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『みんなの言葉+私の文字+私の写真』

こんばんは、薄明です。前に #いいねした人の適当なツイートを勝手に手書きで書く というのをやって、文字を書くことについてnoteを書いたことがありました。

で、またTwitterで同じタグで遊んでみようと思いました。ただ、今回は人数を少なめ(10人程度)にして、前と違ったことをやってみようと思ったのでした。完全に思い付きで。

それは、いいねしてくれた人のツイートからフレーズをお借りするのは同じですが、それをより部分的でも可としたことがひとつあります。そして次に、それを手書きします。今回は万年筆で書きました。それぞれ文字の雰囲気を変えてみようかと思いましたが、結局今回は統一しました。

それで、今回はその文字をリプライするのではなく、私が今まで撮った写真(フィルム写真、デジタル写真)から適当に選んで、その写真にレイアウトしてリプライすることにしたのでした。これが想像以上にきついことでした。

まず毎回のことですが、相手のツイートを過去まで遡ってぴんときたフレーズを探す作業自体で結構時間と神経を使います。面白いものというわけでも、すごくいいことを言っているフレーズでもなく、ただ自分がぴんとくるものだけを拾い上げる作業です。

それが終わると今度は書き綴ります。これはもう思うままにペンを走らせるので、今回の中では一番楽なところです。

その次が、写真のセレクトです。フレーズに合う写真を選ぶのか、ネタ的な写真を選ぶのか、単純にただ私の好きな写真を選ぶのか…膨大な数の写真をざくざくと見渡しながら、フレーズを横目に合うものを選びました。そううまく合うものばかりでもない。単純に自分が好きな組み合わせにしたものもありました。元々いいねしてくださった方が撮影している雰囲気とはかけはなれた(つまり、言葉のもつその人の温度や色とも離れてしまう)ものもありました。

それについては心苦しいものもありました。いや、実際のところほとんどが、遊びでありながらもなんと苦しいセレクトだったでしょう。本気で考えていました。相手の言葉を借りるということの重みが、こんなにも大変なものなのだ、ということが私の臓腑をきゅうきゅうに締め上げていました。完成すればひとまず嬉しい、楽しいものを得られますし(不安はありますが)、お送りした相手から何かしらお返事を頂戴すればそれはもう、とても嬉しい事でした。苦しさや辛さも飛んで行ってくれました。ありがたいことです。

せっかくなので、12人の、12枚の写真を以下にあげていこうと思います。いいねして下さった順番などとは関係ありません。全く思い付きの順番でお返事していきました。写真はクリック(タップ)すると、拡大して原寸でみることができると思います。

@kotoba00000 あおさん

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「きちんと 居場所をつくれたので。」

咲き終えて落ちた椿でしたが、あたたかな日射しと影の間で、そこが居場所のようにしずかに揺れていました。そんな風に感じて先日撮った一枚でしたが、あおさんのツイートの一部のフレーズと引き合って、この一枚になりました。


@n_ashi___ nashiさん。

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「勢い余って」

どうも放置自転車なのかわからないのですが、柱にチェーンロックで固定された姿はなんだか勢いを感じさせるものでした。結構前に撮った一枚で、結構気に入っていたのですが、nashiさんの「勢い余って」というフレーズが組み合わさっての一枚になりました。


@_iluzalsipal_ ちゃるさん。

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「暮れ逢い」

秋の暮れ、フレームアウトしそうなカップルの背中の一枚でした。(車が入ってしまったのは計算外です) 大きな工事中の無機質な壁がキャンバスのようで、大きくちゃるさんの言葉を書かせていただきました。ちょっと小説の表紙みたいだなあと思いました。本職の方に怒られそうですが。暮れ逢いという言葉も、気に入って美しいなあと思ったのです。少し寒く感じる頃のふたりを感じさせます。


@MinoltAlpha_CL 松原さん

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「レンズ買いに行こう」

人がわらわらといますが、その流れはなんとなくこどもたちのものです。松原さんの「レンズ買いに行こう」、という私たちにはなじみのあるフレーズを、およそ関係のない児童の群れに組み合わせ、少しやさしくポップな雰囲気の文字で組み合わせてみました。なんだか、レンズを買いに行きたくなってきました。50mmのレンズが欲しいです。


@mellowblue_ray Rayさん。

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「愛祷」。

Rayさんは写真につけるキャプションが短フレーズながらも詩的で美しいのですが、中でもこの言葉が妙に惹きつけられました。「哀悼」という、同じ音の言葉は一般的に知られていますが、どこかそれに近しい意味合いを感じることができます。一応、愛の意味はさておき、祷という文字の意味としては「祈り」です。祈祷ということばがありますね。ですので、悼むことよりも愛する、愛する者への祈りの意味なのだろうと考えています。ご本人に確認したわけではないので、私の勝手な想像です。写真がその意味に即したものではありませんが、書いた文字とこの(たまたま今自分が気に入っていた)写真がすっと合ってくれたので選びました。ただ、写真にかぶせるよりも、下に配置するのがしっくりきたので、普段の私の写真とはレイアウトが違っています。


