栗林元

名古屋市出身。 広告会社で、営業、WEBディレクターとして勤務。 体験を生かした小説「…

栗林元

名古屋市出身。 広告会社で、営業、WEBディレクターとして勤務。 体験を生かした小説「神様の立候補」で、平成3年に第二回ビジネスストーリー大賞(テレビ東京/日本経済新聞)佳作入選。 現在は会社を退職し、マイペースで作品を発表しています。 近著は「不死の宴 第一部・第二部」

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    栗林元の小説作品集。1997年から初めたWEBサイト「デジタル文芸」から名前を取りました。サイトは休眠中ですが、創作活動は継続中。

  • 不死の宴シリーズ・公式サイト

    長編伝奇SFシリーズ「不死の宴」の各種情報を発信していきます。

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    小説やシナリオなど、言葉で物語を描くことに関しての気づきや技に関する記事です。 「小説指南抄」は過去記事を、「創作エッセイ」は新しい記事をアップしています。

最近の記事

ブックガイド(159)「メデューサの首」内藤了

令和元年12月の文庫書き下ろし作品。 帝国防衛医科大学の微生物学者の坂口が主人公。彼は死んだ恩師の残したサンプルから、新ウイルスを発見する。それはインフルエンザの感染力と狂犬病の致死率を併せ持つ殺人ウイルスで、感染した者は凶暴化して、自分の肉体すら貪り食うゾンビウイルスだった。 その危険性故に研究所で処分廃棄したはずなのに、それを手にしたテロリストが全国民を人質に政府に犯行声明を送ってきた。その狙いは! 実に面白い。中央区をロックアウトして感染対策をする光景など。コロナ禍の日

    • 映画レビュー(174)「サイレントワールド 地球氷結」

      Youtubeで拝見した映画。 皆既日食の日、オゾン層に空いた穴から零下90度の寒気が下りてくる。 極低温により人は一瞬で凍結して死ぬ。さらに、このオゾン層の穴は世界各地で発生し始める。というデザスター・パニック映画。最後まで飽きずに見られたけど、それはこの手の映画のお約束をきっちり守っているから。 1.事件の前に、離婚の危機にあった主人公。事件を通して、その娘と妻との和解が成立する。 2.主人公を煙たく思っている上司との軋轢。しかし、事件を解決して、二人は和解する。 3.

      • 自作の聖地巡礼(1)四間道界隈(「不死の宴 第三部冷戦編」より)

        名古屋市西区、堀川の五条橋から西に延びるアーケードの商店街が円頓寺商店街である。 この商店街に入る前の道を南に入ると四間道と呼ばれる通りになる。堀川沿いの土蔵が並び、古の城下町のムードを残している。現在は、名古屋市の観光ルートに組み込まれ、古民家を活かした料理店や雑貨店などがならぶ観光スポットでもある。 「第三部 冷戦編」では、この路地の一角に、本土復帰に合わせて那覇から戻ってきた西城真一が守人の知念和子と沖縄風居酒屋「ゆいゆい」を開くことにした。 実は、私が25歳に入社した

        • 創作エッセイ(83)戦闘シーンの書き方について(自分流だけど)

          Xの、創作アカ界隈で戦闘描写の要不要が論じられていた。そこで、それにちゃっかり便乗しようとして書いた記事である(←こらこら) 例文で解説 まずは例文をお読みいただきたい。太字は補足説明。 例文)1 格闘系  車のキーを付けたキーホルダーをくるくると回しながら、虎六はロビーのドアを開けて南玄関へ出た。玄関の外はロータリーになっている。かつては、ここが正面だったのだ。←最低限の場所情報  ハイヤーや職員のマイカーが停まっていたであろうロータリーの端に、業務色の強いトラック・キ

        ブックガイド(159)「メデューサの首」内藤了

        • 映画レビュー(174)「サイレントワールド 地球氷結」

        • 自作の聖地巡礼(1)四間道界隈(「不死の宴 第三部冷戦編」より)

        • 創作エッセイ(83)戦闘シーンの書き方について(自分流だけど)

