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おとなになるのび太たちへ: 人生を変える『ドラえもん』セレクション:本の紹介(ネタバレ少)

ぼくは、ドラえもんが好きだ。

入りはアニメからで、マンガにはあまり親しみがなかった。小さい頃は「大山信代さんのドラえもん」を見て育ち、今の「水田わさびさんのドラえもん」に切り替わってからは少し間が空いたが、ここ最近は毎週欠かさず視聴しているし、録画ながらもドラがおじゃんけんにも挑んでいる(自粛なし)。映画も劇場で観ている。尚、スタンドバイミー2については、「劇場版の2」に対して過度な期待を寄せすぎたことを深く、反省している。

わかりやすく個性豊かなキャラクター、典型パターンをこなしつつ、随所にはさまれる変化のあるストーリー構成、誰しもが誰かに共感できる、身近なエピソード....魅力を挙げ始めたらキリがない。
しかし、社会人経験等を積み始めている方、つまり大人になって改めてドラえもんを観てみると、ある、「ドラえもんの魅力」に気づきやすのではないかと思う。子供向けエンタメたるドラえもんだが、実は、人間や人生、世の中の真迫る、或いは共通している性質や課題が散りばめられている。映画のみならず、そういった話が案外多い。

本書はそんな「響く話」ばかり注目している。「子どもたちが憧れる職業についた10人のおとな」が選んだマンガのドラえもんのエピソードを掲載した後、社会的に成功している彼らの、各エピソードに紐づいた人生の歩みや、子供時代の逸話が文章で記載されている。

彼ら成功者たちが子供の頃にドラえもん読んでいたかどうか、本当に影響を受けていたのかは結構なパンドラの箱であると思うが、大人なので一旦端に置いておく(もう取り出すことはない)。

例えば「猪子寿之/アート集団チームラボ代表」×「アスレチック・ハウス」だとか、「梅原大吾/eスポーツプレイヤー」×「あやとり世界」なんかは、人々の価値観と世界観に迫るような内容に触れており、子供がどこまで理解できるかはわからないが、大人が読んでも「ううむ...」と唸るような一節が記載されている。「辻村深月/小説家×「ぼくよりダメなやつがきた」などは大変情緒的なエピソードと、その解説や解釈のような辻村氏の文書が、マンガのページをめくってすぐに読むことができる。
繰り返しになるが、かなり大人向けの、哲学の様な奥深さをマンガを通じて、アルミニウムくらいの伝わりやすさで熱さを伝えている。ちょっとキテレツ的な脱線をしたが、要は、わかりやすいということナリ。

50年以上愛読され、アニメが続き、世界中で放送・出版されているドラえもん。元々は子供向けであるマンガが、永く続くコンテンツとなっている。キャラクターの魅力もさることながら、実は人類にとって普遍的で伝わりやすいテーマが随所に散りばめられていることが、愛されている要因かもしれない。

マンガのドラえもんは、アニメに慣れていると少し違和感があるかもしれないが、パラレルワールド迷い込んだ様な感覚で、一歩引いて読んでみると良いかもしれない。例えば「しずかちゃん」は「しずちゃん」呼称されていたり、ドラえもんは今のアニメよりものび太に厳しめだ。結構世知辛いが、昭和の表現として受け取ってほしい。

ぼくはドラえもんが好きだ。

だが、実はにわかだ。

これだけ大仰にドラえもんの偉大さを語ってきたが、ハマっているのは最近だ。でも、アルミニウムくらい熱しやすいぼくは、神奈川県川崎のドラえもんミュージアムや富山県高岡のふるさとギャラリー双方に足を運び、付け焼き刃なドラえもんの予備知識や、藤子・F・不二雄先生がドラえもんに至るまで、または、ドラえもんの歩みについて、猛勉強し、心のノートに書き殴った。そして、未発表ではあるが、大変な研究を行った。

ドラえもんオタクに一歩近づいているナリ。

その成果が、本記事であって(それ以上はないと思われるが)もしあなたもドラえもんから人生を考えてみてはいかがだろうか。

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