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【棚番号1】 未来につなぐ、アナログの世界

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萩原珈琲ってどんな会社? 歴史や伝統をはじめ、紡いできた技術。 アナログの世界だから生むことができる新しい取り組みや、ひととの関わり。私たちがなぜ存在するのか?未来につなぐ、ア… もっと読む
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新たな炭の始まり。焙煎師とともに林業の皆さまの思いに触れる。

【はじまり】 和歌山県有田川町で林業を営むマルカ林業さま(以下、敬称略)を訪問させて頂いた。灘区のいちばたけで「炭火焙煎のアナログの世界と麻袋活用・分解から遊ぶ」。そんなテーマのお話をさせて頂いた際に、ご参加されていたお客さまよりご紹介頂いたことがきっかけだった。 マルカ林業では、どの山のどの部分に植林し、伐り出して運搬するか。運搬効率・人手・工数など、複雑かつとても緻密に練られた計画に基づいて林業を営まれている。 【炭づくりのきっかけ】 もちろん、材として植栽されていく

学祭で果たせそうなこと

兵庫県立神戸高等学校の創立記念祭 地元の事業者との関わりをと、数年前からコーヒーを生徒達が販売していたが、今年は出店もさせて頂くことになった。高校生と一緒にお店に立つこともあまりないので、目的を決めて挑んだ。 ▪️初めて働く時の抵抗感を小さくする ①働くの第一歩は怖がらなくていい ②やりがいもある ③パニックにもなるし、嫌なこともある ④1時間ごとに発生する給料を意識 ⑤自分の役割、活躍できるポジションがある 公立高校では、在学中に働く(労働)は経験できないので、働くをリ

炭窯を覗くとそこには…未来につなぐ、アナログの世界が広がっている

炭窯を覗くと、色とりどりの炭の世界が広がっている。生豆が焙煎され、お店や自宅に届けられ、飲まれるカップ一杯。その物語は、簡単には語り尽くせない。お客様へコーヒーをお届けするために、欠かせないのがまず炭火の窯にぐっと迫ってみる。ただの炭のように見えるが、実は次の4種類が混合され、焙煎の熱源として活躍している。 ■ 炭火焙煎は手しごと 1.どの炭をどのくらい入れるか 2.空気の吸気量 3.窯からの排気量 この3つを職人が調整していて、「何分のときに、何度を通過するか」をいつも見

味わい深い「いも掘り」を通じて思うこと

萩原珈琲の「ほるもん(捨てるもの)から掘るもんへ」プロジェクト。そのキックオフは、初夏6月に始まった。 焙煎過程で出る、廃棄焙煎豆(食品残さ)を一部堆肥に混ぜ込み、その土からさつまいも芋を作るプロジェクト。観光の「芋掘り」とは全く違う工程で、 いわゆる「芋掘り体験」は、実は農家さんの作業「4. 収穫」のほんの一部だけを体験していて、本来の掘るまでの過程をすでにやって頂いているんだなぁと、あらためて実感した。 当たり前のように「買う・食べる」から、社員のみんなと「植える~

パイロンとポール?らくがき板。

コロナ禍で、20年4月から本社勤務時間が短くなり、通勤ラッシュ時間をさけることから、勤務時間が変更となった。本社社員はフレックス制を導入し、8時間勤務を廃止。8:00~17:00の間の、7.5時間~8時間勤務で良しとしている。 一方で、本社一階には、小売りショップ「コーヒースタジオ」が設けられている。工場の直売所で、毎日20~30人くらいのお客様にご来店いただくが、閉店時間が18:00だ。ここで、問題が生じる。本社直売所(ショップ)は、本社ビル、シャッターの内側にある。つま

「小さい」の繰り返しの結果

// 岡山県井原市から中学生♪ 近年の修学旅行では、環境や生産の仕組みについて学ぶ時間があるようです。萩原珈琲って、SDGsについての仕組みをどのように取り組んでいるの?そんなテーマで、神戸訪問の際に私たちを選んで頂きました。 当然、コーヒー焙煎をしているのですが、最も分かりやすいことは、焙煎のエネルギーが「100%国産の炭」ってところです。 この8年間取り組んできたことが、ゆ~っくり認知されはじめ、県内外の「中高生・大学生」にお越しいただくことも増えてきました。生徒や

最後の1ピース。それは、利用者。地産地消から、ぬり絵まで。神戸市役所での取り組み。

10月半ば。地元、神戸市灘区の「minfactory」さんにお願いをした。ぬり絵のイラストで、「サンドイッチ」の絵。minさんにも実際に食べてもらって、そこからイメージを作ってもらった。 私たちの直営店の1つ、萩原珈琲店 127番地は、神戸市役所1号館1階にあって、スタンドタイプ(セルフ形式)のカフェ。私たちは、このスタンドカフェを最大の「チャレンジ拠点」としていて、様々な取り組みを仕掛けている。 市役所という立地において、私たちが目指しているものは「他行政にはない、市役