@tk_photo_60d TKさん。

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「それが私の人を撮る動機」

TKさんはTwitterをご覧いただければわかるように、こういうストリートスナップ的なものよりも、モデルさんと写真を作っていかれるタイプなのかなと勝手に想像しています。だのに、この写真とTKさんの言葉を組み合わせてしまったのは、ご本人からするとミスマッチかもしれません。ただ、「人を撮る動機」というものを考えた時、私にとっての答えはたくさんあって、そのうちのひとつが街並みの一部として記録される一種の風俗・民俗情報であるということでした。なので私の多くは「人に迫る」スナップではない。TKさんの話からずれてしまいましたが、そういった思いを起こさせるキーフレーズでした。TKさんはこの写真に対して多くコメントを下さり、コミュニケーションをとることができたので、結果的にとても私は嬉しい事でした。

先述したジレンマを、私のやっていることを想像し、かつ受け入れて下さったTKさんに感謝いたします。


@hiloyuqi_500c ゐんこ教官さん。

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「負けないで」

ZARDが好きなゐんこ教官さんのフレーズは、ZARDの楽曲「負けないで」から頂戴しました。そして写真はちょっとネタに走ってしまったかもしれません。脚立に「お疲れに アリナミン」という赤字が見えますね。負けないでがんばりたいところです。これはこの写真以外なかなか探せなくて、第一印象で決まってしまいました。


@NovicePho Take9さん。

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「代わりに書いてくれるのかい?」

書く、という行為に関連付けられる写真そのものを、あまり撮っていなかったので選ぶのが難しいなあとは思ったのですが、最終的に自分が好きな写真で組み合わせました。このつながる電飾・光が、どこか言葉を紡ぐつながりのように思えたのでした。シナリオライターをされているTake9さんにこういう言葉の説明をするのは気恥ずかしかったのですが、快く受け入れて下さって、とても嬉しかったです。元の写真はご家族を撮られたもので、とても暖かく優しい目線を感じられる、素敵な写真でした。なんだか、こんな無機物にしてしまって申し訳ないです。


@siguresou212 しぐれそうさん。

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「不器用でも自分の気持ちを言葉に現していきたい」

ことばの意味としては、私が解釈するまでもありません。私もことばを扱う人間の一人として、自分の感じたもの、思いを相手にはこころよく受け取っていただきたいと思っています。その一方で、ことばで表現をするものとして、自分のプリミティブな感覚を、誰のことも考えずにひたすらに輝きを、邪魔されずに形にしてやりたいという思いもあります。写真においても、私がひたすらに自分が「好き」で「気持ちいい」写真こそを撮り続けるのは、自分や自分の感覚が一番大事にすべきものだというひとつの結論に至ったからでした。それが他者からすればどれだけ不器用であっても、自分であることが何よりも大事なのでした。しぐれそうさんの言葉をお借りして、私の好きな写真の一枚を組み合わせました。

@mofux2bird フィンスさん。

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「すべての作者さんにエールを送りたい。」

写真に迷ったフレーズです。つくるものへのエールを伝えるような写真がなかなかなくて、結局好きなことをしている人(写真に写っている人たちは、焚火をしながら楽しい時間を過ごされていました)とその空間を撮った写真に、そのエールを合わせました。多分メッセージの訴求力としては低いと思います。けれどこの写真は何だか好きなのです。何枚も同じような写真を撮った覚えがあります。

すべての作者さん、つまりすべてのつくり手に対して、肯定の声をあげるというフィンスさんのスタイルを少しでも感じて頂けたら幸いです。


@lotuskonomi konomiさん。

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「寒いからね」

寒いね、寒いよね、寒くなったね、寒い、色々な表現の中で、「寒いからね」ということばに、どこか寄り添う響きを感じました。写真の色が少し冷調寄りではあるのですが、青い花と黄色い花がそっと会話しているように感じた一枚でした。そこに、konomiさんのことばがすっと入ってきてくださったので、一枚に仕上げました。シンプルすぎて、手を抜いたんじゃないかと言われそうですが笑 少し字をやさしめに書きました。手と手をすっと繋ぐような気がしました。


@dead_end19 tattiさん。

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「なんとなく作成した なんとなく可愛いやつ」

真っ青のトタンにぽこっとついたメーター。なんとも可愛らしさを感じて撮っていた写真でした。tattiさんの「なんとなく作成した なんとなく可愛いやつ」は、いろんな写真に当てはめてみたくなる面白いフレーズでした。あまりふざけすぎると怒られるなと思ったので、第一印象ですぐに組み合わせたこの子で仕上げました。

以上の12枚でした。

さっきも書きましたが、ひとのことばを預かるということは、とても重い事でした。思い付きでやるようなことではなかった。自分の写真を選ぶ時点でも、それは相手のことばの持つ色や温度、重さというものを想像せずにはいられません。そのうえでふざけるのも一つのコミュニケーションですが。

今回は主に時間をかけすぎないように、私が好きな写真との組合せに重点を置きました。なので、本来その方の作風とはかけ離れてしまったり、言葉の意味が曲解されてしまったりで、ご不満のある方もいらっしゃるかもしれません。もしよかったらそのあたりの思いをお聞かせください。たかが遊びではありますが、本気で遊んでみました。二日かかったともいえるし、二日で終わったとも言えます。

この、ことばと、手書きの文字と、写真とレイアウトの組み合わせによる作品化モデルは、これから自分自身がやろうとしていることのひとつです。その練習のつもりでやってみました。思ったより精神的にも肉体的(特に目、と頭)にもくるものでした。でも、楽しかったです。受け入れて下さった皆様、本当にありがとうございました。

それでは、よき写真生活を。


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