお仕事をした時に、実際に提案書に書いた内容です。(最初は気をつけられていても)これらについてどんどん意識が薄れてしまうので、常に原点に帰れるように意識をしています。

▼山田さんが代行発信のお仕事で提出した資料

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ワークショップの説明

その後は、運営の金田さん(株式会社フォルク)から、本日のお題に関する説明がありました。

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金田さん:今回皆さんに取り組んでいただきたいワークショップのお題は、白山市の修学旅行」です。このテーマに沿って、リーフレットを作っていただこうと思います。なぜ修学旅行なのかというとSDGsの視点で学べる場所のニーズが高まっており、現在白山市はジオパークなどに恵まれているので、修学旅行の学習の機会として、みなさんと一緒に考えていただきたいです。
堀越さん:リーフレットに関して予定では、A3の両面カラーで、センターで折るのでA4になるくらいの大きさです。4ページくらいのボリュームになるかと思います。写真や文章、10枚も載らないです。どんな文章や写真があると、白山市に修学旅行で行きたくなるのか、町の特色をどう表すのか、どれだけの情報量になるのかなどを考えていただけたらと思います。

ワークショップは各グループ以下のタイムラインで行われることになりました。

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参加者のグループは以下の2チームになりました。

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また、ワークショップで行う内容についても説明がありました。

金田さん:まずはどんな人をターゲットにするのかを話し合っていただけたらと思います。学年、性別、白山市に初めて来たかなどについてです。その次に、ターゲットに向けてどのような写真を届けるのか、インスタから写真を選びます。写真選定の時に気をつけるポイントとしては3つあります。①思い出(修学旅行のどのような思い出になりそうかということ)②経験(どういう学びがありそうかということ)③次世代(どんな担い手作りにつながりそうかということ)まで想定していただけたらと思います。

最終的なリーフレットのイメージは以下のようになります。

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その後は、各グループに分かれてブレークアウトルームにて、グループワークが行われました。

グループワーク

まずはAチーム。白山市出身の参加者2人から、外から来た人に魅力を伝えたいという意見が上がったそうです。市外の人から見たら、白山市の魅力は自然だろうとなりました。自然に触れていない人に向けて伝えるとすれば、ターゲットは都市部の中学生。中学生だと、素直に自然を感じてもらえる年齢でもあります。関西方面の人が白山市きている場合が多いことから、大阪の人に向けて行うのがよいかもしれません。思い出にもなるし、良い経験にもなるでしょう。子供がいる参加者目線でも、子供に自然の豊かさを伝えたいという意見が上がったそうです。ターゲットが決まった後に、写真をみんなで選びました。例えば、蛍の光の写真を選んだ人は、生態系を知ることもできて良い思い出にもなるという意見が上がったそうです。

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次にBチーム。こちらでは逆に、地元の人に白山市の良さを伝えるべく、石川県内という比較的近場の小学6年生をターゲットにしたいという意見が多かったそうです。石川県内でも加賀と能登では方言が違い、別世界という印象も受けるのだとか。その中で、自然の良さを知ったり歴史文化など大人になった時に役立つものが面白く学べたりするのが良いのではとなりました。白山市を大人になった時のホームタウンとして考えてくれることを想定。写真選びでは、例えば木ゆうりん体験工房の写真に関して、木と触れ合える機会は大人になってからも思い出に残って、また行きたくなるのではないかという意見も上がったそうです。

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グループの代表が発表を共有

結果として、Aチームのアウトプットはこのようになりました。

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河村さん(参加者):私たちのターゲットは関西方面に住む都市部の中学生です。修学旅行ということで、思い出に残りやすい自然体験や、普段の都市部の生活とのギャップという点で写真を選びました。例えば、都市部では、このような綺麗な星空は見えません。星空をあまり見に行く機会はないので、そういう体験ができたら良いと思います。白山比咩神社はパワースポットになっている場所で、良い思い出になります。また、滝もビルのある場所では見られないような景色です。パラグライダーと雪景色というのはこの地域でしか見られません。自然の綺麗なところはたくさんあっても、見に行くという機会がないと気づけないこともたくさんあると思います。新しい地域の魅力の発見につながると思います。