焙煎工場・焙煎室。灼熱と極寒の地。

萩原珈琲の焙煎室。 それは、天井が約3階建て程の高さがあり、広さも相当な広さがある。焙煎室には、4台の「炭火」焙煎機と、1台の大型撹拌機。そして、電子選別機(色を区別し、異物を除去する装置)が設置されている。 その焙煎室には、空調がない。 代わりにあるのは、超大型の排気口と吸気口だ。そもそも、屋根が3階ほどの高さで、広いスペースの温度をコントロールすること自体が、ほぼ不可能だし、仮に操作できても、その費用対効果がどれほどのものなのか…。 当然、真夏には室温が40℃近くまで

焙煎室の危険と火之要心。

焙煎師の仕事。 そこには、繰り返される日常と、稀に非日常的な出来事(イベント)が生じることがある。今日は、その非日常にスポットを当てた話。 種類にもよるが、炭火焙煎には概ね20分前後の時間を要す。 その際の火力はもちろん人間の力で調整していて、ガスや電気、熱風式のようにレバーやプログラムでは制御できない。炭の種類やくべ方、どのくらい投入したか?そんな感覚作業が重要だ。 非日常的なイベントは、突然やってくる。 それはまさに、サントス・ニブラ 極深煎りを焼いているときのことだ

生産と消費。「技術」の循環。鳥取県日南町・大宮炭。

ゆかりのある鳥取県日南町を訪問した時のこと。町役場・農林課のA氏と話をする機会をもらった。私自身は、「体の半分が日南町の血なんですよ。」などと談笑。「祖父の家は、江戸時代の建物で...。田畑の手伝い、川遊び、オオサンショウウオ、蛍、アマゴ、ヤマメ。そして、間延びする花火大会…。」まさに、自身の「思い出話」の押し売りだ。 農林業が中心である日南町。かつては「たたら製鉄」が盛んであったことを知る。たたら製鉄を中心とした産業が発達し、製鉄を支える「炭」もまた、生産が盛んだった。し

自由を選択。アフターミックス。

それはちょうど、料理を作るようなものだ。 例えば、あらかじめ出来上がったもの。 「◯◯出汁の素」のように、濃度は変えられても、ある程度味が決まっているもの。これをコーヒーで言うプレミックスだとすると、私たちはやはり、好きな調味料を、好きなだけ後から混ぜて、独自の味や出汁を作りたい。 ※プレミックス:生豆を混合し、まとめて焙煎する方法。 ちょっと濃いなぁ。 塩が多いですか?醤油?いやいや濃度? プレミックスの最大のデメリットは、一度作ったものは、消費し尽くさないとなくなら

約60年間、現役を続ける機械。

初代、萩原 三代治が使用していた「炭火焙煎機」。令和に入った現在でも、今なお、形を変えて活躍している、味のある機械だ。 実は、焙煎機の役目を数十年前に終え、現在は撹拌機として使用されている。ブレンドを作る際に、アフターミックスを選択する私たちは、お客様のご要望応じて、様々な配合を創る。それらを細かく対応し、「仕上げる機械」として、現在も第一線で活躍している。 構造 ①:炭火をくべていた部分の取り外し。 ②:シリンダー(窯)とモーターだけを残す。 ③:後から脚を取り付ける。

「摩耶ブレンド」とアイデンティティ

私たちは、昭和3年(1928年)に、和田市場(現:JR灘駅・北側)で創業した。 当初は、「萩原商店」として、市場の一角で缶詰や穀物などと共に、コーヒー豆を販売していた。(萩原珈琲の歴史 http://www.hagihara-coffee.com/ ) 店構えは、市場の一商店。小さいながらに、ずっと「上」を向いていた。 1961年に現所在地(神戸市灘区城内通)へ移動し、萩原珈琲株式会社を設立。やはりこの時から現在までも、90年間ずっと私たちは「上」を向いている。 和田市場

萩原珈琲の文庫室。始まります。

訪れた喫茶店で感じたこと。豆の種類毎の特徴や、萩原珈琲での使われ方。淹れ方を色々と変えてみたり。焙煎から出荷までの話。その他、色々。 日頃、自分達が思っている「こだわり」や「取組み」って、誰が知っているのか?このサイトを訪問した人だけが「知ることができる」それでよいのか?そんなことを漠然と考えながら、日々を過ごしてきた。 個人経営の喫茶店の減少、大手チェーン店の台頭。そして、人口減少。 喫茶文化がどんどん平均化され、お店独得の「空間や時間、会話」を楽しめる機会がますます減