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性虐待サバイバーの家出〜脱「家」記ありのままver〜


タイトルを打ったとき、「ただいま」と思った。


この記事は直近で更新していたエッセイ『脱「家」記』の改題版である。


タイトルの通り、全てを捨てて家を出るまでの経緯をつぶさに報告する手はずだった。しかしその試みは失敗した。


最初は引っ越し手続き諸々のしんどさから、現実逃避として、なるべく自分が書いていて楽しい記事にしようと始めた。書き手の個人的事情を極力省いて、ウケ狙いを捨て、文を推敲せず、気ままに書いた。それでも辛かった。


いかにも健康なクリエイティブ系の人間が全部を捨ててイチから東京いっちゃいま〜す的なエッセイを書きたかった。ちなみにタイトルは「脱セイカツ記」からパクった。こちらも面白いので、ぜひ。生活のあらゆる営みはなくてもなんとかなるよね、という検証本です。


さて。私は家を出るぞいと決めてから順調に心身が摩耗していった。あらゆる手続きで本名を自分で言う、書くことは思った以上に苦痛だった。


他にもシェアハウスを借りようとしたら連帯保証人が必要で、入居一歩手前で全てがパァになり、膝をつく等の出来事が立て続けに起こった。


体調が悪くなり腹痛で救急外来を受診し、これはもうお決りの医師からの「何もないですね」からの検査代エトセトラで飛ぶ諭吉。


タクシー代も惜しく病院から徒歩でアパートに帰ってから、隣の目も構わずに放送コードに引っかかる言葉を叫んだ夜。


住み込みのアルバイトはなかなか決まらない。車がないから荷物の搬出もままならない。障がい者向けの無料搬出サービスは、二ヶ月先まで予約が埋まっていた。


…しんどかった。私は全てを捨てて、ただ新しい土地でマンガを描いてマンガを読む永久機関になりたかったのに。虐待を受けたことなんて露知らずのまっさらな自分を見て欲しかった。


それでも引っ越しの準備を進めて壁にブチ当たる、そのすべてが私は虐待を受けて育ってきた、ということを水まんじゅうくらい艷やかに証明していた。


金はある。こう言うと完全に下品な成金のセリフであるが、正直新しい事業を始められるくらいの資本金程度は、ある。じゃあサッサとマンスリーマンションに泊まれよタコスケ、と思った方も多いでしょう。私も考えました。


でも、嫌なんである。ワガママなのは重々承知している。理由は二つ。①、自分が稼いだ金じゃないから嫌。②、「自分の力で」家を出たという事実が欲しい。の二つだ。

まず①。病気(過去のnoteに詳しく書いてあるよ!)のせいで知らんうちに貯まっていった。布団で寝っ転がる時期や精神がヤバいとひたすら掃除をする時期を経て、自然と使わなかった。あと虐待加害者から「取り敢えず」で貰った50万も手元にあった。

そして②。私は悪夢をよく見る。内容は似たりよったりで、家を出て助けを求めて夜の町を徘徊するものだ。


警察に行ってもなんらかで家族にばれて引き戻される、そもそもどこにもたどり着けないなどバッドエンドは多岐に渡る。


私はこの夢のオチを変えたい。家を無事出ました、めでたしめでたしとしたい。


加害者と同居してないにしても、家族からは逃げられないし似たような人を見て兄ではないかと怯えるのをやめたい。そもそも現住所を知られてる時点でムリ!引っ越したい!!


それだのに、ゴールへの壁は高い。


まず体調が悪化した。目が霞むし肩は凝る。眠りも浅くなった。理由は前述の通りである。


虐待を受けて、ロクに働けなくて、体調が安定しなくて、今無職で貯金は馬鹿にあって、ストレスがかかると腹を痛める。それが今の私だった。


クソみたいに嫌だけど、受け入れるしかない。受け入れた今は少し楽しい。偽るのは楽だけど、楽しくない。ファンとイージーは違うのだ。


辛いことを辛いと認めて、自分に寄り添った選択をしたいと思う。書いたらちょっとスッキリした。ここまで読んでくれた猛者がいたら固く握手したいしハーゲンダッツ奢りたい。またアンタは金に物を言わせて…。


ただ、できたことが増えたのも事実なのだ。マンガを完成させられること、他人に相談できること(稀に)。辛くてヤバい時立ち止まれること。書くという行為で発散できること。


じわじわと進んでいき、匍匐前進程度でも昨日の自分を超えてゆこうと思う。いつかその先に、「性的虐待サバイバー」というラベルを捨てられる未来を信じて。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

書ききれませんでしたが、婦人相談所等各種公的サービスは存じているのであまり心配しないで下さいね。


あくまで気晴らしとして書きました。


それではまた、いつか。








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