シェア
酒井創
2024年5月24日 20:49
草原に一頭の馬がいた。馬は頭を下げ、黙々と草を食べていた。生え揃ってきたばかりの、若く青々とした草は新鮮で、頭はその歯ごたえや香りや味に夢中になって、一心不乱に草をむさぼり続けていた。 頭以外の胴に足に尾といった体は、初めのうちは頭が草を食べ終えるのを黙ってじっと待っていた。しかし草はあまりにも美味しく、頭はあまりにも草に夢中で、いつまで経っても食べ終える気配がない。延々と草を食べ続ける頭を待