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        記事

          映画レビュー(173)「ぼくのお日さま」

          静かなるドラマ 主人公タクヤは吃音の小学六年生。彼の小学校最後の冬の物語。 彼の地方では、冬になると男子はアイスホッケー、女子はフィギュアスケートを練習する。貧乏くじのようにキーパーをやらされているタクヤは、ホッケーの練習後、フィギュアを練習する少女さくらの姿に心を奪われる。 リンクに刺す陽光の中をスローモーションで滑るさくら(中西希亜良)の美しさよ。さくらは有名選手だった荒川にひそかに憧れを抱いている。 タクヤはさくらに憧れるあまり、ホッケーの靴でフィギュアの滑りを真似

          映画レビュー(173)「ぼくのお日さま」

          映画レビュー(172)「夏目アラタの結婚」

          「医龍 ~Team Medical Dragon~」シリーズの原作などで知られる乃木坂太郎の漫画を実写映画化。 元ヤンキーの児童相談所職員・夏目アラタ(柳楽優弥)は、ある連続殺人事件の遺族の少年から相談を受け、獄中の死刑囚のもとを訪れる。 訪ねた相手の品川真珠(黒島結菜)は、日本中を騒然とさせた「品川ピエロ」の異名で知られる連続殺人犯だ。遺族の少年は、まだ見つかっていない父親の遺体を探すために品川と文通をしていたのだが、その際に児童福祉士の夏目アラタの名前で手紙を書いていた

          映画レビュー(172)「夏目アラタの結婚」

          映画レビュー(171)「人狼ゲーム 夜になったら最後」

          日本では「人狼ゲーム」として知られるパーティゲームを題材にしたUbisoftの人気ゲーム「Werewolves Within」を実写映画化。人狼ゲームとは1980年代から広まったゲームで、村人とそれに紛れた人狼の探り合いをゲームにしたもので、映画で言えば「疑心暗鬼」モノとでも言えそう。 主人公は、雪に覆われた田舎町ビーバーフィールドに赴任した森林警備員フィン。町に1軒だけの小さなホテルに滞在し、郵便配達員セシリーの案内で変わり者ぞろいの住人たちに挨拶して回る。翌朝、農場を営む

          映画レビュー(171)「人狼ゲーム 夜になったら最後」

          ブックガイド(158)「延暦十三年のフランケンシュタイン」山田正紀

          「SFアドベンチャー」誌に四号に渡って連載された伝奇ロマンである。 当時、読みそこなっていたこの作品を思い出させてくれたのが、Xで相互フォローさせていただいている読者さま。  氏のポストで、これは読まなきゃならんでしょうと、地元小牧市の中央図書館を調べたところ、閉架の方にありました。さっそく予約して、たった今、読み終わったところです。 空海は二人いた 真言宗の開祖として厳しい修業と同時に、全国に足跡や伝説を残している空海。その空海の人物像を四人のキャラクターの伝え語りで描

          ブックガイド(158)「延暦十三年のフランケンシュタイン」山田正紀

          映画レヴュー(170)「エイリアン:ロムルス」

          リドリー・スコット制作、フェデ・アルバレス脚本・監督。第一話のスピンオフという設定。 プロローグでは、第一話で破壊されたノストロモ号の残骸付近から引き揚げられた残骸からエイリアン(ゼノモ-フ)が回収されるところからはじまる。 そして、さらに未来。 劣悪な環境のジャクソン星に設けられた、ウェイランド・ユタニ社の鉱山で働くレインは、亡き父によって「レインの安全確保」を第一指令にプログラムされた旧式アンドロイドのアンディと共に不自由な生活を送っていた。レインは遠いユヴァーガ第三惑星

          映画レヴュー(170)「エイリアン:ロムルス」

          映画レビュー(169)「キャプテン・ノバ」

          優れたジュブナイルSF 荒廃した未来の地球から1人の女性が現代に向かって時間をさかのぼる。人類滅亡の危機を救うためだ。パイロットのノバは人類滅亡回避の極秘任務を遂行するため過去に遡るが、タイムトラベルの副作用で12歳の姿になってしまう。 そこで、少年ナスの力を借りて危機の原因を止めようとするが、、、というお話。 少年少女のバディが活躍するジュブナイルだ。後味もいい。

