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【2023年03月】読書記録と思考記録
作品間に通底するテーマは何か?
東日本大震災から12年が経った。
仙台で被災した時の記憶はだいぶ薄れてしまったが、せめて毎年3月11日ぐらいはあの時の体験を思い出し、地震の恐ろしさを忘れないように努めたい。
偶然にも今年の3月11日は、新海誠監督の『すずめの戸締まり』の小説版を読んでいた。
読みながらふと、新海監督の直近の3作品は、東日本大震災に対する監督自身の「喪の作業」なのではないかと感じた。
君の名は(2016年)|時空を超えて彗星直撃を回避する → 否認・抗議
天気の子(2019年)|雨に沈む東京で生きていく → 絶望・失意
すずめの戸締まり(2022年)|後ろ戸を締める旅をする → 離脱・再建
同じ制作者の作品間のつながりや通底するテーマについて考えたことはこれまであまりなかったが、そこに思い至れれば、制作者の意図や主張をよりハッキリと理解でき、より深く作品を楽しめるようになる気がする。
新海監督の次回作がどんな作品になるのか、楽しみにしておきたい。(希望に満ちた作品になると願っている)
以下、『すずめの戸締まり』に関する雑記。
戸締まり
大切なものをしまう、無くさないようにする
震災の記憶を無くさないようにという鈴芽(新海監督自身)の願い
ミミズ
つらい経験や記憶のメタファー
溢れ出ると地震が起きる=自身の土台が揺らぐ(アイデンティティ・クライシス)
後ろ戸を締める=つらい経験や記憶に向き合い、ケリをつける
ダイジン
鈴芽の潜在意識(恐怖心)のメタファー
本人の意思に関係なくミミズ(つらい経験や記憶)へと導いてしまうもの
九州 ~ 東北までの旅
つらい経験や記憶を受容するためのプロセス(トランジション・プロセス)
さまざまな人たちに支えられてそのプロセスを完了する
子ども椅子
母の象徴=幼い鈴芽の心の支え
椅子の脚が欠けているは母を失ったことのメタファー
最後に「すずめ」に椅子を手渡すことが、つらい過去との決着=母がいないという現実の受容・鈴芽の自律を表現している
3月の読了書籍
『トランジション』
自己実現=過渡期を乗り越えて自律していく過程
『小説 すずめの戸締まり』
つらい過去と向き合い、受け入れ、前に進んで生きていく
『死ぬ瞬間 - 死とその過程について』
自己実現=自分の「生きた証」を残すこと
『センス・オブ・ワンダー』
センス・オブ・ワンダー=不思議を感じるチカラ
『林住期』
林住期を楽しむことで生を充実させる
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