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酒井創
2024年6月26日 17:07
馬は窓の端から顔を出してこちらをじっと見つめていた私がその視線に気がつくのをずいぶん前から待っていたようだった私の目と馬の目が一瞬合った馬が何を考えているのか読み取ろうとしたが暗く沈んだ茶色の瞳は私に何も教えてくれなかった馬は私が気がついたことを確認すると静かに窓枠の外へ去っていった慌てて窓に駆け寄り外を見渡すと馬の姿はもうどこにもなかった見えたのは馬の顔だけだった