          映画レビュー(169)「キャプテン・ノバ」

          ブックガイド(157)「パンドラ 猟奇犯罪検視官 石上妙子」

          「猟奇犯罪捜査班」の“死神女史”こと石上妙子の、若かりし頃の事件。 「ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズの前日譚でもあるスピンオフ。 まだ院生の妙子のもとに事件はやってきた。この事件が、かつて日本中を震撼させた「大久保清事件」をモデルにしたもので、当時、中学生だった自分も連日のようにテレビで流れた事件に驚いた覚えがある。 大久保清事件とは 大久保清は連続殺人犯である。 1971年(昭和46年)3月 - 5月までの2か月足らずの間に、路上で自家用車から声をかけて誘っ

          ブックガイド(157)「パンドラ 猟奇犯罪検視官 石上妙子」

          ブックガイド(156)憑依作家・雨宮縁シリーズ

           俗にハンター・シリーズと呼ばれる内藤了の人気シリーズ。全五冊。  人気推理作家・雨宮縁は、作品シリーズ毎に名前と姿を変えている多重人格的な作家で、関係者からは憑依作家と呼ばれている。  物語の主な語り手は、彼の担当編集者・真壁。そして縁のバディである謎の青年・庵堂をはじめとするキャラたち。  各巻で描かれるのはハンターと呼ばれる、奇妙な動機に突き動かされる犯行の連続殺人事件。その背後には、帝王アカデミーと呼ばれる医療機関の女帝・月岡玲奈の影。犯人は精神医療的に心を操作されて

          ブックガイド(156)憑依作家・雨宮縁シリーズ

          映画レビュー(168)「キラー・ナマケモノ」

          B級ホラー映画かと思ったら、できのいいコメディホラーだったと。 もうヌイグルミノように可愛いナマケモノがチャッキーのような殺人鬼になるってだけで笑えます。 そこに女子大生の寮のクイーン争いが絡む。若い娘っ子がきゃあきゃあ言いながら犠牲になるという、怪しからん作品でした。 百聞は一見に如かず。

          映画レビュー(168)「キラー・ナマケモノ」

          映画レヴュー(167)「ゾンビスクール」

          イライジャ・ウッドが製作総指揮と主演のホラー・コメディ。 何をとち狂ってこんな映画創ったんだよと。 汚染されたチキンナゲットが原因で子供たちがゾンビ化する。 主人公は小学校の代用教員としてやってきた作家志望だが芽が出ないダメ男。 先生たちが皆、一癖も二癖もある変人ぞろい。彼らの爆笑サバイバル。 ま、よくあるB級ホラーコメディ。ビール片手にちょうどいい作品でした。 従来のゾンビモノの定型を忠実に守っている(苦笑) それ自体がギャグなのである。

          映画レヴュー(167)「ゾンビスクール」

          映画レヴュー(166)「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」

          意外や本格的ホラー! 原作はPC、及びスマートフォン用のホラーゲーム。五体の人形(アニマトロにクス)と闘う五夜をクリアするゲームなのだが、この映画化では、警備員になった主人公マイクの心に巣食う過去のトラウマに、過去の事件が上手く絡んできて、ぐいぐいと引っ張られた。 ホラー・ストーリーとしても秀逸。 実は同じゲームからインスパイアされた映画がもう一つあり、それが、「ウィリーズ・ワンダーランド」(2021年、ニコラス・ケイジ主演)である。

          映画レヴュー(166)「ファイブ・ナイツ・アット・フレディーズ」

          映画レヴュー(165)「ラストマイル」

          期待を裏切らない傑作  監督・塚本あゆ子と脚本・野木亜紀子のコンビ。ファンとして期待せざるを得ないが、その期待、裏切られなかった。  物語はあのブラックフライデーの前夜から始まる。世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボールの箱が爆発する事件が起きる。やがて、第二第三の爆破事件も同社の出荷品であることが判る。  この企業がアマゾンを思わせる米国の超大企業。赴任早々のセンター長・舟渡エレナ(満島ひかり)の悪戦苦闘を描いているのだが、そこには突然赴任してき

          映画レヴュー(165)「ラストマイル」