神業天才絵師、伊藤彦造と若きアメリカ兵士。
私が初めて伊藤彦造のペン画を見て感じたものは
圧倒的な情熱と誠実さでした。
どの本だったのか忘れてしまいましたが、そこに書かれていた
彼のエピソードに私は胸を打たれ涙しました。
大正から昭和にかけて大衆雑誌の細密な挿絵で一世を風靡した
伊藤彦造という天才絵師の解説の後、
私の感想です。
ここには書かれていないことなのですが
彦造さんは第二次対戦後、戦争画を描いたことで戦犯容疑を受け、
米軍座間キャンプに収容されました。
そこで彼はマッカーサーのために聖母マリアやキリストを描き、
または若いアメリカ兵士たちに絵を教えていたのでした。
その本の写真には、
先生の彦造さんと体格の良い若いアメリカ兵士たちが
教室の小さい机に向かい、所狭しと覆い被さるように机いっぱいに手を広げ、
頭が画用紙にくっつきそうなくらい懸命に絵を描いているところでした。
私はそれを見て、涙がこぼれました。
また、若きアメリカ兵士たちは、彦造の絵の時間になると
皆、走って教室に向かったそうです。
天才絵師の彦造は、常に真剣で誠実な人であり、
アメリカ兵士たちにもそのように教えたことでしょう。
今や若者たちは夢でいっぱいなのです。
彼らの心の中にはどこにも敵もなく憎しみもありません。
では、どうして戦いに送られた日本やアメリカの若者たちは
攻撃ができたのでしょうか?
薬物でコントロールされていたのです。
脳の状態を変えられていたのです。
彦造は66で筆を置いた後、100歳まで生きました。
家族と幸せな人生を送ったそうです。
誠実さと情熱で戦いを描き尽くし
米軍キャンプで若き兵士たちに絵画を教え
マッカーサーが彦造の家に尋ねてきて、妻の手作りの海苔巻きを食べたことも。
伊藤彦造は、もの凄い画力と世界に愛を表した偉大なアーティストです。
私は彼が日本の画家であることが誇らしく、心から嬉しくて、
感謝が止まらないのです。
ー キョウコ
「挿絵も芸術である以上、死骸を描いても美しくなけりゃいけません。醜い現実を、画家の目を通して美しく描く……。これが芸術というものでしょうよ」
・・・彦造さん、その通りですね。
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