戦争いう名の呪い

　戦争とは、人間にかけられた呪いだ。人間のように、ここまで業が深い生物はいないだろう。なまじ知識が有るために、その知識を利用してすぐ戦争を行う。すぐ争い始める。短い歴史の中でどれだけの血を流せば、気が済むのだ。

　戦争において勝利とはすべてだ。いろいろな形が勝利にはあるだろう。だが、基本またその敵陣営が反旗を翻さないために、そこに残り統治や法律の改正、憲法の改正を求めるのが普通だ。第二次世界大戦後の日本では、教育、政治、紙幣の肖像まで様々なものが変化していった。GHQの手によってだ、だから、今でもよく憲法第九条の改正や自衛隊のことが問題視される。そう、他の国の意思で変えられた国の内情は良くも悪くも、変化はするがその錯誤問題が後々響いてくるのだ。

　今回なぜこんなことをいうのか、それは米バイデン大統領がウクライナ情勢をめぐって東ヨーロッパへの派遣準備を進めていたアメリカ軍に派遣命令を出したのだ。アメリカ政府高官は、「ウクライナでの戦闘には参加しない。」としているらしい。

　日本が一生懸命戦後の復興で頑張っている中、アメリカとソ連であることが起きた、それは冷戦だ。その中でも有名なのは朝鮮戦争やベトナム戦争だろう。朝鮮の問題というものは何時も、日本を悩ませてきた。明治時代、富国強兵で国力を高めている中、日本が植民地としたのは、朝鮮だった。満州でも事件が多々起きた。

　明治時代でそうなのだ。では、最近はどうなのか。それは昭和二十五年、朝鮮戦争という戦争が起きたことから始まる。私はまだ生まれてすらいない。父親ですら、昭和二十七年生まれなのだから、父も生まれてない。当時、国力が無かった日本はアメリカに武器などを売りお金を儲けた。戦争で多大なる被害にあった私たちは、皮肉ながら戦争で莫大な資金を得た。この日本がウハウハな背景で、アメリカとソ連は朝鮮を舞台に苛烈な戦争を繰り広げていた。共産主義がいいのか、資本主義がいいのかという愚かな理由で。今度は、ウクライナがその標的になりかねない。今は睨めっこで済んでいるが、そんな都合のいい事は長く続かないだろう。バイデンはアメリカ国内での支持率が下がっているから、軍事力と言うアメリカの長所は生かさないわけにいかない。だが、アメリカとて最高の経済力を誇る大国だ。そこまで頭のねじが飛んでないことを祈る。下手をしたら、第三次世界大戦の始まりだ。

　厳密には、朝鮮戦争のような状況に酷似しているだけで、NATOの問題でもあるため一概に朝鮮戦争と同じとは言いにくいが、とても似ている。この朝鮮戦争のような事態にならないために、各国が睨みを利かせ、均衡した軍事力を持って居ないと戦争が起きるのだ。中国はここ近年ものすごい経済成長を果たした。冷戦時はアメリカとソ連の二強だったが、今は中国の目も有る。そのために、下手なことはできないと思いたい。だが、ロシア側が敵の敵は味方と三国志の劉備達のように、舵を切った時にはどうなるかは個人的にも想像したくない。

　この状態に否と言えるかは、意識次第だ。まったくながら、残念ながらこの世界の瞬く歴史という名の本の中の文字は、血で綴られていることが多い。このことを努々忘れてはならない。祖先の人々が、未来永劫平和を願ったのは私たちの孫や子の世代が血を見ないようにという意味を込めたのだ。皆も考えてみてほしい、最愛の息子、娘が死ぬ姿を、愛国心という名の疑心に惑わされ戦争に駆り出される姿を。今はまず無いと思うが、私たちの曾祖父曾祖母はそれを経験しているだろう。涙にぬれ、その愛の結晶はいずれ消滅するにしても、死に場所ぐらい選ばせてあげたいと、思い願っただろうと思う。

　私たち現代日本人は戦争というものには馴染みがない。憲法で守られているからだ。なので、法律を作る政治家は、その憲法に従わなければならない。そのおかげで日本は平和に近く、治安もいいほうだ。だがその反面、海外にも目を向けてほしい。日本の自給率はとても低い、資源に乏しいし、広大な土地もない。海外に頼って生きているのだ。

　聖書の有名な隣人を愛しなさいという戒めがある。例えば、小さいころ友達と口喧嘩しても、その翌日にはケロッとしている人なんてよくいた。近隣の住民とトラブルが起きても、片方が折れれば相手も謝るのが普通だし、そこで謝らないと世間体も悪くなる。謝られたほうは、謝られた方で、そこで何かを要求したりしない。それが普通だ。だが、なぜか、人間は国となるとこれができない。欲があるからだ。集団になるとこの欲は肥大し、自分たちを盲目にする。大義名分を座右の銘にして、鷹揚に構えて家に不法侵入してくる。地球という地域に住む、隣人の集まりでしかないというのに他人の家に入り込みここは俺の家だと叫び続け、一方他の家では、危ないから止めろというのに、エアガンを公園で使っている馬鹿もいる。

　人間とは業が深い生き物だ。戦争という名の呪いに掛けられた、生き物なのだ。だから、こそこのような問題に多少、思いを傾けてほしい。自分たちも、同じ地域に住む住人なのだから。