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本の備忘録

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16年前くらいから、読んだ本の備忘録として、それから未読の積読本も相当溜まっていたので重複して購入しないようにと、書評というには拙い内容をとつとつとブログで綴っていました。 6…
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#おすすめ本

本のことをとつとつと

16年前くらいから読んだ本の備忘録として、それから未読の積読本も相当溜まっていたので重複して購入しないようにと、書評というには拙い内容をとつとつとブログで綴っていました。 6年ほど続けたものの、忙しくなって中座して今に至りますが、今回会社で綴っているコラムをアップし始めましたので、並行して過去の備忘録をこちらにもアップしてみようと思い立ちました。 一番新しくても6年前の本にはなりますが、いいお話は時代を越えますので何かの参考になればと思います。

娯楽小説の愉しみがギッシリ

久々の本の紹介です。 圧倒的娯楽チャンバラ小説の三部作。 この辺りのキーワードに興味をそそられる人は、ハマる人かと。 重厚な長編小説や、人情物の書き下ろしシリーズなども手がける直木賞作家が、エンターテイメントに振り切って描いた本作。 全三部作のうち第二部まで刊行され、未完の状態でコミカライズも同時進行中。 時は明治維新。まだ世には終焉を迎えつつある武士たちが燻っている頃。 ある日全国に聞いたことのない新聞が配布され、そこには「大金を掴みたく腕に覚えのあるものは集ま

「関係性のケア」を重視する

久しぶりに読み返しての備忘録となります。 「ケアをする人」の定義 健康に問題のある人に対して回復を目指し、 それができなければ現在の機能を保ち、 いずれもできないときには最後まで寄り添うことをする人 諦めないのはケアではなく、「関係性」 関係性をあきらめた結果が不適切なケアとなる(拘束) 大事だと思っていることとやっていることが一致しないから、ケアをする側が燃え尽きる 不適切ケア(強制ケア) = パターナリズム 私たちケアをする側は「どうすればいいか」答えを

平和を求めて歴史に抗った好漢の物語

織田信長が好んで唄ったとされる幸若舞の演目のひとつである「敦盛」。 その中に、「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり」というくだりがあります。 ここでいう「人間」は、「にんげん」と詠むのではなく、「人の世」を意味する「じんかん」と詠みます。 つまり、「人の世の五十年は、下天と比べればただの一日でしかなく、はかないものだ」という意味になります。 そして、今回紹介する一冊は、この「人の世」を何とかせんとして最期まで奮闘した武将の生き様のお話です。 主人公は、

予言の書と言われる一冊

知り合いが読んでいたのを見て、そういや、結構昔に電子書籍のセールで買ったまま放置していたなと思い出して読み始めた一冊。 ちょうどここ最近は出張続きでしたので、行きの飛行機の中でサクッと読めました。 今のコロナ禍の時代であれば、こういった題材の小説は描きやすいかもしれませんが、どんなに希望に満ちたエンディングにしても現実と比較してしまうとそれほどの爽快感は得られない気がします。 本書の凄いところは、まるで今の世の中が来ることが分かっていたかのようなタイミングで出版されたこ

馬主とその家族の20年を描く圧巻のエンターテインメント!

以前のコラムでも書きましたが、好きな本と出会いたければ、参考基準として持っておくといいのが好きな文学賞と好きな書評家。 この本は一番好きな賞である山本周五郎賞の受賞作であり、一番好きな書評家であった(残念ながら今年亡くなられてしまいました)北上次郎氏が推薦する一冊であり、見過ごすわけにはいきませんでした。 福岡に戻る飛行機の中で、時間を忘れて一気読みしたエンターテイメント長編。 タイトルからは、何だか皇室的な響きがありますがそんなお上品なお話ではありません。 競走馬の

