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短歌「ながらへば・・・」

生きらるる生きねばならぬ生かさるる長寿の国を老母と生くる

 長生きは幸せだろうか。状況によるだろう。では、母は幸せだろうか? 「息子さんに看てもらえて、お母さん幸せね」と言われることがある。このことばは母へというより、私への労いの意味が強いように思う。私にそう言ってくださる方も、自分も母のようになりたいかと尋ねられれば、自分は子どもの手を煩わせたくないと言うのではあるまいか。

 九十歳でも百歳でも、人間が人智を超えるものによって生かされているのなら、幸不幸に関わらず肯うしかない。だが長寿が、少なからず人間自身の手によるものだとしたら、私たちには幸せな老いになるよう努める責任がある。もっとも、それにはまず、幸せを見つめ直す必要がありそうだ。

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