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短歌「肩」

眠りたる老母の頭そつと外し姉は湿布を肩に貼りをり

 母がまた姉の肩に頭を載せている。長方形のテーブル式炬燵の長い方の一辺に置かれた二人がけのソファーの隣が、いまの母の定位置だ。もともとこのソファーは、椅子に座っているのがしんどくなった時に横になれるようにと母のために購入したものだったが、母がほぼ歩けなくなった今は姉や私が座る。車椅子に座っている母は疲れてくるとだんだん身体が傾いてくる。そのときにちょうど姉や私の肩がつっかい棒になるようだ。

 もう母は姉や私のことをはっきりとは分かっていないようだが、それでも姉が隣に座ると安心するらしく、しばしば姉の肩に頭を載せる。家事を終えた姉は、たいてい母の傍に座って辛抱強く母に肩を貸してやっている。

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