福沢諭吉が「学問のすすめ」に込めた夢
前回の流れで、福沢諭吉です。
彼の言葉で有名なものをあげよ、といわれれば「天は人の上に人を造らず」ですよね。
「人はみな平等」という人権の意味で引用されることが多いのですが「学問のすすめ」では、単なる導入に過ぎません。
彼の主張は、そのあとにあります。
・「と言われている」
原文を見ると、
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」
「言えり」がポイントですね。現代語訳だと「と言われている」というところでしょうか。ちなみに、言っているのはアメリカの独立宣言前文。
「言われている」ときたら、「しかし」ですよね。
みんな平等だと言われている。しかし、なぜ天と地ほどの差があるのか、と言っているわけです。それについての福沢の答えは明快です。
人は生まれは平等だが、学問をして知識のある人は身分高く豊かになり、知識の無い人は身分低く貧しくなる、と言い切ってます。
「だから学問しようぜ!」
というのが「学問のすすめ」のテーマ。
が、ちょっとおかしくないか?
この本、明治5年に出てるんですが?
・語られているのは福沢の理想?
明治5年に出てるということは、日本で学問が自由にできるようになってから、まだそれほど経っていません。学問によって豊かになり、尊くなった人はまだ殆どいないはずなのです。
ということは、
ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり
は、アメリカで見た社会をもとに語っていることになりますね。
諭吉の生まれた頃の日本は、親ガチャ以上の家ガチャが基本でした。彼が、身分制度の理不尽に悩み、怒ったことは、「学問のすすめ」からも「福翁自伝」からも見て取れます。
彼にとって、実力で評価される(実際にはまだ人種差別があったが)アメリカの社会はとても羨ましいものであったに相違なく、
「これからは日本も身分ではなく、実力の時代になるぞ!」
という予測、というか夢を込めて書いたのが、あの一文だったのだと思われます。
「学問のすすめ」は明治の大ベストセラーとなりました。当時の国民の一割が読んだ計算といいますから、現在で言えば一千万部の大ベストセラーに匹敵します。
これは、彼の熱が当時の人達に伝わった結果だったのではないでしょうか。
・余談 勉強しない人には厳しい諭吉
そんな諭吉なので、学べる環境で勉強しない人には厳しいです。
ちょっと面白かったので載せてみます。
私もちょっと真面目になろうかと思います。
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