▼Aチームが選んだ写真。

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堀越さん:修学旅行の思い出の話を聞いたときに、文化的なこととか場所のことについて、普段は味わえなかったことが印象に残っているとのことでした。河村さんにとっては、白山で育ち、自然というのが身近にあったけど、すごく特別だという意識もあるとのことです。ジオパークとのギャップを持たせれば、印象的なものになるのではと考えたのです。普段と違うことを意識して純粋に感じてくれる世代としてターゲットを中学生に設定。梅田近辺でたむろっている中学生に来てもらいたいと感じました。特別感を意識して、皆さん写真を選んでくださいました。

一方で、Bチームのアウトプットはこのようになりました。

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平野さん(参加者):ターゲットは、小学校6年生になりました。写真は近い将来にかかわらず、数百年先に残したい風景を選びました。もく遊りん体験工房の写真は、木と触れ合える機会は大人になっても財産として残り、行きたくなるのではと思います。太鼓の写真は、ミュージアムで石川の中でも方言が違うことに触れていただきたいということです。また、白山が綺麗なので絵を描く大会などしたら面白いのではないかと思います。

▼Bチームが選んだ写真

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山田さん:私たちは、同じ石川県内でも方言や歴史などが全く違うことに着目。地元の小学生が良さを再発見する機会や、大人になった時にふと思い出してくれるようなきっかけができたら良いのではと考えました。白山についても、住む場所の違いによって見え方が違うのが面白いです。

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発表の後は、運営の金田さん(株式会社フォルク)の合図で集合写真を撮影して、今回のワークショップは締めくくられました。みなさん最後まで和気藹々としていて、充実したような表情が印象的でした。

金田さん:instagramの写真の選択肢がたくさんあってどうやって選んだら良いのかと思う時もありましたが、皆さんと(ワークショップ中に)情報を伝えるターゲットを決める中で、私自身も学びがありました。ここでお時間となりましたので、この後はアフタートークという形でゲストの堀越さんや山田さん、小川さんに聞いてみたいことがあれば、残っていただけたらと思います。最後に白山ポーズで集合写真を撮りましょう!今日は皆さんご参加いただきありがとうございました。

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instagram「ハクサンタクサン」もぜひフォローしていただけたらと思います!よろしくお願いいたします。

ハクサンタクサン編集会議02 の概要

日時 :2021年2月28日(土) 13:00~16:00
会場 :オンラインでの開催
参加費 :無料
定員 :20名 (先着順)
内容 :連動企画であるインスタグラムの#ハクサンタクサンで集まった写真などを素材として使用した、編集ワークショップです。地域発信編として「白山市内の修学旅行」を想定し、リーフレットをみなさんで編集します。

講師の方々のプロフィール

■堀越 一孝 / フォトグラファー・プランナー
1982 年神奈川県生まれ。2011 年より「地域と写真」をテーマとした写真活動を開始。地方地域を “写真で元気にする” 活動『ローカルフォト』という新しい写真の手法を日本各地で実践し、地元クリエイターの育成事業なども手がける。2015 年にデザイン事務所 UMIHICO を立ち上げ、メディアの企画・運営・編集や、まちを体感するツーリズムを通した、まちの活性化事業などを実践している。
UMIHICO(https://umihico.net/)
■山田 真名美・小川千夏 / かがやき舎
かがやき舎は、石川県加賀市で活動するまちづくり学校「かがやき塾」を運営。今年で 6 年目となるかがやき塾では、興味のあることや地域の気になることを共有し合いながら自分自身を掘り下げ、マイプランをつくっていく。卒業後も交流が続き、地域のコミュニティにもなっている。
かがやき舎(https://kagayaki-ishikawa.com/)

白山市SDGs未来都市計画
白山市は、2019年6月15日、国連が定める「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた優れた取組を提案した自治体として、SDGs未来都市に選定されました。白山市は日本3大名山である白山、一級河川手取川、そして海に面し豊かな自然に恵まれています。白山市が企画したSDGs未来都市は、この豊かな自然を次世代へとつなげるための計画です。この計画を2019年度から3年計画で、白山市で実施していきます。

白山市SDGs未来都市計画推進事業
主催:金沢工業大学
協力:株式会社フォルク(https://www.f-o-l-k.jp/)

(執筆:稲村行真)

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