ブックガイド(141)「BEAST 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花」

シリーズ3巻目

シリーズ第三弾は、狼信仰と人狼譚。
秩父山域で行方不明になっていた男性が遺体で発見された。
ニホンオオカミの研究家だった男性の身体に残されていたのは、人とも獣ともつかない生物の複数の歯形。
事故死か、それとも何かに襲われたのか――真相を探るべく、潜入班は現地での調査に乗り出す。
レコーダーに録音された謎の遠吠え、奇妙な“人狼”の目撃談……
手がかりを辿り、狼信仰の伝わる神秘の地で清花たちが直面した恐るべき真実とは。というのが粗筋。
舞台となる秩父の景色に魅了される。その景色は言葉で描写されているのに。ちょうど言葉で描写された音楽コンクールの物語に魅了された恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」のように。
やがて今回も、育児放棄された幼い子供たちが浮かび上がる。物語を通して、清花は母として再生していく。おどろおどろしい物語で引っ張りながら、ラストでは心にほっこりと灯がともる物語になっている。

BEAST 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花

狼信仰に関しての過去記事がこちら
ブックガイド(89)オオカミの護符
(追記)
最新刊のシリーズ5が今年の五月に発売されている。読まねば。
COLD 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花

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