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親子は生きづらい

みなさまあけましておめでとうございます。
いかがお過ごしでしょうか。

私は年末年始は両家の実家でゆっくり過ごし、おいしいものに囲まれ幸せな日々を過ごし、すっかり超えております笑。

そして先月、友人が本を出版し、この連休の中でやっとその本を読み終えたところです。

ちゃんとしっかり読み進めたくて、
子供が寝ているタイミングを見計らいながら、じっくりじっくり読み進めておりました。

友人は女性の性別でありながら、男性の気持ちをもつ
トランスジェンダーとして生きてきていて、
その葛藤を全て書き続いた本となっておりました。

友人は昔から仕草が男性っぽくて
女子からもてる女子という感じでみんな「みほが男だったらな〜」
と言うほどでした。

なので今回この本の出版と同時に「実は今、男として生きています。」
という文章に驚きもなく、
たしかに昔からかっこよかったから納得だなぁ〜なんて思って本も購入しました。

でも、その本を読み進めているうちに
本人はこの30年間どれほど苦しかったのだろうと涙がでてきました。
そして同時に、姓同一障害という問題定義について、自分の考えの浅はかさに気づかされたりしました。

昔からスカートを履くのが気持ち悪いほど嫌だったこと、
女子トイレに入ることが嫌だったこと、
男?女?とどちらかの姓なのかを周りに常に問われ続けることへの苦しさ
胸が膨らむことが許せなかったこと。
自分は何者なのかと自問自答を繰り返すうちに、自分の存在までもが許せなくなっていったこと。

みほが男だったらと言われる度に、みほは何度心の中で泣いていたのだろうと。

体と心が一致して生きてきていた私には気付けなかった
小さな違和感の連続がみほをどれほど傷つけていたんだろう。

今ニュースでジェンダーレスやトランスジェンダーのニュースが流れていても
自分自身は否定の気持ちもなく、
いいんじゃないかと思ってました。
受け入れて生きていく自分が善であるかのようにも感じたりしていたのかもしれません。

でもこの本を読んで、
姓同一障害に悩む人はこんなにも生きづらく
苦しい思いの連続である現実を知りました。
まだまだ日本では姓同一障害の人が生きづらい世の中なのは、
自分の当事者への理解が乏しかったからなのかもしれないとも同時に気づかされました。

本人たちが声をあげるだけではきっとこの環境は変わらなくて、
私のような当事者以外も、一人一人が
こういう葛藤を抱えている人の気持ちを知ったり、寄り添うことが
現状を変えるためには大切なことなのだと改めて知ることができました。

私が妊娠して初めて妊婦の苦しさや、子育ての大変さがわかったように、
私たちは経験しないとわからないことがたくさんあります。

自分の持って生まれた体と、心の性別が別々だという苦しさは
今までもこれからも経験することのない私にとっては分からない感情だったのかもしれません。

でもみほがこの本の中で、包み隠さず一つ一つの感情を拾って、文章にしてくれたことで、
胸の奥がぐーっと苦しくなるほど、当事者の感情を少し理解できた気がしました。

この本はみほのお母さんと2人で書き上げた本になっていて、
本人の気持ち、そしてそのときの母親の気持ちが同じ時系列で進んでいて、
お母さんの複雑な気持ちも、
母親になった今、胸がちくっとしながら共感する部分があり、
どちらの気持ちも伝わって、胸が苦しくなりました。
でもこれがリアルなんだと知ることができました。

きっと片方の気持ちだけで書き上げた本であればきっとどこか考え方に偏りが起きそうですが
これは両者の気持ちが赤裸々に書いてある分、
2人の視点に自分も身を置いて読むことができて、自分自身も気づかされる部分がたくさんありました。

自分も子育てをしていく中でも、きっと子供を守るためにと貫きたいことがでてくるんだろう。

でもきっと自分の子供であっても考え方や生き方は、親はもうきっと選ぶことはできなくて、親子であっても、みんな違って生きていくんだなぁと。

誰が正しいとか
どの生き方が正解とか、そんなんじゃなくて、
みんな違ってよくて、
それぞれの感情でみんな生きていく。

それでいいんだと、心から思えた本でした。

私はたまたま気持ちと身体が一緒だっただけ。

大人になるってきっと、
自分の経験を通して
人の痛みがわかるようになっていくことなんじゃないかと最近思います。

みほが生きていてよかった。

この本を読み終えたとき、
次会った時は新しい名前の「栄政」で、ちゃんと呼ぼうと思った。

この名前はみほの頑張って戦って、夢を叶えた証みたいなものなんだと知った。

ぜひ、気になる人は読んでみて欲しいです。

トランスジェンダーに関係なく、子育てをしている人にも読んでみて欲しいです。
私はこの本を読んで子育てする上での価値観みたいなものを少し変えてもらえたような気持ちもしています。

そして同時にトランスジェンダーや姓同一障害で苦しむリアルな声を知ることで、
当事者だけでなく、私たちが今ある課題について本気で考えることができれば、少しづつでも過ごしやすい日本になっていくのかもしれません。

そんなふうに思わせてくれた本でした。

改めて出版おめでとう。そしてお疲れ様。


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