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空っぽだった自分が

20歳ぐらいの頃から、無意識に、愛を求め続けているような気がする。

空っぽな自分を、満たすために。

そして今、少しずつ満たされ始めた。

私は生まれてから高校3年生まで、両親からあまり愛情を感じずに育った。

両親は与えてくれていたが、私はそれが愛だとは感じなかった。

私が欲しかったものは、キティちゃんのグッズでも好物のお寿司でもお金でもなく「家族の団欒」だったが、その願いは叶わなかったし、諦めた。

3人でご飯を食べる時はとにかく気まずい。早くこの場を抜け出したくなるし、せっかくのご飯はおいしくない。早くこの時間を終わらせるために急いで食べる。特に父親と話すのが苦手で、今でも話しかけられるとドキッとする。無言で食事が終わると何も話しかけられなかったとホッとしてしまう反面、悲しくもなる。

こんな日々が高校3年生まで続いた。

長い間欠落していたものを埋め合わせるように、家族と向き合ってみたり、彼氏彼女がいる友達に話を聴いてみたり、新しい出会いを求めてマッチングアプリをしてみたり、夜の闇に迷い込んでみたりした。

複雑に絡み合ったひもが少しほどけたぐらいにはなったが、満たされるには程遠かった。

どいつもこいつも、自分が満たされればそれでいいだけの人間だった。

だが最近、マッチングアプリをきっかけにお付き合いを始めた人(以下Aさん)は違った。

不器用だけど、私よりも私のことを考えてくれているし、いろんな話を打ち明けてもいつも自分の味方でいてくれる。

何かあれば大げさなほどに心配しているし、良くないことは怒ってくれるし、悪かったときは素直に謝ってくれる。美味しく作れなかったごはんさえおいしいと錯覚しそうなほど食事の時間も楽しい。

パートナーがいる人にとってはもしかすると当たり前のことなのかもしれないけれど、私にとっては信じられない現象だった。

Aさんと出会って、空っぽだった自分が、少し満たされ始めた気がした。




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