逞しい少女たちの物語

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」で大好きになったノンフィクション作家による最新小説。 切り口はこれまでどおりシニカルな子供目線。 今回の主人公は女の子。 イギリスの低所得者層としてアル中の母親とひ弱な弟を支えながら、今を必死に日々を生きるその姿勢と語り口は、これまで以上に切れ味鋭くイギリス社会の貧富の差と現実を鮮明に描き出します。 同時に、この物語には裏の主人公がいます。 女の子が現実逃避をするために没頭する本というのが、日本の大正時代のアナキストである

パンチのある風刺の効いた男女逆転小説

ビル・ゲイツとオバマ前大統領、エマ・ワトソンらがその年に読んだベストの一冊として推薦する本書。 かつてあったとされる男性社会からどのように今の女性社会が樹立されていったかを描いた、男女の立場を逆転させたディストピア小説。 本書の作者は女性ですが、物語は「男流作家」の書いた小説という体裁をとっているのも興味深いです。 「男流作家」、聞き慣れない単語ですけれども反対の立場の単語は使っていますよね・・・ ある時、女性は進化します。 鎖骨辺りに眠っていた渦巻き状の器官が目覚

やはりオススメの一冊です!!

自分が出ているニュースが本日再放送されました。 多分、お盆の時期ですから新たな特集を組んだりするのも大変なので、再放送という形になったのでは思っています。 周囲の一部の人たちには伝えていたのですが、実際当日になってみると当人が忘れており、友人からのLINEを見て、「あ、今日だったか」と思い出す始末。 実は、出版元の特集記事で、作者へのロング・インタビューがあるのですが、こちらもとても面白い読み物になっています。 本書が面白かった人には、間違いなく響く内容となっています

夢で見るほど先の展開が気になる本

全米のSF小説部門で5ヶ月連続1位。 AmazonでもSFファンタジー部門で年間ベストの一冊。 ビル・ゲイツの今年の5冊に選出。 とにかく読みはじめたら止まらないし止められないし、止めたら続きの展開が気になって夢に出てきます。 ただ、これだけは残念ながら本書の面白さを味わっていただきたいがために、一切の情報を与えられずに是非読みはじめてみて欲しいです。 ひと言だけ触れるとしたら、 というのが、本書の醍醐味でしょうか。 いや、本来ならこんなことさえ言ってはいけない

部下の成長

以前、地域の会社を3社兼務していた時に、自分が住み暮らしていた地域の会社の業績だけがどうしても回復しませんでした。 その時に上司から一冊の本が贈られてきました。 タイトルは、「最高のリーダーは何もしない」。 手紙も何も添付がなく、ただ本だけが送られてきましたので、本の内容から上司の意図を読み取るしかありませんでした。 実際にはタイトルどおりに「何もしない」というわけではありませんが、一番しないといけないことは企業理念や方針を伝え続けていくこと。 そして、それを受け止

透明になった時の対処本

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2005年10月28日に投稿したブログより。 面白い本に出会えることは嬉しくそして喜ばしいことです。 娯楽のエッセンスがぎっしりとつまった、本の雑誌でここ30年のベスト1に選ばれた作品。まあ果たしてベスト1かどうかは別にしても、一気読みは間違いなしです。 透明人間って聞くと、俺らの世代はイクラを食べると透明になっちゃう下世話なマンガ(驚くことにまた新たに連載が

男の品格とは?

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2006年8月24日に投稿したブログより。 久々の教養本。ホント小説ばかりしか読んでなかったですし。 これは上司から薦められました。 しかも夜のお付き合いでご迷惑をおかけした相手からだったので、手渡されてタイトルを見た瞬間は、アチャーッという感じでした。向こうもニヤッとかこころもち笑っていましたし。 ただ、読み進めていくうちに、あ、あの人は私にもっともっと成

名前をもらった女流棋士

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2006年8月29日に投稿したブログより。 娘の名は棋士である高橋和さんからヒントを得て、というか、まんまいただいております。 で、ご本人のことをどこまで知っていたのかというと、娘の名前を決めた時には正直知っていたのはお名前だけ。 本書の単行本版を読んでいたのは私の両親の方で、ちょうど娘が生まれた際に、本やらテレビやらで目にしていたらしく、いい名前があると薦め