見出し画像

迷ったときは、ときめくものを選ぶ

(どの手帳もしっくり来ない……!)

9月下旬某日、私は午前中の大型雑貨店の手帳売り場をさまよっていた。
事前に候補の手帳を数日かけて調べ、見当をつけてきたのにかかわらず、だ。

手帳好きの入念な下調べ

私は中高生の頃から「手帳」というアイテムを愛してやまない手帳好きだ。
そんな私にとって来年の手帳を買いに行くのは一大イベントで、前の日の晩から「オラワクワクすっぞ!」などと家族の前で口走るほどおかしなテンションになる。

使いたいタイプの手帳はおおよそ検討をつけていて、1週間ほど前から検索をかけてはフォーマットの画像とにらめっこしたり、必要があればYouTubeでも実物を確認したりしていた。
近年は手帳・ガジェット系のアイテムを紹介する動画も増えている。画像よりも実物を手に取って見る感覚が強く、質感も分かりやすいので大いに参考になった。

画像1

候補の手帳をざっとノートに書き出し、最有力候補の手帳を決めた(雑記帳なので一部伏字)。
当初の候補は「NOLTY ビジネスベーシックダイアリー」だった。

本来はビジネス手帳で、PCDAサイクルによる仕事能率の向上を目的としたもの。

ちなみにPCDAとは以下のようなしくみ。

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の頭文字をとったもの。業務改善や目標達成のためにこの4つを繰り返し、改善・向上をはかるため「PDCAサイクル」とも呼ばれている。

私はこれを日常生活に応用して暮らしを充実させたいと考えていた。調べているなかで見つけた、ほかの方の生活感溢れる書き込み内容に魅かれたのも大きかった。

ところが、この手帳には私が毎日書きたいことを書くスペースがないことに気づいた。息子の様子や、その日良かったことを書くのは外せない。そのためにわざわざ別の手帳やノートを用意するのも嫌だった。

逆にこの手帳が売りにしているPDCAのフォーマット(重要度マトリクスや振り返り・次週に向けての項目欄)は、仕事で手帳を使わない私は雑記帳の1ページを割いてまとめられる。

候補探しは振り出しに戻り、結局以前使っていた「ジブン手帳biz」でない通常版を最終的な候補に決めて就寝した。目を閉じても眠りにつくまで方眼マスが浮かんでいた。

が、店頭で実物サンプルをめくった瞬間、またしても私は振り出しに戻った。

通常版は祝日のカラフルな時間帯に「こどもの日」「勤労感謝の日」などと書かれているのだ。ジブン手帳bizしか使ったことのない私には盲点だった。

気にならない方もいるのだろうけど、私はこの「主張が激しい祝日表記」がとてつもなく苦手だ。でかでかと印刷している意図をご存じの方がいれば教えてほしい。
同様の表記があるので、「ほぼ日手帳オリジナル」「ほぼ日手帳カズン」を買ったことは一度もない。
ファンタオレンジだと思って飲んだらビールだったような気分だった。

データを脇に置いて、指標にしたもの

私は一旦候補に挙げていた全ての手帳を確認するため、くまなく売り場を歩き回った。幸い品数が豊富なので、候補として考えていたほとんどの手帳の実物を手に取れた。
それでも、どの手帳もしっくり来なかった。

ときめかないのだ。

365日とはいかずとも、手帳は1年を共にする相棒だ。どうやって使おうかワクワクする、机やテーブルの傍らにあるだけで「そこにいてくれることが嬉しい」ものがいい。

そこで私は一切の下調べしてきたデータを一旦脇に置いた。

手にしたとき、使い方を思い描いたとき、1番ときめくものを選ぼう。

私が1番ときめいた手帳

結果、私が購入したのはこの手帳だ。

画像1

「SUNNY手帳」
いろは出版から出ている、近年出回り始めた手帳だ。

フォーマットは「セミバーチカル」という、ウィークリーページの時間軸がざっくりとしているもの。加えてマンスリーページ、さらに100P超のノートページもついている。各種ウィッシュリストも充実している。

実はこの手帳、候補探しのときに真っ先に外していたものだった。
何故かというと、私が探していたサイズはA5。SUNNY手帳はB6サイズだった(他のサイズ展開も有り)。
A5サイズにこだわっていたのは、手持ちのA5サイズ用カバーを使いたかったからだ。

サイズの垣根を越えて、私がSUNNY手帳を選んだのは2つの理由だった。

1つは、カバーに魅かれたから
全6色展開のカバーはイエロー、アッシュグレイ、アンバーブラウンなど、バッグやポーチを選ぶような感覚のおしゃれなラインナップになっている。
私はグレイッシュミントとモーヴピンクで悩んだけれど、とりあえず全色見てみようとホワイトシルバーを手に取ったとき、素直に「綺麗だな」と表面の輝きに見入った。
再び手に取ると、夜空に浮かぶ月のような静かなたたずまいに、心が浄化されていく心地がした。他のカバーにはない、上品なラメ加工が入っているのだ。

画像2

もう1つは、中身のフォントの雰囲気だった。
逆にいうと、ほかの候補がどれもしっくり来なかった理由もこれだろう。
好みは人それぞれなので深くは言及しないけど、個人的に老舗メーカーのフォントや配色、またひと癖あるフォントはフォーマットが理想的でもたちまち萎えてしまう。
SUNNY手帳は細めでフラットなフォント、黄色をアクセントカラーにしたシンプルな配色(ハイタイドのブロックタイプに近い)で、主張が控えめなのが気に入った。

画像4

SUNNY手帳を含めた手帳・ノートの使い方の展望や、これまでの手帳との付き合い、現在の使い方については、別個記事にしていきたい。

迷ったときは、ときめきの赴くままに

私の来年の手帳選びは、入念な下調べを覆し意外な形となった。
とはいえ、候補を選びそれぞれに対して良い点・引っかかる点を挙げていたからこそ(加えて長年手帳を使っているからこそのめんどくさいこだわり)、ときめくものに巡り会えたのだろう。

近藤麻理恵(こんまり)さんの「人生が片づく ときめきの魔法」が話題になって久しい。
私は特別こんまりさんのファンではないけど、「ときめき」に重きをおく彼女の考え方には共感する。

いい大人になると、「ときめき」という響きはすこしばかりむずがゆく感じる。
けれど無数の選択を問われる日々のなかで、心の内にひっそりと「ときめきの指標」を持ち、迷ったときに選び取っていくものは、きっと私たちの暮らしに満足感をもたらし、ときに新しい出合いと無邪気なワクワクをもたらしてくれる。

この記事が参加している募集

最近の学び

買ってよかったもの

サポートをいただけましたら、同額を他のユーザーさんへのサポートに充てます。