クリーンな政治とは。

「クリーンな政治を行う」

どんな政治家も演説ではクリーンな政治を行う。今の都知事選挙も「ガラス張りの都政」を公約として訴えている人も多い。果たしてクリーンな政治、オープンな政治とはどんなものなのか。これからのクリーンな政治という既成概念が壊されようとしている。

資料を開示するだけではダメだ

現在の都政もプロジェクションマッピングが政策決定されたプロセスを示せという都民の声も多い。過去の癒着問題に関しても資料開示しろという声も多い。しかし、黒塗りの"のり弁"と言われる裏に何かあるであろうと考えざるを得ない隠された資料が開示されるのみである。都庁の伏魔殿の状態、体質は改善がされていない。
一方で、すべての都政に関する資料が開示されたところでその資料に目を通すだろうか。正直、これまでの資料も目を通してなかった人が開示されたからと言って目を通すとは思えない。一部のジャーナリストだけではないだろうか。
これが「国民」「都民」にとってのガラス張りの都政だろうなのだろうか。

もはや国民はもの足りなくなっている

クリーンな政治を「全都民」に対して行うのであれば、すべてを開示する"だけ"でなく発信力を持ち、しっかりと説明をする方針があるべきだ。それは石丸伸二のいう「首長はインフルエンサーになるべき」という意見に私は同意する。もちろん資料開示も大事だが、一次情報での発信が今後の政治家には必要なスキルになってくる。
石丸伸二はとにかく発信を事欠かさない。広島県安芸高田市長時代にも首長自身で企画し、「あきたかたmeet-up」というオンラインのライブ配信も行っており、自ら県民とのコミュニケーションをとっていたのである。2万7000人の都市なのにも関わらず人口の10倍近い人が安芸高田市のYouTubeアカウントのチャンネル登録をしている。議会や会見の様子もYouTubeですべて動画で配信をしている。
今回の都知事選でも選挙運動期間中もライブ配信で支持者とのコミュニケーションをとっている。
とはいえ安芸高田市だけでなく、様々な自治体で議会や会見のライブ配信の浸透は進んでもいる。地方自治体の政治というのはオープンになり始めているのだ。
私自身も政治学を学んでいた大学時代にもクリーンな政治とは、という話で議論をする機会があったが、それこそ資料開示などの話ばかりである。しかし、石丸伸二がやっていることこそがクリーンな政治なのだと今、考えを改めさせられた。
いま行われている"政治"がメディアを通しての発信ではなくすべてを1次情報で見ることができる状態。しかもインフルエンサーとして発信力を持っているのだ。
もちろんリアルな場でも「安芸高田市財政説明会」という本来実施することのない場まで用意をしている。自分の地域の財政がいかにまずい状態かという危機感を持ってもらうためにも行われたと推測するが、そこに市民が来場もでき、動画でも確認もできる。

これからの政治のあり方が変わる

これまでの政治家はいつも「メディア」を通して発信をしてきた。石丸伸二という新しいタイプの政治家が生まれてからは「一次情報」を国民が目にする機会が増えている。もともとはTwitterやInstagramなどのSNSが登場してからは多くの政治家が国民、都民との発信する機会を得てきた。しかし、それがうまい政治家は正直いなかった。
現職の小池百合子氏もSNSアカウントを持っているが、この都知事選になり数ヶ月ぶりに投稿が行われた。普段の都政で自身のSNSは活用せず、選挙期間中だけの発信か、と感じてもしまう。
今後、この一次情報の発信はすべての政治家が力を入れる必要があるだろう。国政に目をやっても発信力のある政党は少ない。強いていうのであれば政党でその辺りの取り組みを行っているのであれば「国民民主党」と「れいわ新選組」くらいだろうか。国民民主党は定例会見をYouTubeでライブ配信を行っており、榛葉幹事長の記者とのやり取り、発言ががかなり人気コンテンツになっている。動画の再生回数も玉木雄一郎代表よりも多い状態である。政治というコンテンツとしても人気になってきているが、YouTubeで流れ始め興味を持った若い人が国民民主党に入っている人も多いようだ。れいわ新選組は、山本太郎氏の街頭演説の情報が毎度発信されており、常に発信に力を入れている印象が強い。支持者やアンチとのやりとりが切り抜かれ人気になっている。一方でれいわ新選組は山本太郎氏以外の発信力は弱い印象である。他のれいわ新選組の政治家が思い浮かばない。れいわ新選組の現職議員は山本太郎氏のやっていることを見ているはずだが、自身でも発信力をつける必要があるだろう。
その他の政党の議員はもっと発信をつけた方が良い。政治家は危機感を持つべきだろう。議員の仕事も忙しいだろうが、自分の意見を選挙期間だけでなく、常に様々なメディアで発信していくことがよいのではないだろうか。発言機会が増えると失言や所属政党の意見との不一致が生まれる可能性があるというリスクもあるだろう。
新聞や週刊誌に対するメディアの切り抜きに対しては多くの議員自身も批判をしているが、それ以上に一次情報を発信すればよい。メディアによる悪意のある切り抜きがあれば、その一次情報の視聴者がファクトチェックしてくれる機会も増えるだろう。やはり、都知事選を見ても限られた枠でどれだけテレビなどの強いメディアに自分を知ってもらえるか、ということを取り組んでいた。強制視聴力のあるテレビの方が発信力が強いのは否定はしない。

政治を監視し続けられるように

政治を監視するのがメディアの役割と言われる。政治家たちが発信を増せば、国民自体が政治を直接監視する機会が増える。石丸伸二が目立って発信力のある人物であるが、この発信力が目立っている状態自体が異常であるとまで言えるように、石丸伸二が政治家の発信のスタンダード・標準装備になることを願う。

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