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フルーツトマトの元祖、「徳谷はじまりトマト」のはじまりの話。

物事には、必ず「はじまり」があります。


たとえば、日本ではじめて納豆を食べた話。
平安時代、奥州(現在の岩手県)で起きた反乱を治めるために京都から派遣された源義家が、その道中で馬の背に載せた煮豆を詰めた稲ワラの俵を開けたところ、糸を引いた納豆を発見したという。 食べてみると美味しく栄養も豊富であったことから、岩手から京都への帰り道に立ち寄った各地で広めたといわれています。

だがこの「はじまり」には諸説あり、
たとえば、
飛鳥時代に聖徳太子が発見していたとか。
大陸から稲作が伝えられた弥生時代に、いやもっと昔の縄文時代に既に食べられていたとか。
Discover Japan 2021年7月号「ととのう発酵。」

発酵した糸を引く豆を、食べてみる。
割とリスキーだと思うけれど、思い切って食べてみる。生きるためとはいえ、そのチャレンジ精神に感服です。
最初に食べたのが聖徳太子さんなのか、源義家さんなのかはわかりませんが、そんな「はじまり」のおかげで、私たちは今日もこうして美味しい納豆を食べられるわけですから、いやぁ、最初に食べてみた昔の人はすごいなぁ。なんて思うものです。

ところで、今までなかった物事に、リスクを恐れず一番最初に挑戦する人のことを、ビジネス用語では「ファーストペンギン」といいます。

リスクを恐れず飛び込む最初のペンギン


「ファーストペンギン」とは

その名の通り、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて一番最初に飛びこむ1羽のペンギンのことで、その“勇敢なペンギン”のように、リスクを恐れずはじめてのことに挑戦するベンチャー精神の持ち主を、米国では敬意を込めてそう呼ばれています。

どんなことでも、一番最初にはじめるって、とても勇気がいることですね。

納豆もそうですが、世界で一番消費量の多い野菜だとされているトマトにだって「はじまり」があります。
今回はその中でも、テーマにもなっている「フルーツトマト」のはじまりの話をしたいと思います。
ちなみに、先の納豆とはちがい、フルーツトマトのはじまりの話はただ一つだけ。発祥は日本。時は1970年代に遡ります。

その前に、そもそもフルーツトマトとは、品種名ではなく、水分を極力控えて栽培し、糖度8度以上を目安とした、高糖度トマトのことです。
フルーツトマトは水やりを少なくして育てるので、トマトそのものの旨みが凝縮されます。そのため普通栽培ほど大きくなりません。

フルーツトマト発祥の地は、高知県の徳谷地区。

美味しいものがたくさんある高知県


1960年代、高知県の徳谷地区の米農家はトマトを栽培していました。ところが1970年の夏、大きな台風が徳谷地区を襲い、トマト栽培のハウスは高潮をかぶり全壊してしまいます。台風の影響はそれだけに留まらず、徳谷地区は塩分を多く含んだ土壌に変わってしまい、これまで通り農作物を育てることが困難に。いわゆる塩害です。
しかし、徳谷の農家たちは諦めず、試しにもう一度この場所でトマトを作ってみたところ、糖度の高いトマトが奇跡的に収穫されました。

徳谷地区の農家さん、まさにファーストペンギンです。
ご本人たちは気づいていないと思いますが、今でいうベンチャー精神をお持ちだったんだろうと。そう思います。

フルーツトマトは日本全国で一大ブームに!


フルーツトマト、甘くて濃厚で、ほんとに美味しいですよね。
他のトマトよりすこし高級ですが、筆者も大好きで食べることが多いです。

ネーミングも良い。フルーツって付くだけで、甘くてジューシーというイメージを定着させるし、食べ方も「デザート感覚で食べられますよ」と思わせてしまいます。まさに、今までのトマトの概念を変えたなと。このネーミングを考えた人は天才だなと、本気で思います。

そんな最強のフルーツトマトだから、日本全国各地で栽培されるようになったのは、言うまでもありません。
今日までフルーツトマト市場はどんどん広がり、さまざまなブランドが日本中で生まれました。
とにかく美味しいトマトが各地でたくさん食べられる。私たち消費者にとってこれほど素晴らしいことはありません。

そこで、話は戻りますが、フルーツトマトをはじめて生み出した徳谷地区のトマト農家のみなさん、卸問屋のみなさん、販売者のみなさん、通称フルーツトマト・ファースト ペンギンズ(FTFP)は、このどんどん発展し続けるフルーツトマトの未来について、真剣に考えました。

これからフルーツトマトはどこへ向かうのだろう。
ひたすらに糖度と酸味のバランスを追求するのか?
産地にこだわり、食べ応えや濃厚さを追求するのか?
それもあると思いますが、
それだけじゃないだろうと。

この台風による災害という、自然の脅威的な力によって偶然もたらされた「地球からの贈り物」である徳谷のフルーツトマトには、もっと大切な役目がはずだ。
未来が不透明ないまだからこそ、はじまりのフルーツトマトである徳谷トマトならではの方法で、地球と人間の食文化を繋ぎ合わせたい。
そう考えました。

フルーツトマトそのものを、現代版にアップデートする。


最初のフルーツトマトであり、奇跡の産物である「徳谷トマト」だからこそ、その立場を理解して、地球からいただいたその責任と役割を全うするために、約50年前の生まれたままではなく、現代の社会にアップデートする。それは、フルーツトマトの美味しさの追求だけではなく、地球と人間の食文化をつなぎ合わせ、フルーツトマトの存在そのものの魅力を高めることです。

そういうわけで、FTFPの絶対的な「目利き」と、はじまりのフルーツトマトにしかできない「役目」を背負って、新しいブランドをはじめました。

「徳谷はじまりトマト」、はじめます。

徳谷はじまりトマトのロゴマーク


徳谷はじまりトマトは、美味しいトマトを生み出す生産者、トマトを数多く扱ってきた目利き力のある仲卸業者と、最高の形で食卓へお届けする販売者の伝説の三者(しつこいようですがFTFP)が作り出す、新しいフルーツトマトブランドです。

自然と対話し地球と繋ぐ、すべてのはじまりのフルーツトマト。

ただ美味しいトマトを食卓に届けるだけではなく、サステナブルな社会に対してはじまりのトマトにしかできないことをします。まずは、この「はじまるトマトマガジン」を使ってこんなことを発信していこうと思います。

  1. フルーツトマトの可能性を拡張する、新しいフルーツトマト活用の提案。

  2. 徳谷トマト誕生の事例を通じて、地球環境と人類の食の共存などを考える。

  3. 出荷時期や個性(等級や品種)によって変わる、フルーツトマトの魅力を発信。


みなさま、これから高知徳谷のおじさんたちが、このおしゃれなフルーツトマトを現代版にアップデートしていく様を、ぜひご覧ください。

執筆者:ブランドディレクターM

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