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薄楽詩集

40
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2024年4月の記事一覧

【詩】かなしみのアリバイ

【詩】かなしみのアリバイ

 かなしみのアリバイ 

かなしみはそれっきりだった
西日はどこまでも赤かったような気がする
葉が揺れて夏なのに散って
人の命の尽きた日にラムネ飲んで
おれは風の中にでた
愛すべきしがらみは
プラカードでこしらえた棺と一緒に燃え
野辺のけむりとなって消えていった

あの連山の端は
うつむいて笑うお前の横顔のようだ
ああ やっぱり 西日はあの端山の向こう側まで
赤く沈んでいたのだった
野あやめを焙煎

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【詩】蛇

【詩】蛇

 蛇

あなたは左なの?
そうだな、少なくとも君よりはね
じゃあ、そのまま左へすすんじゃったらどうなるの?
そうだな、ぐるっとまわって右になる
じゃあ、まっすぐすすんだらいいんじゃない
だめさ、まっすぐ進めば・・・
山あり谷あり そして 海
または 崖 ないしは 壁 だな
じゃあ、抜け道をくねくねよじれながらいくってのはどうかしら
なんか君みたいだな
神様にまた叱られるかな
ああ、人間に裸の羞恥

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