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記事一覧

ブックガイド(123)「領怪神犯」(1~3)木古おうみ

民俗学に敏感な読書脳のおかげで手に取ったこの作品、夢中で読んだ。 新世代の民俗学ストーリ…

栗林元
9日前
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ブックガイド(122)「私はいかにハリウッドで100本の映画をつくり、しかも10セン…

映画界の伝説亡くなる  先日5月9日に、ロジャー・コーマン氏が亡くなった。  低予算映画を…

栗林元
2週間前
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ブックガイド(121)「東京都同情塔」(九段理江)

第170回令和五年下期芥川賞受賞作である。  ザハ・ハディドによる新国立競技場が中止にな…

栗林元
2週間前
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ブックガイド(119)「天鬼越(北森 鴻/浅野 里沙子)」

作者・北森氏の急逝から六年後に、残された二編と新たに浅野氏が書き下ろした四編を加えた一冊…

栗林元
3週間前
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ブックガイド(118)「旗師・冬狐堂四 瑠璃の契り」(北森鴻)

旗師としての命ともいえる眼に飛蚊症が出始めた宇佐美陶子。今回は、彼女のもとに持ち込まれた…

栗林元
4週間前
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ブックガイド(117)「シャーロック・ホームズの護身術 バリツ: 英国紳士がたしな…

「崖っぷちから落ちかけたぼくたちは一瞬ふたりそろってよろめいたんだ。 でもぼくは日本の格…

栗林元
1か月前
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ブックガイド(117)「緋友禅」(北森鴻)

旗師・冬狐堂シリーズの三巻目。短編集である。 今回は萩焼、埴輪、友禅、円空仏をモチーフにした四つのドラマが冬狐堂・宇佐美陶子の目線で語られる。 前作の「狐罠」「狐闇」が長編のため失念していたが、作者は短編の名手でもある。陶子の語りでの短編は、当時のファンには「待ってました」感があったのではと思う。 どの作品にも共通するのは、レプリカと贋作の問題。同時に、芸術家の創作意欲が、そうじゃない一般人の欲望に利用される悲劇だ。職人気質や芸術家の矜持が、欲望に汚される構図は、何も古美術に

ブックガイド(116)「邪馬台」蓮丈那智フィールドノートⅣ

北森鴻氏の未完の長編「鏡連殺」を、彼の構想ノートに基づいて浅野里沙子氏が完結させた作品で…

栗林元
1か月前
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ブックガイド(115)「うさぎ幻化行」(北森鴻)

2010年、北森鴻の遺作となった作品。  主人公はフリーライターの美月リツ子。自分を「…

栗林元
1か月前
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ブックガイド(114)「顔のない男」北森鴻

2000年の作品なのだが、面白い。本格推理の名に恥じない。ラストまで一気に引っ張られた。  …

栗林元
1か月前
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ブックガイド(113)「親不孝通りラプソディー」(北森鴻)

どうも「親不孝通りディテクティブ」という作品の主人公カモ・ネギコンビの高校時代の物語らし…

栗林元
1か月前
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ブックガイド(112)香菜里屋シリーズ(北森鴻)

このシリーズは、バーマン工藤哲也が営むビアバー香菜里屋を舞台に展開される短編ミステリの連…

栗林元
1か月前
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ブックガイド(111)「旗師・冬狐堂二 狐闇」(北森鴻)

 店舗を持たない古美術商・旗師。宇佐美陶子シリーズの第二作である。第一作「狐罠」は贋作に…

栗林元
1か月前
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ブックガイド(110)「狐罠」旗師・冬狐堂(1)

コンゲームの傑作 〝旗師〟とは、店舗を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りに骨董を商 う古美術商のことである。宇佐見陶子はそんな旗師のひとり。  彼女が同業の橘薫堂から仕入れた唐様切子紺碧碗が、贋作だったと気づくところから物語は始まる。プロを騙す「目利き殺し」である。  復讐に駆られる陶子は、橘薫堂に対し新たな贋作で「目利き殺し」を返そうとする。  そんなさなか、橘薫堂の外商の女性が殺され、陶子に容疑がかかってくる。  おお、これは映画「嘘八百」のようなコンゲームと殺人事件をブレ